サッカー、お前もか!~ビデオ判定が導入のために、世界のトップリーグで導入実験が行われる~

日本サッカー協会の1級審判員、そして国際審判員としても活躍して来た松崎康弘氏によるサッカーレポート 『ゴール!』 スタート! 
独自の見解を持ちながら、サッカーの魅力を多角度から解説する。

サッカーのルールはFIFAではなく国際サッカー評議会で統括されている

サッカーの競技規則ができたのは1863年。ずいぶん昔の話だ。世界で最初のサッカー規則として統一されたものは14条から成り、ボールを手で取ってよかったりと(フェアキャッチ)、今とは隔世の感がある。
以降、サッカーの進化やその時代が求める変化に応じて改正が重ねられ、現在の競技規則となった。それでも“サッカーは人がプレーし、人が判定する”という精神は一貫して変わりがなかったが、そのサッカーもビデオに判定を委ねることになりそうだ。

世界のサッカーを統括するのは、FIFA(国際サッカー連盟)である。昨年、会長他の汚職疑惑で世界を震撼させたこともあり、サッカーに詳しくない人であってもその名称を聞いたことがあるだろう。
だが、サッカーの競技規則は他のスポーツと異なり、統括するのは世界のFIFAではない。国際サッカー評議会(IFAB)という英国4協会(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)に、他の207か国と地域を代表するFIFAが入った別組織において検討、改正されているのである。
IFABの設立は1882年で、1904年のFIFA設立より18年も前のことだ。世界初のサッカーの国際試合は1872年のイングランド・スコットランド戦。英国という国は、サッカー界では(ラグビー界でも)4つの“国”から構成されている。国際サッカー評議会はこの4ヶ国の国際試合を円滑運営するべく競技規則を検討することに端を発し、今に至っている。サッカーの母国として、伝統と権益が100年を超えて保持されていることには驚嘆する。
FIFAであっても、ヨーロッパ、アジア、南米他の大陸連盟、サッカーを行っている諸国でさえも、このシステムを容認している。

変わるルール。サッカーもビデオ判定の時代に

国際サッカー評議会は自身をサッカーの“競技規則の監理者”だと自負し、より時代にあったものに規則を改正してきた。
例えば、オフサイド。サッカーが誕生した当時はラグビーのようなものだったものが、ゴールキーパーを含め2人(最初は3人)の守備側選手がいれば「ノットオフサイド」になった。縦の攻撃の柔軟性を高めたことによりスピード感が増し、足でボールを蹴り進めるスポーツのため、広いフィールドをより早く攻撃することでサッカーらしさがより醸し出されるようになった。

他方、“伝統を重んじる”側面も多々あった。他のスポーツでは審判の判定は尊重するものの、より精度を高めるために機械を導入した。野球や、テニス・バレーボールのチャレンジ、ラグビーのTMOなどである。
一方のサッカーは、それをかたくなに拒んできた。導入可否について研究はしていたが、ボールがゴールに入ったかどうかを機械が判定するゴールラインテクノロジー(GLT)でさえ、検討の凍結を宣言していた。2012年6月までは・・・。
それが大きく方向転換することになったのは、サッカーワールドカップ(WC)南アフリカ大会イングランド・ドイツ戦がきっかけとなった。明らかにボールがゴールインしたのにもかかわらずノーゴールの判定になったからだ。
1年半後、日本で行われたクラブワールドカップ。完成を見たGLTがお披露目された。FIFAはこれにより試合の品質がより高まると自画自賛し、以降さまざまなワールドカップで使用している。2014年ブラジル・ワールドカップは、フランス・ホンジュラス戦で、人間では判断できないギリギリのゴールインを得点と判定した。これには確かに、感動を覚えたものである。

サッカーも今、変革期を迎えようとしている。

松崎康弘●文

【次ページ】 実際どうなる?ビデオ判定


 

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