高校野球選手は食事もトレーニング!適正なエネルギー量とは。

高校野球の球児の皆さんは甲子園めざして練習を頑張っていることと思います。
でも練習と同じくらい必要なことがあります。
それは食事。高校生は身体が発育途中であるのとハードな練習に加え体重を増やさないといけないのでかなりの量を食べないといけません。
今回は高校野球選手が摂るべき食事について、特に目標となる摂取カロリーについて特集します。

高校野球の選手たちの食事の量と質を教えます。

高校時代は、人生の中で最もエネルギーを使う時期です。そこに野球の練習で使うエネルギーがあり、さらに体を大きくするためのエネルギーまで摂るとなると、考えて食べなければどんどん痩せてきてしまいます。高校球児の一番の問題はこの「痩せてしまう」ということです。

それでは、どの位のエネルギーを何から摂ったら良いのでしょうか?ただ「食べろ!食べろ!」では、エネルギーの少ない物を無駄に食べるだけだったり、ビタミン・ミネラルが足りずにうまくエネルギーにならなかったり、無駄は努力になっていまいます。

必要な栄養量は人それぞれで違ってきますが、おおまかに計算する方法があります。計算で自分の基準を知り、体重、パフォーマンス、体調などを考慮して増減させるのが賢い食べ方です。

高校野球選手の必要エネルギーを算出しよう

日常で使うエネルギーと、練習で使うエネルギーと、体を大きくするために使うエネルギー。高校球児はこの3つエネルギーが必要です。17歳の高校球児Aくんを例に考えてみます。

Aくん
僕が甲子園に出るために、食事はどうすればいいのか。教えて!?

A君の基本データ

・17歳
・男性
・身長175cm
・体重75kg
・学校までの通学は自転車で20分
・半年で80kgまで増量し、パワーアップしたい。
・成長期で身長は伸びている。
・野球の練習は朝1時間、放課後3時間

高校生が身体を作る為には3つのエネルギーが重要

A君の場合の


①日常で使うエネルギー
②練習で使うエネルギー
③体重増加するためのエネルギー

を順番に見ていきましょう。

①日常で使うエネルギー

日常で使うエネルギーは、「基礎代謝基準値×体重×身体活動強度」で求めます。Aくんは17歳ですので、基礎代謝基準値は27.0kcalです。

さらに現在の体重は75kgです。そして、身体活動強度は、通学の自転車や体育の授業もある日常生活なのでⅡ(1.75)を選びます。

さらに、まだまだ成長期で身長が伸びているのですが、成長に必要なエネルギー量は「エネルギー蓄積量」といい、17歳男子ですと10kcal/日です。意外と少ないですね。

27kcal×75kg×1.75+10kcal=3553kcal

※基礎代謝基準値×体重×身体活動強度+エネルギー蓄積量

Aくんは日常生活では3553kcalのエネルギーが必要ということになります。

安静時エネルギー消費量(横になって動かないでいても消費するエネルギー量)も後ほど使うので計算しておきましょう。安静時エネルギー消費量は、身体活動強度が1.00にして計算します。Aくんは、27kcal×75kg×1.00=2025kcalです。

②練習で使うエネルギー

Aくんは、朝練習で1時間と放課後3時間の4時間毎日練習しています。練習で使うエネルギーを計算します。

運動の強度はMETSという単位で表されます。

野球は5METSです。しかし、野球は練習と試合では使うエネルギー量が違います。

なので、野球の練習では7METS(サッカー並み)として計算します。

消費カロリーは「1.05×METS×体重×時間」です。これは、練習で消費されるエネルギー量だけではなく、安静時エネルギー消費量も含んでいるので、それを引かなければなりません。

A君の安静時エネルギー消費量は2025kcalです。安静時エネルギー消費量は1日分ですから、1時間単位にすると2025kcal÷24時間=84kcalとなり、何もしなくても生きているだけでAくんは1時間84kcal消費していくこととなります。

(1.05×7METS×75kg×4時間)-(84kcal×4時間)=1869kcal

よって、Aくんは野球の練習で1日1869kcal使っている事になります。

③体重増加するためのエネルギー

Aくんは半年で5kgの体重増加したいと思っています。体重1kg増やすには7000kcal必要です。

なので、7000kcal×5kg=35000kcal必要ということになります。

半年(182日)で増やすのですから、1日で増やさなければいけないエネルギー量は日数で割れば求められますね。

35000kcal÷182日=192kcal

Aくんは1日192kcalづつ増やすと体重は半年で5kg増加します。

A君が摂るべきエネルギー量はなんと約5500kcal

3つのエネルギー量が出ましたので、それを合計するとAくんの1日のエネルギー量が算出できます。

3553+1869+192=5414kcal

日常で使うエネルギー+練習で使うエネルギー+体重増加するためのエネルギー

Aくんの摂るべきエネルギー量は1日約5500kcalということになります。さすがは高校球児、かなりのエネルギー量ですね!

高校野球選手の食事は米が主体

Aくんの5500kcalは何から摂ったらいいのでしょうか?高校球児でも一般人でも、栄養のバランスに違いはありません。

・糖質6割
・脂質3割
・タンパク質1割

このバランスで摂っていきます。

最も多く摂る糖質ですが、基本は「米」です。糖質は米の他に芋類や砂糖なども含まれますので、米からとるエネルギー量は5割と考えます。

つまり、2750kcalを米で摂るということですね。ご飯1合は534kcalです。

1日で食べる米の量は約5.2合なります。ご飯の量にして1.7kgになりますね。

脂質とタンパク質はおかずから摂ることになります。おかずについては、細かく計算すると、肉の種類や部位、魚や卵、調理方法といろいろ出てきて混乱してしまいます。

Aくんの必要エネルギー量であれば、おかずは以下のルールで食べれば大体必要エネルギー量を満たします。

・食事のメインが肉料理なら、肉を150g程度にする。
・食事のメインが魚料理なら、魚は2切れにする
・朝食に卵を食べるなら2個までにする。
・朝食にウインナーを食べるなら、5本までにする。
・牛乳は毎日200ml飲む。

※タンパク質から摂るエネルギー量を550kcalとし、タンパク質量を550/4≒138gと算出。米のタンパク質量は5.2合で41.6g、牛乳200mlのタンパク質量を6.8gとし138-41.6-6.8=89.6g。89.6gのタンパク質量を朝食2/8、昼食夕食3/8摂ると考え、朝は22.4g昼食夕食は1食約34g。肉は豚ロース脂身付き、魚は鮭の切り身100gを基準とした。豆腐や野菜のタンパク質含有量もあるため、それを考慮してタンパク質性食品(肉魚卵乳製品)を上限いっぱいまで設定していない。

ビタミン・ミネラルを摂る

糖質やタンパク質が体のなかでエネルギーとしてきちんと動くためには、ビタミン・ミネラルが必要になります。

体を大きくしようとしてご飯をたくさん食べるようにだけ言われて食べたけれど、どうしても疲れがたまるだけで元気が出ない…といったことが起こった場合は、ビタミンB1が不足している可能性があります。

ビタミンB1は糖質の代謝に、ビタミンB2はタンパク質の代謝に必要なビタミンです。また、その他のビタミンやミネラルも体がスムーズに動くために必要です。

ビタミン・ミネラルが多いのは、野菜や果物類です。また、食物繊維を多く、腸内環境を良くします。腸内環境が悪いと便秘だけではなく、体の不調全体に繋がりますので、野球どころではなくなってきます。

「野菜は嫌い。ビタミン・ミネラルはサプリメントで摂るから構わない」なんてことは、「野球は好きだけど、走るのは嫌い。打てばいいんだ。」と言っているようなものです。

どうしても食べられない野菜が1,2個あるのはまだ許される範囲ですが、野菜全部嫌いう偏食では甲子園が程遠くなりますね。

野菜にはこれを食べれば大丈夫という万能な野菜がありません。さまざまな種類の野菜を毎日摂ることが大事です。1回の食事で野菜のメニューは2品ほど食べましょう。

また、肉の中でも豚肉にはビタミンB1が豊富です。迷った時には豚肉を選ぶのがいいでしょう。

まとめ

高校球児の場合、日常で消費するエネルギー、練習で消費するエネルギー、体重増加のエネルギーの3つのエネルギーを計算するようにします。

食べても痩せてしまう場合は、そもそもの摂取エネルギー量が少ないことも多くありますので、先ずはご飯の量から足りているかどうかを確認しましょう。

食べたご飯をエネルギーにする為にも、ビタミン類の補給量も増やさなければなりません。野菜や果物もしっかり食べ、肉は豚肉を選ぶと良いでしょう。

三沢奈緒子(管理栄養士)●文

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