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肩鎖関節脱臼の治療・手術・リハビリ・テーピング・サポーター全知識

 2018/01/02 ケガと予防法
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腕を上げたときなどの運動をしたときに痛みを感じたことはないですか?また夜寝ているときに痛くて痛くて仕方ないということはないですか?

そんな症状がある場合、肩鎖関節脱臼かも知れません。

今回は

・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生

の2名がラグビーや柔道などのボディコンタクトスポーツや転倒した時などにケガをしやすい肩鎖関節脱臼の治し方・リハビリの方法について解説していきます。

肩鎖関節脱臼とは

肩鎖関節脱臼は、肩鎖靭帯が断裂をして、鎖骨が肩甲骨に対して上に上がってしまう状態をいいます。

主にスポーツなどで転倒して肩の外側を強打する事でケガをします。

肩鎖関節脱臼になりやすいスポーツ

  • ラグビー
  • アメリカンフットボール
  • サッカー
  • 柔道
  • レスリング
  • 競技自転車
  • スキー

また交通事故や転倒によって手を強く突いたりした際にも肩鎖関節脱臼の原因です。

肩鎖関節とは

肩鎖関節とは鎖骨の外側の先端と、肩甲骨の肩峰という部位で出来ている関節です。

ポイント

●鎖骨と肩甲骨をつないでいる肩鎖靭帯

●肩甲骨の烏口突起と鎖骨をつないでいる烏口鎖骨靭帯(菱形靭帯と円錐靭帯)

という2つの靭帯によって補強されています。

烏口鎖骨靭帯の重要な役割

烏口鎖骨靭帯

烏口鎖骨靭帯は菱形靭帯と円錐靭帯があります。

肩の動きにとても重要な役割を果たしています。

烏口鎖骨靭帯の役割

①肩甲骨を吊り下げる(支持)

円錐靭帯と菱形靭帯によって肩甲骨は鎖骨から吊り下げられています。

強靭な靭帯なので腕の重さがかかっても大丈夫です。

②肩甲骨が下内側に滑るのを防いでいる

肩鎖関節は下内側滑りやすい構造となっていますが、それを防いでいる役割があります。

③鎖骨と肩甲骨との運動の伝達、緩衝

烏口鎖骨靭帯の緊張や弛緩によって、肩甲骨と鎖骨の動きを調整しています。

肩鎖関節は腕の動き、肩甲骨の動きをスムーズに行うためにとても重要です。

また肩鎖関節がしっかり機能する事で肩を動かすことが可能となっています。

ちなみにこの烏口鎖骨靭帯の機能をc-cメカニズムと呼びます。

肩鎖関節脱臼の症状

肩鎖関節脱臼になると以下の症状がみられます。

  • 肩鎖関節部分の圧痛
  • 安静時の痛み
  • 夜間痛
  • 腕を上げた際などの運動時の痛み

肩鎖関節脱臼の診断

肩鎖関節脱臼はレントゲン検査にて診断されます。典型的なのは鎖骨が上方に変位してしまいます。

増田先生
変位とは、収まるべき位置に骨や腱などが収まっていないことを言います。

鎖骨が上方に変位

レントゲンではなく見た目でも鎖骨が上方に変位しているのが、わかることもあり、鎖骨を上から押すと一度凹みますが、再び上に上がってくる現象がみられます。

この現象をピアノの鍵盤のようにみられることから、piano key sighと呼んでいます。

肩鎖関節脱臼の損傷分類

肩鎖関節脱臼の重症度による分類はいくつかあります。
その中でも代表的な『Tossyの分類』を紹介します。

Tossyの分類
グレードⅠ:肩鎖靭帯の損傷

肩鎖関節の挫傷で、疼痛、腫れ、圧痛は関節のみです。

大きな変形もなく、レントゲン検査でも関節の骨と骨の距離が離れている状態(離開)の兆候が少しだけ見られる程度です。

グレードⅡ:肩鎖靭帯の断裂


関節のみに疼痛、腫れ、圧痛があり、強く腕をあげる(挙上)することが困難です。

鎖骨の外側が突出していることもあります。

レントゲン検査でも鎖骨が上方に変位している所見がみられます。

グレードⅢ:烏口鎖骨靭帯断裂

鎖骨外側端にはっきりと変形がみられ、鎖骨は上後方に転位しています。

肩甲骨の烏口突起と鎖骨の間も骨と骨の距離が離れている状態(離開)がみられます。

この烏口突起と鎖骨の離開のレントゲン所見は、烏口鎖骨靭帯の断裂の可能性が高いです。

肩鎖関節脱臼の治療法

肩鎖関節脱臼の治療法は大きく分けて保存療法と手術療法の2つに分けられます。

グレードⅠ・Ⅱの損傷では基本的に保存療法で、グレードⅢは手術療法で行われる事が多いですが、損傷の具合や医師の判断によって治療法は変わります。

保存療法

保存療法の場合は三角筋やアームスリングなどを用いて腕を固定します。大体2~3週間程度、固定をします。

その後痛みの状態や回復の具合をみて、腕の可動域訓練を行っていきます。

初めのうちは腕を90°以上は挙げないようにして肩鎖関節へ負担をかけないようにします。

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手術療法

肩鎖関節脱臼後の手術療法にはいくつか種類が存在します。

Phemister法

キルシュナー鋼線を肩峰の外側から肩鎖関節面、鎖骨内に通過させて鎖骨の骨を貫くまで通して固定する方法です。烏口鎖骨靭帯の縫合も行う場合があります。

Bosworth法

肩鎖関節を整復位置に保持し、鎖骨上面から烏口突起に向けてスクリューボルト一本で固定する方法です。

烏口鎖骨靭帯の縫合も行う場合があります。

Neviaser法

烏口肩峰靭帯を切離し、上下反転させて鎖骨の上面に移行縫合して、肩鎖靭帯を再建する手術です。

Cadenat法

烏口肩峰靭帯を切離し、これを鎖骨上面に移行縫合して、烏口鎖骨靭帯を再建する方法です。

Dewar法

烏口突起に付着している筋肉(上腕二頭筋、小胸筋、烏口腕筋)の一部を烏口突起先端ごと鎖骨下面に移植し、移行された筋肉の引き下げる力で鎖骨を整復する方法です。

Weavdr法

脱臼した鎖骨を約2センチ切除し、その断端に切離した烏口肩峰靭帯を移行する方法です。

肩鎖関節脱臼、手術後のリハビリの流れ

肩鎖関節脱臼での手術後のリハビリの大まかな流れを説明していきます。
(Phemister術後の場合)

手術後のリハビリ

●手術後~2-3日

・炎症による腫れや熱感、痛みの沈静化のためにRICE処置を行う

●RICE処置とは

Rest(安静): 患部を極力動かさない。

Ice(冷却): 患部を冷やして血管を収縮させて腫れや熱感を最小限に留める

増田先生
患部を冷やす際には、15分冷やしたらやめ、また痛みが出だしたら15分冷やすというようにしましょう。ずっと冷やすのは却ってダメージを与えてしまいます。

Compression(圧迫): 患部を適度に圧迫して腫れ、炎症を抑える

Elevation(挙上): 心臓よりも高い位置に患部を置き腫れ、炎症を抑える

●2・3日~5・6週目

・可動域訓練
  肩甲骨を固定した状態での可動域訓練。
  ※90°以上挙上しない

・筋力トレーニング
  肩甲骨周囲、腕周囲の筋力トレーニングを肩鎖関節に負担をかけないようにして行う

●6週目以降

・固定ピンの抜釘
・積極的な可動域、筋力トレーニング開始

●8~10週目  

リハビリ終了

固定のピンを抜去するまでは肩鎖関節に負担をかけないよう90°以上の腕の挙上はしないようにします。医師、理学療法士の指示の元でリハビリを行っていきます。

肩鎖関節脱臼のテーピング

肩鎖関節の固定をするテーピング方法を紹介します。主に再発予防、軽度の痛みの緩和目的に使用されます。

ハード伸縮テープを使用します。

増田先生
ハード伸縮テープも慣れていない方は自分で行うのはあまりおすすめしません。プロの方に最初はやり方を習ってから行いましょう。
桜井先生
僕のような理学療法士がいる病院で教えてもらうといいでしょう。。

ハード伸縮テープとは

生地が強く、手でちぎりにくいタイプです。伸縮性があり、主に関節のサポート・関節の固定に用いられます。

強いサポートや固定が期待できるテープです。

テーピングの巻き方

腰に手を当てた状態で、肘を曲げて脇を開きます。腕の一番太い部分にテープを一周巻き、痛みのある方の肩に背中から胸までテープを巻きます。


ケガをした箇所を通るように、上腕の正面から首の付け根までテープを貼ります。

ケガをした箇所を通るように、上腕の側面から首の付け根までテープを貼ります。

ケガをした箇所を通るように、上腕の後面から前面にかけてテープを貼ります。

①の上にもう一枚ずつテープを貼ります。肩鎖関節の位置より内側で圧迫します。

胸の下からわきの下を通って背中まで2本真横にテープを貼って完成です。

肩鎖関節脱臼のサポーター

サポーターによる固定も、再発予防に有効です。

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まとめ

●肩鎖関節脱臼ボディコンタクトスポーツや転倒、事故で受傷しやすい。

●損傷具合によって重症度のグレードがあり、手術が必要となる事もある。

●リハビリには8~10週間かかり、テーピングやサポーターも有効である。

桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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