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『日本一のいいチーム』がスローガン!小山台高校野球班

 2018/07/16 高校野球と甲子園
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都立小山台高校の夏

〝日本一のいいチーム〟を毎年のチームスローガンとする都立小山台が、7月14日、初戦(3回戦)を突破した。

100回の記念大会のため神奈川や愛知などが東西に分かれたことにより、東東京大会は今大会でもっとも多い132チームが参加する激戦区となっている(西東京は130チーム)。

そんな中、小山台は今春の大会でベスト8に残り、2009年以来の四隅、つまり東東京の第一シードを獲得しての参戦である。

帝京、二松学舎、関東一、あたりがやはり抜きんでているものの、本命不在と言われる東東京。

甲子園を目標とする小山台にとって第一シード獲得は追い風だ。

だがこの日の相手日本ウエルネスは、初戦で東京を破った城西大城西を延長の末に下し、勢いに乗っての3回戦である。

高校野球は1戦ごとに力をつけたくましくなると言われ、初登場のシード校が勝ち上がってきたチームに足元をすくわれるケースは少なくない。

率いる福嶋正信監督も「大変な戦いになる」と、かなりの警戒心を持って初戦に臨んでいた。

先攻の小山台にとって何よりよかったのは、2本のヒットで初回に得点したことだ。その裏、エース戸谷がヒット1本を打たれるが後続を抑え、以降は落ち着いた試合運びで回が進んでいく。

ヒットはなかなか打てないものの、この日の小山台の守備は鉄壁だった。

サード、ショートに多くゴロが飛び、いずれも好フィールディングを見せる。バッテリーも含め、内野陣全員の好守が光った。

知っての通り、小山台のグラウンドは狭い。いわゆるネットで四方を囲まれた校庭。

その半分を他部と分け合って使ったり、使えずに押し出される日もある。そんな日は駐輪場など余りスペースを活用するほか、外に出て公共のグラウンドを借りたりもする。

普段は思い切り打つことはもちろん、思い切り守れる日も決して多くはないのだ。しかも17時が完全下校。

こうしたハンディを抱えながらも土日の練習試合で経験を積み、すっかり有名になった野球ノート(日誌)で個々が振り返りや探究を重ね、それぞれできる限りのレベルアップを図ってきた。

試合は5回に同点にされるも、7回に走者2人を塁に置いてレフト前への二塁打が飛び出し、2点追加。

ここで再びリードを奪った小山台は、1打出れば試合展開が大きく変わりそうな場面もあったが、流れを最後まで相手に渡すことなく競り勝った。

最後は暑さからか疲労が心配された戸谷だったが、緩急つけたクレバーな投球が光り期待を裏切らなかった。

もう一度甲子園へ

2014年春のセンバツに出場した小山台だが、そのプライドがチームにきっちりと浸透し、とくに今年の3年生はセンバツ出場がきっかけで小山台を目指した選手も多く、意識はいつにも増して高いはずだ。

そして、これまでのチーム同様、相変わらず簡単には負けない。

都立、いや私学でも強い年もあればあっさり負けてしまう年もあり、一定の力を維持するのは並大抵のことではないのだが、福嶋監督が指揮を執ってからというもの、とりこぼしはまずないといっていい。

甲子園出場経験のある私学をいくつも倒しているし、いったどこからこうした底力が沸いてくるのだろうといつも不思議になる。

見ていて選手は粘り強く、いつも慌てない。特別うまいわけではない、どちらかというと非力なのだが最後にはいつも勝っている。

その背景をこの先もっと探っていきたいと思うのだが、やはり特筆すべきは指導者の本気度だろう。

自らを鼓舞するような強い個性を打ち出す諸監督もいるが、静かに炎を燃やし続けているのが福嶋監督。

技術よりも、まず重んじるのは人としてのマナー。「ま、それくらいいいじゃないか」と、公立ならば許されてしまいそうな言動にも人一倍厳しく、目をつぶれば楽であろうことにもきちんとこだわる。

それは小山台のチームカラー、プレーにすべて現れており、1人の公立高校の教員として悩む場面も多々あるであろうが、その壁を少しずつ乗り越えて、教諭として最後となるここ数年に「もう一度甲子園へ」と闘い続けている。

そして、そんな監督をバックアップする部長、助監督、コーチ陣がまた素晴らしい。

土日はA、B、Cと3つに分けたチームをそれぞれ率い、鋭いノックを打ちながら選手を鍛え、スタッフの一員として役割を果たす。

福嶋監督が最終的にチームをまとめるのだが、都立でここまでまとまっているチームは他にない。先生たちが一つになっているから、選手たちも自然に一つになる。

細かく見れば公立ゆえにいろいろあるのが実情かもしれないが、最後にはこうして見事に結束する。

「周りの人の力があるからここまでやれる」と、他のスタッフを信頼し、無理に表に出たがらない福嶋監督の言葉がまた印象的だ。

この日も小山台の応援席には多くの関係者で埋まっていた。「小山台のスタンドはいつも人が多いな」と、とある高野連の理事がスタンドを見上げて言っていた。

センバツ出場以来、注目しているファンも少なくないことだろう。

ベスト4が壁となり、いつも帝京など名門校に最後はガツンとやられてしまうが、100回大会の夏、どこまで強豪私学に肉薄できるか。楽しみに見守りたい。

関連:場所なし・金なし・時間なし!三重苦でも甲子園出場!小山台高校

ところで、学校は目黒線・武蔵小山駅前にあるのだが、ロータリーを挟んで学校とちょうど反対の位置に、現在、高層マンションの建築工事が進んでいる。

駅前の便利なマンションとしてニーズは高そうだが、そのおかげで小山台のグラウンドが今後完全に日影になってしまうのだという。

燦々と日差しの届くグラウンドと、ぼんやり陰になったグラウンドでは気持ちのうえで大違いだ。

今、都立は私学の授業料無償化の影響で入学者が激減し、野球部員も大幅に少なくなっている。

マイナスでなく、もっと背中を押してくれるような明るい話題を届けてほしいと願うばかりだ。

藤井利香●文

※小山台高校の野球をもっと詳しく読むならコチラから。

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ライター紹介 ライター一覧

藤井利香

藤井利香

東京都生まれ。日本大学卒。
高校時代は(弱小)ソフトボール部の主将・投手・4番として活躍。大学では、体育会ラグビー部の紅一点マネージャー。関東大学リーグ戦グループ・学生連盟の役員としても活動。
卒業後は商社に勤務するも、スポーツとのかかわりが捨てがたく、ラグビー月刊誌の編集に転職。5年の勤務のあと、フリーライターとして独立。高校野球を皮切りに、プロ野球、ラグビー、バレーボールなどのスポーツ取材を長く行う。現在は、スポーツのほかに人物インタビューを得意とし、また以前から興味のあった福祉関係の取材等も行っている。

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