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アキレス腱断裂の治療・手術・リハビリの全知識

 2017/07/23 ケガと予防法
  26,847 Views

30代から40代のスポーツをしていて起こりやすいアキレス腱断裂。

最近は20代の若い層にも多く見られるようになってきました。

アキレス腱断裂はスポーツの怪我の中でも重症度が高く、復帰までに長い期間がかかります。

今回は
・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生
の2名が、アキレス腱断裂の治し方・リハビリについて解説していきます。

アキレス腱断裂の治療と手術・リハビリを教えます。

スポーツをしていてジャンプ動作や急なダッシュ、ステップ動作をした際に起こりやすいです。ケガをした際は「バチン」と何かが弾けた様な音がしたり、誰かにふくらはぎを殴られたような感覚があります。

主に30代から50代くらいのスポーツをしている人に多く、特に男性に多いのも特徴です。

9割方がスポーツが原因ですが、50代以降の人では転倒や転落など不慮の事故でアキレス腱断裂をする事もあります。また急に小走りをした程度でもケガをしてしまう事もあります。

増田先生
なので、アキレス腱はどのような人でも起こり、どのような条件でも起こりうるケガです。

アキレス腱とは

ふくらはぎにある下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)という筋肉が束になっていて、かかとに付いている人間の身体の最大の腱です。

ふくらはぎの筋肉の収縮をかかとに伝える事で、歩いたり、走ったり、ジャンプしたりといった動作を可能にしています。

そもそも腱とは

筋肉と骨をつなぐ部分の事で、実際に伸張性はあまりありません。筋肉が伸び縮みする事で関節は動くのですがその筋肉の収縮の力を骨に伝えるのが腱の役割です。

アキレス腱はふくらはぎの筋肉の収縮をかかとに伝えています。

アキレス腱断裂の症状

バチンという音がした後に、痛みを伴い歩行が困難となります。完全に断裂した場合は足首を動かす事や、つま先立ちが出来なくなります。

陥凹

また断裂部分に窪みができる陥凹(かんおう)が見られることが多く、アキレス腱断裂の判断材料となります。

またふくらはぎの筋肉を手で握るとつま先が下に動くのが正常ですが、アキレス腱が断裂している場合は動きません。この確かめる方法をトンプソンテストといいます。

トンプソンテスト

アキレス腱断裂はふくらはぎの筋肉の柔軟性低下や筋力低下、疲労が原因といわれます。

アキレス腱断裂を経験した主なスポーツ選手

クルム伊達公子

プロテニス選手
2002年に受傷

西岡剛

阪神タイガース
2016年7月 試合中の走塁の際に受傷

前田智徳

広島カープ
1995年5月 試合中の走塁の際に受傷

デイビット・ベッカム

元サッカーイングランド代表
2010年 試合中、パスを受け後ターンをした瞬間に受傷

川口能活

元サッカー日本代表ゴールキーパー
2012年 3月 練習中に受傷

大津祐樹

ロンドン五輪サッカー代表
2013年12月 試合中に受傷

アキレス腱断裂の治療

アキレス腱断裂の治療法は大きく分けて保存療法と手術療法とに分けられます。

保存療法

出典:http://good-health.jp/achilles-tendon-smile-805

患部を切開したりはぜずに治療する方法です。アキレス腱断裂の場合は足首をつま先を下に向けた底屈位にしてギプス固定をします。一般的には7~8週間は固定といわれており、松葉杖をついての生活を余儀なくされます。

保存療法のメリット

●身体を切開しないので身体に負担がかからない

●治療代が安くすむ

保存療法のデメリット

●ギプスでの固定期間が長い

●アキレス腱・再断裂のリスクが手術よりやや高い

完全に断裂していて腱に連続性がない場合は保存療法は選択されません。

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手術

アキレス腱断裂部分を縫合して修復する方法です。

手術療法では一般的に2~3週間ギプス固定を行い、全体重をかけて歩くのに一ヶ月程度、スポーツ復帰には半年以上かかるとされています。

手術のメリット

●保存療法よりも固定期間が短い

●再発のリスクが低い

アキレス腱断裂の手術の種類

経皮縫合術

皮膚を切開せずにアキレス腱を縫合する手術です。小さな穴を4つ程開けて、その穴から操作してアキレス腱を縫合します。局所麻酔で行い、また皮膚を切開をしないため手術の時間も短く、身体への負担が少ないというメリットがありますが、最近ではあまり多く見られていない手術です。

直視下縫合術

皮膚を切開して直にアキレス腱を縫合する手術です。基本的に全身麻酔で行います。

アキレス腱断裂のリハビリ

手術方法や施設によっても異なりますが、一般的な手術~復帰までのリハビリのスケジュールは以下です。

リハビリのスケジュール

●手術直後
ギプス固定にて松葉杖歩行

●手術後4~5日
体重がかけられるギプスに変更
踵の部分を高くしたギプスを装着します。
足首はつま先が下に向く底屈位です。

この時点で退院が可能となる事が多いです。

●手術後12~14日
ギプスから装具に変更

●手術後4週間
自転車漕ぎなど開始

●手術後5週間
装具なしでの歩くリハビリ開始

●手術後6週間
両足でのつま先立ちなどのリハビリ開始
装具を完全に外せるようになる

●手術後10週間
片足でのつま先立ち開始

●手術後4~5ヶ月
軽めのスポーツ開始

●手術後6ヶ月
スポーツ復帰

もちろん個人差があり、復帰までさらに時間がかかるケースもあります。特に注意しないといけないのは無理をしすぎて再断裂をする事です。

医師にしっかりと状態を確認してもらい、理学療法士の指示の元、リハビリを段階的に行なっていく必要があります。スポーツの復帰はきちんと許可を得てからにしましょう。

アキレス腱断裂の再発率
保存療法10.7~20.8%
手術療法1.7~2.8%

という統計が出ています。

スポーツへの復帰の期間は保存療法でも手術療法でも大きな差はないともいわれています。

保存療法か手術療法どちらを選ぶかは担当の医師に確認しながらメリット、デメリットをふまえ考える必要があります。

アキレス腱断裂の予防

アキレス腱断裂は急なダッシュやストップ、ターンなどで負荷がかかった際に発症しやすいです。

一流のプロスポーツ選手も多く発症している事から完全に防ぐ事は困難ですが、ならないための予防は大切となります。

アキレス腱断裂の前兆として現れる症状として2~3週間前にアキレス腱痛を訴える事があるとの意見もあります。

スポーツをしていてふくらはぎやアキレス腱に張り感や痛みがある場合は疲労の蓄積が考えられるため、しっかりとケアする事が大切です。

アキレス腱のサポーターもあるので再発を抑えるために使ってみるのもいでしょう。

また普段あまり運動をしていない人は柔軟性や筋力が乏しくなっている可能性も考えられるため十分なウォーミングアップも大切です。

アキレス腱はふくらはぎの筋肉が束になって収束している部位であるためふくらはぎの筋肉の柔軟性が重要となります。

つま先を真っ直ぐ向けてかかとが浮かないようにして行う事が大切です。

ふくらはぎの筋肉は他の部分とつながっている!

アキレス腱断裂の予防のためにはふくらはぎのストレッチが重要と伝えましたが実はそれだけでは不十分です。
人間の体は筋膜という筋肉を包む膜によって全身が繋がっています。

この図を見るとふくらはぎの筋肉は太ももの裏や足の裏ともつながっているのがわかるかと思います。

ですので、ふくらはぎだけではなく太ももの裏のハムストリングや足の裏の足底筋膜の柔軟性が低下していてもアキレス腱断裂のリスクが高まる可能性があります。

これらもストレッチする事によって柔軟性を高める事も重要です。

ハムストリングスストレッチ

正しいフォーム

椅子に座り伸ばす方の足を真っ直ぐに伸ばします。つま先を上に上げて身体を前に倒していきます。ハムストリングスが伸びている事を感じながらゆっくりと30秒以上ストレッチします。

これはダメ

身体を前に倒す際に骨盤が後ろに倒れて、猫背姿勢となっているとあまり効果がありません。

足底筋膜炎リリース

テニスボールなどを足の裏に置き、体重をかけながらグリグリと転がして足底筋膜をマッサージします。

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まとめ

●アキレス腱断裂は重症度の高い怪我でスポーツ復帰まで半年以上の時間を要す

●多くは手術療法が選択される

●予防ではふくらはぎの筋肉はもちろんだが、足裏や太ももの筋肉の柔軟性も重要となる

増田陽子(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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