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サッカーの怪我!グロインペイン症候群の治し方・ストレッチ・テーピングの全知識

 2017/09/02 ケガと予防法
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サッカー選手に多い脚の付け根、股関節の痛みを生じるグロインペイン症候群。

多くのプロサッカー選手も悩まされるこのケガ。

今回は
・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生
の2名が、グロインペイン症候群について解説していきます。

サッカー選手に多い怪我・グロインペイン症候群とは

難しい名前なので、まずは言葉の意味をみていきましょう。

グロインペイン症候群とは

●グロイン=鼠径部(そけいぶ=股の関節)

●ペイン=痛み

●症候群=同時に起こる一群の症候の事。原因不明で同じような症状を呈する場合に扱われる事が多い

つまり鼠径部(股の関節)の色々な痛みが出る状態の総称のことをグロインペイン症候群と呼びます。

別名は鼠径部痛症候群とも言われています。

特にサッカー選手に多くみられ、サッカー選手の職業病とも言われています。まだ治療法も確立されていないため、慢性化しやすく選手生命を左右する事もあるケガです。

グロインペイン症候群の症状

グロインペイン症候群の症状は主に鼠径部、下腹部、坐骨部、睾丸部に痛みを生じます。

初めは強いボールを蹴るときや、全力で走った際などに痛みを生じます。

増田先生
この時に病院に来ると治りが早いのですが、大半の方が使い痛みや痛めたと勘違いして、休むだけなので病院に来る際にはかなり症状が進行してしまっているのがこの病気の特徴です。

段々と悪化するにつれ軽くボールを蹴るときや歩く際にも痛みが生じ、日常生活にも支障をきたしてしまう事もあります。

グロインペイン症候群の種類

実はグロインペイン症候群は1つのケガだけを指すものではなく色々な股関節のケガをいいます。主な股関節のケガについて説明していきます。

恥骨結合炎

恥骨とは骨盤の下にある骨で、左右の恥骨が合わさっている部位を恥骨結合といいます。

ここに内転筋と呼ばれる骨盤から膝に付着する筋肉やお腹の筋肉である腹直筋が付いています。

これらの筋肉の使いすぎ(オーバーユース)により付着している恥骨結合が炎症を起こしてしまうのが恥骨結合炎です。

内転筋腱障害

図のように骨盤から膝にかけて内転筋という筋肉が付いています。

脚を内側に動かす股関節の内転という動きの働きがあります。

この筋肉が外力によって無理に引っ張られたり、使いすぎ(オーバーユース)によって損傷を受けると鼠径部の痛みとなって症状が生じます。

スポーツヘルニア(鼠径ヘルニア)

出典:https://medicalnote.jp/contents/151125-000067-NBNEND

鼠径管と呼ばれる鼠径部にある管から腸などの臓器がはみ出てしまう状態です。

鼠径管の後ろの壁になる部分が弱っている状態でお腹に力がかかると、その腹圧によって押し出される事で発症します。

増田先生
それ以外にも鼠経ヘルニアは大きく3種類に分かれ(外・内・大腿)、子供からお年寄り、または妊婦さんまで鼠経部に圧力がかかることによって、誰にでも起こりやすい症状です。
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腸腰筋機能障害

腸腰筋とは大腰筋と腸骨筋という筋肉の総称です。

大腰筋は図のように背骨から太ももの骨についており、脚を前に上げるような股関節の屈曲という動きに使われます。

腸骨筋は図のように骨盤の横、腸骨という骨から太ももについている筋肉で脚を前に上げるような股関節の屈曲という動きに使われます。

サッカーのキック動作はこの腸腰筋が働く事で行われます。そのため繰り返されるキック動作のやりすぎ(オーバーユース)にてこの腸腰筋が損傷されて痛みを引き起こします。

※他にも股関節を安定させている関節唇という軟骨の損傷や靭帯の損傷など、多数のケガもグロインペイン症候群に含まれます。

グロインペイン症候群の原因

グロインペイン症候群の原因はキック動作やダッシュなどの反復によるオーバーユースが挙げられます。

また足首や膝の怪我が原因で、柔軟性低下や筋力低下などを起こした状態でスポーツを続けていて股関節に過剰な負荷がかかる事でも発症します。

また股関節は骨盤や背骨との協調的な動きが要求されるため、骨盤や背骨の動きの悪さも原因として上げられます。

グロインペイン症候群の原因

●使いすぎ(オーバーユース)

●足首や膝の怪我による負担の増大

●骨盤や背骨の動きの悪さによる負担の増大

グロインペイン症候群の治し方

まだグロインペイン症候群の治療法は確立されたものがあまりないのが現状です。

痛みがある時は基本的に安静にする事が大切です。特に痛みが強い時期は痛みの原因となっている運動を休止し、回復を待つ必要があります。

しかし、安静にして痛みが減ったとしても負担をかけている原因が残っている場合は復帰してもまた痛めてしまう可能性が高くなります。

そのため股関節や骨盤、背骨の柔軟性を高めたり、脚と体幹が協調的に働く動作を身につける事がグロインペイン症候群の予防、対策となります。

グロインペイン症候群になった主なサッカー選手

多くのサッカー選手がこのグロインペイン症候群に悩まされています。

中山雅史

元日本代表
ワールドカップでの日本人初得点者

中田英寿

元日本代表
日本からイタリア、イングランドで活躍し、2014年に引退

中村俊輔

元日本代表
現在はジュビロ磐田で現役でプレー

長谷部誠

日本代表キャプテン
ドイツフランクフルトに所属

ジネディーヌ・ジダン

元フランス代表 2006年に引退
FIFA世界最優秀選手、バロンドールなどの個人タイトル受賞
ワールドカップ、ヨーロッパチャンピオンズリーグ、欧州選手権などの優勝も経験

キック動作に必要な身体の特徴

プロサッカー選手のキック動作を見ると、蹴る脚を大きく後ろに振りかぶると同時に反対側の手も大きく後ろに反らす動きがともなっています。

実はこの自然に習得する動作は理にかなっているクロスモーションという動きなのです。

脚の筋肉は反対側の肩甲骨や腕と斜めにクロスするように連結しており、 プロ選手のキック動作のように協調して働く事でより強いボールを蹴る事を可能としています。

脚とその反対側の手を大きく反らす事によって身体をバネのようにしならせて、その反動力をつかう事でより大きな力を生み出すようなイメージです。

もし蹴る脚と反対側の肩甲骨や背骨・腕の動きが阻害されていたら、その分より強い力が脚に求められます。その過剰な力が重なる事にとって股関節を痛め、グロインペイン症候群となりやすくなるのです。

グロインペイン症候群の予防・リハビリ・テーピング

グロインペイン症候群の予防としては先ほど上げたクロスモーションを使ったキック動作の習得が重要となります。

そのためには股関節、肩甲骨、背骨の柔軟性獲得とクロスモーションを支える体幹の筋力が重要となります。

そのためのストレッチ、トレーニングを紹介します。

グロインペイン症候群のストレッチ① 腸腰筋

膝を立て、伸ばしたい方の足を後方に引きます。
背中が丸まらないように、お腹を前に突き出すようにして股関節の前面を伸ばします。伸びている状態で30秒以上ストレッチします。

グロインペイン症候群のストレッチ② 内転筋

伸ばしたい方の足を伸ばし、反対側は膝を付きます。
内転筋が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

グロインペイン症候群のストレッチ③ 臀部

伸ばす方の足を前にして写真のように交差します。肘で前の膝を抑えて、体を伸ばす方の足と反対に捻ります。
臀部が伸びている状態で30秒以上ストレッチします。

グロインペイン症候群のストレッチ④ 大胸筋

写真のように腕を壁に当てた状態で体を腕と反対にひねります。
胸の前が伸びているの状態で30秒以上ストレッチします。

グロインペイン症候群のストレッチ⑤ 広背筋

四つ這いで両手の小指と肘をくっつけます。

そのまま踵とお尻がくっつくように後ろに屈んでいきます。
腋から背中らへんが伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

※ここからは体幹を鍛えるエクササイズを紹介します。

グロインペイン症候群のストレッチ⑥ 背骨

四つ這いで身体全体を丸める、反らすように交互に動かす。

         

肩甲骨、背骨の筋力トレーニング

四つ這いで、鍛える側の手を頭の後ろにおきます。

その状態から肘を上に突き出すようにして体の捻れを加えていきます。

クロスモーション

体幹と手足の協調運動のエクササイズです。

方法1

四つ這いの姿勢から左右対側の肘と膝をくっつけるように近づけます。

左右対側手足を体と一直線になるように伸ばしていきます。

方法2

蹴り脚を後ろに引き、反対側の腕を挙げて後ろの反らします

キック動作に合わせて反対の腕を振り下ろします。
振り子のように反復して行います。練習や試合前のウォーミングアップとしても有効です。

グロインペイン症候群のテーピング

また痛みがある際はテーピングにて筋肉の働きをサポートする事も効果的です。
代表的な腸腰筋と内転筋のテーピング方法を紹介します。

用意するもの:テープ(キネシオテープ、またはキネシオテープ)

テーピングは伸縮性のあるキネシオテープ、またはキネシオテープを使用します。

※写真はタイツ上に貼ってますが実際は直接皮膚に貼ります。

腸腰筋のテーピング

膝立ちで脚を少し後ろに引きます。

臍の数センチ横から太もも前面に向かってテープに皺が寄らない程度に引っ張りながら貼ります。

少し内側にずらし、同じように貼ります。

内転筋のテーピング

膝を曲げた状態で脚を開きます。

股関節の内側から膝に向かって皺が寄らない程度にテープを貼ります。

少し内側にずらして同じようにして貼ります。

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まとめ

●グロインペイン症候群は股関節の痛みの総称であり、様々な病態が存在する

●股関節のオーバーユースが主な原因である

●確立された治療方法はないが、背骨や骨盤、肩甲骨の動きの改善が重要である

増田陽子(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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