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野球のケガ・有鈎骨骨折の全治まで!症状・治療・手術・後遺症・リハビリの全知識

 2018/01/09 ケガと予防法
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野球のバッティング・ゴルフ・テニスのスイングなどでケガをしてしまう手首の有鈎骨骨折。

プロ野球選手にとても多い骨折です。

今回は

・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生

の2名が有鈎骨骨折の治し方・後遺症を防ぐリハビリ方法を解説していきます。

有鈎骨とは

有鈎骨って骨はあまり聞きなれないですよね?

有鈎骨はゆうこうこつと読みます。

有鈎骨は手首の小指側にある小さな骨の一つです。

図のように手首には小さな骨8つで構成されています。

この8つをまとめて手根骨と呼びます。

手根骨を構成する8つの骨
●豆状骨(とうじょうこつ)
●三角骨(さんかくこつ)
●月状骨(げつじょうこつ)
●舟状骨 (しゅうじょうこつ)
●有鈎骨 (ゆうこうこつ)
●有頭骨(ゆうとうこつ)
●小菱形骨(しょうりょうけいこつ)
●大菱形骨(だいりょうけいこつ)

手首の関節を動かすためにはこの手根骨の動きが重要です。

有頭骨骨折が起こる原因

有鈎骨が骨折する原因は大きく分けて二つあります。

急激な外力が有鈎骨にかかる

野球のバットスイング時やテニス、ゴルフのスイング時に有鈎骨に強い外力がかかり骨折する事が多いです。

また転倒して手をついた時に有鈎骨骨折を引き起こす事もあります。

野球のバッティングで打ち損じる

特に野球の打者に多く起きるケガです。

バットのグリップが当たる部分がちょうど有鈎骨になるためです。

  • バットの芯でしっかり捉えられれば骨折する事はほとんどありません
  • 打ち損じやファールボールなどではバットにかかる力がモロに有鈎骨にかかるため骨折しやすくなります。

グリップの当たる部分が骨折をするため、右打ちの人は左手を、左打ちの人は右手を骨折してしまいます。

長い月日の蓄積による疲労骨折

繰り返し野球やテニス、ゴルフのスイングすることで疲労骨折を起こして発症する事もあります。

その場合は急激な痛みが出る前から、違和感や多少の痛みが生じている事が多いです。

有鈎骨骨折になった主なプロ野球選手

ケガをした年 選手一覧
1986年 原辰徳(読売ジャイアンツ)
1989年 西村徳文(ロッテオリオンズ)
1996年 中村紀洋(近鉄バッファローズ)
2001年 二岡智弘(読売ジャイアンツ)
2005年 アレックスカブレラ(西武ライオンズ)
2006年 栗山巧(西武ライオンズ)
2007年 今江敏晃(千葉ロッテマリーンズ)
2008年 中田翔(北海道日本ハムファイターズ)
2010年 松田宣浩(福岡ソフトバンクホークス)
2012年 森本稀哲(横浜DeNAベイスターズ)
2013年 大嶋匠(北海道日本ハムファイターズ)
2014年 松本哲也(読売ジャイアンツ)
2015年 枡田慎太郎(東北楽天ゴールデンイーグルス)
2015年 西野真弘(オリックスバッファローズ)
2015年 伏見寅威(オリックスバッファローズ)
2016年 堀内謙吾(東北楽天ゴールデンイーグルス)
2016年 網谷圭将(横浜DeNAベイスターズ)
2016年 ジャフェット・アマダー(東北楽天ゴールデンイーグルス)
2016年 杉谷拳士(北海道日本ハムファイターズ)
2016年 高橋周平(中日ドラゴンズ)
2016年 岡崎太一(阪神タイガース)
2016年 片岡治大(読売ジャイアンツ)
2016年 高橋大樹(広島東洋カープ)
2017年 宇佐美真吾(読売ジャイアンツ)
2017年 雄平(東京ヤクルトスワローズ)

これをみればわかるように多くのプロ野球選手が有鈎骨骨折になっています。

そのため野球選手の職業病といっても過言ではありません。

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有鈎骨骨折の症状

有鈎骨骨折の症状は次の通りです。

  • 腫れ
  • 熱感
  • 痛み

※特に急激な外力による骨折の場合はこの3つの症状が強いです。

さらに

  • 手首の小指側の痛み
  • 圧痛
  • 稀に小指側の痺れが出る
という症状があります。

有鈎骨骨折の治療法

治療は保存療法と手術療法の2種類に分けられますが手術となることが多いです。

保存療法

ギプスによって骨がくっつくまで指と手首を固定します。

有鈎骨には小指を動かす筋肉が付着していため、小指までしっかりと固定する事が必要となります。

※保存療法ではスポーツ復帰まで3ヶ月以上はかかります。

手術療法

有鈎骨骨折後は手術療法を行うことが多いです。

  • 骨折した骨片により神経や腱が損傷しやすい。
  • 早期にスポーツ復帰が可能である。
  • 手術によって切開する範囲も狭く傷が軽度ですむこと。
  • 再発が少ないこと。
  • 有鈎骨は血行不良となりやすいため骨の癒合(骨折部がくっつくこと)がしにくく偽関節になりやすい。
  • 有鈎骨についている筋肉や靭帯により、骨折部の骨片が引っ張られて転移しやすく偽関節になりやすい。
  • ※偽関節・・・骨かくっつかずに、まるで関節のように可動性が大きくなってしまう状態

とにかく痛い!腫れる!そして日常生活ができない!のが手術を行う理由です。

手術療法は大きく分けて2種類の方法があります。

①骨接合術

小さなネジを用いて骨折部を固定します。

ネジによる固定のため強固な固定が可能です。

しかしながら有鈎骨の血流が悪く、骨がくっつく(癒合)がしにくいこともあり、この手術法が行われることは少ないです。

②有鈎骨鈎部摘出術

骨折した部分の骨片を除去してしまう手術です。

有鈎骨が癒合する事を待つ必要がないため早期にスポーツへの復帰が可能となります。

手術からスポーツ復帰までの期間

スポーツ復帰までのスケジュール

●手術後2週間   固定をします。

●手術後2週間~  固定が外れたら手首の可動域訓練、前腕や指、手首の筋力トレーニングを開始します。
 
●手術後4週間~  運動を開始します。その後、徐々に実践的なトレーニングを始めていきます。

●手術後6~8週間 スポーツ復帰

有鈎骨骨折後の後遺症

せっかく治療したわけですから後遺症は避けたいものです。

有鈎骨骨折をしたあとの後遺症は次の通りです。

握力や手首の力が入りにくい

有鈎骨骨折は手首の手術後の固定により筋力が低下し、握力や手首の力が入りにくいといった後遺症がみられやすくなります。

靭帯と筋肉の機能の低下

また有鈎骨には靭帯や筋肉が付着しているため次の部位の機能の低下が懸念されます。

機能の低下とは、簡単に言うと、「物を落としやすい」「力が入りにくい」「前と同じ動きができない」などを低下したと言います。

屈筋支帯

屈筋支帯の特長

●手根骨の部分の手のひら側にある大きな強力な長方形の靭帯です。

●手根管を形成しています。

●豆状骨と有鈎骨、大菱形骨に付着しています。

●手根管を通る筋肉が運動時に浮き上がらないように止めているバンドのような役割があります。

※手根管とは

手首にある手根骨と屈筋支帯で形成されるトンネル様の部位です。

手根管には正中神経、橈側手根屈筋腱、長母指屈筋腱、浅指屈筋腱、深指屈筋腱が通ります。

この手根骨が何らかの原因で狭くなり、神経が圧迫されて痺れや筋力低下をきたすケガを手根管症候群といいます。

短小指屈筋

短小指屈筋の特長

●有鈎骨、屈筋支帯から小指の根元である第五基節骨に付着する筋肉です。

●小指を曲げる時に必要な筋肉です。

小指対立筋

小指対立筋の特長

●有鈎骨、屈筋支帯から第五中手骨に付着する筋肉です。

●小指と親指をくっつけるような対立という動作に必要な筋肉です。

有鈎骨骨折の後遺症の改善のためのリハビリ

有鈎骨骨折後は手首の筋力の低下になるケースが多いので、筋力強化が重要です。

ダンベルやペットボトルなどの重りを使用すると効果的です。

①前腕屈筋の筋力トレーニング

掌を上に向け、肘を伸ばして持っている重りを握り掌側に反らします。

②前腕伸筋の筋力トレーニング

掌を下に向け、肘を伸ばして持っている重りを握り手の甲側に反らします。

③握力のトレーニング

指の力も弱まるため握力を鍛える事も重要です。

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まとめ

●有鈎骨骨折は野球選手に多く見られ、そのほとんどはバッティング時の打ち損じやファールボールなどによるグリップからの外力によるものである。

●治療は手術慮法が選択されることが多い

増田陽子(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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