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変形性股関節症の症状・原因・治療・リハビリ・全知識

 2018/10/28 ケガと予防法
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股関節に生じる痛みや動かしにくさ。

もしかすると変形性股関節症という病態かもしれません。

今回は変形性股関節症について解説していきます。

変形性股関節症とは?

変形性股関節症とは股関節を構成する骨や関節に不具合が生じ、関節にある軟骨の減少、骨の変形をきたす障害です。

日本での有病率は1.0~4.3%で、男性よりも女性に多くみられます。

主に加齢によって症状が悪化する事が多く、発症年齢は40~50歳に多いとされています。

そもそも股関節とは?

股関節

そもそも股関節とはどこを指すのでしょうか?

図のように骨盤と太ももの骨である大腿骨とで構成される関節を股関節といいます。

大腿骨の先端にある丸い部分を大腿骨頭、骨盤にあるくぼみを寛骨臼といいます。

大腿骨頭がソケットのように存在する寛骨臼にハマりこむような形となっています。

正常ではこの寛骨臼が大腿骨頭の約4/5を包み込むようにハマっている事で股関節が安定しています。

変形性股関節症の症状

変形性股関節症の主な症状として

  • 鼠径部臀部の痛み
  • 臀部の痛み
  • 可動域が小さくなってしまう

があります。

痛みの程度によって初期、進行期、末期にわけられます。

変形性股関節症の初期の症状

関節軟骨がすり減り、寛骨臼と大腿骨頭の隙間が僅かに狭くなります。

痛みの度合いや頻度もまだ軽度で、歩き始めや長く歩いた後、運動後に股関節に痛みを感じたり、お尻や太もも、膝回りにこわばりや張り感を感じます。

変形性股関節症の進行期の症状

関節軟骨が広範囲で磨耗し、寛骨臼と大腿骨頭の隙間が明らかに狭くなります。

レントゲンでは骨が変形して骨棘と呼ばれる棘のような形が確認される事があります。

痛みが慢性化し、脚の筋力も低下し始め歩く事にも支障をきたし始めます。

関節の動く範囲も狭くなり、靴下を履いたり、足の爪を切ったりするような動作に支障が出始めます。

変形性股関節症の末期の症状

関節軟骨がほとんどなくなり、寛骨臼と大腿骨頭の隙間が極度に狭くなります。

レントゲンでも骨の著しい変形が確認されます。

左右の脚の長さに違いが見られることもあり、歩く事にも大きな支障をきたします。

痛みや可動域制限も大きくなり日常生活に支障をきたします。

変形性股関節症の原因

変形性股関節症になる原因は大きくわけて2つあります。

1つは加齢による骨の変形の進行による一次性のものです。

もう1つは股関節を構成する骨の発育不全などの異常によって二次的に起こるものです。

一次性(主に加齢による変形)

これといった原因もなく股関節の形状には問題がないものの、加齢によって関節軟骨が老朽化し変形をして起こります。

肥満や関節への過剰な負担なども原因と言われています。

二次性(先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全などによるもの)

生まれつき股関節が脱臼している先天性股関節脱臼、発育段階で寛骨臼がしっかりと形成されず大腿骨のハマりが浅くなってしまう臼蓋形成不全によって二次的に変形性股関節症となってしまう事があります。

特に日本人はこの二次性の変形性股関節症が多いといわれています。

臼蓋形成不全とは?

臼蓋形成不全

股関節のソケット部分である寛骨臼が発育不全によって小さく、大腿骨のハマりが浅い状態をいいます。

骨盤部分を屋根だと仮定すると、屋根の部分が足りなくて、その下にあるものをしっかりと覆えていないというとわかりやすいかと思います。

股関節は荷重がかかる関節なので体重の何倍もの力がかかります。

その体重を支える屋根が小さければそれだけ負担がかかるため、軟骨が磨耗し変形性股関節症となりやすいのです。

臼蓋形成は男女比1:8~9でそのほとんどは女性にみられます。

原因としては遺伝的なものだったり、乳幼児期のおくるみや抱っこ紐で股関節を圧迫してしまう事なども言われていますがはっきりとした原因はわかっていません。

先天性股関節脱臼

出生前や出生後に大腿骨頭が寛骨臼から外れてしまっている状態を先天性股関節脱臼といいます。

発生率は0.1~0.3%で女性に多いです。

変形性股関節症の診断

変形性股関節症は整形外科などでレントゲンを撮る事で診断可能です。

関節の隙間の狭さによって程度を判断されます。

MRIやCT検査を行う事よってより明確な状態を把握する事が可能です。

変形性股関節症の治療方法

変形性股関節症の治療方法は大きくわけて保存療法と手術療法の2つに分けられます。

その人の痛みや進行度、年齢、原因となる病態によって治療方法は異なってきます。

保存療法

比較的まだ軽度で痛みも強くなく、生活に大きな支障をきたしていない場合は保存療法が選択されます。

痛みを緩和するための消炎鎮痛剤を使用したり、患部を温める温熱療法などを行います。

またリハビリで、動きを改善するための関節可動域訓練や、支える力を強くする筋力訓練などを行います。

手術療法

末期の症状で痛みも強く、生活に大きな支障をきたしている場合は手術療法が選択されます。

手術療法には大きくわけて2つの種類があります。

人工股関節置換術

軟骨の磨耗が強かったり、骨切り術をしても改善が得られなかった場合は人工関節置換術を行います。

その名の通り、傷んだ寛骨臼と大腿骨頭を金属やセラミック、ポリエチレンなどで出来た人工の関節に変える手術です。

その手術を受けた多くの人は痛みや歩きにくさの改善が得られ、生活の支障が軽減します。

手術時間は一般的に2~3時間程度で、退院は約1ヶ月程度で可能です。

手術後は長く歩くことや運動する事も可能になり生活の幅が大きく広がりますが、人工股関節は脱臼する事もあり、深くしゃがみ込み事が出来なくなります。

そのため和式トイレの使用を始めとしたしゃがみ動作に制限がかかります。

また人工股関節は長い年月を経過すると緩みが生じるため、入れ替える手術を必要とする場合があります。

一般に人工股関節の寿命は20年程度といわれています。

その人の生活スタイルによって人工股関節への負担は違ってきますが、将来的には再度手術にて入れ替えが必要となる可能性があるという事を念頭に入れておく必要があります。

骨切り手術

骨の一部を切り取り、ストレスのかからない位置に移動させる手術方法です。

骨切り手術は寛骨臼側を行う場合と大腿骨頭側を行う場合があります。

この手術の対象となるのは、軟骨が比較的保たれていて、変形性股関節症の初期~進行期の一部の人となります。

骨がくっつくまで時間がかかる事もあり、入院期間は人工股関節置換術よりも長くなります。

変形性股関節症の予防・リハビリ

変形性股関節症では股関節の可動域を維持する事、支える筋肉をしっかり鍛える事で負担を減らすことが重要となります。

また日常生活環境を整える事で股関節への負担を軽減する事が大切となります。

特に和式の生活では股関節への負担が強いため、椅子やベッド、洋式トイレを使用するなどの対策が必要となります。

簡単に行える予防のための体操をいくつか紹介していきます。

骨盤・背骨の柔軟性改善

股関節の動きでは骨盤と背骨の動きが重要となります。
  
四つ這いの姿勢で背骨を丸める

  
四つ這いの姿勢で背骨を丸める・反らすといった動きを繰り返します。

四つ這いの姿勢で背骨を反らす

ブリッジ運動

股関節を支えるの重要な臀部の筋肉を鍛える運動です。

仰向けに寝た状態で両膝を曲げ

仰向けに寝た状態で両膝を曲げます。

お尻を持ち上げて姿勢を保持

その状態からお尻を持ち上げて姿勢を保持します。

5~10秒ほど止めて10回繰り返します。

足開き運動

股関節を支える中殿筋という筋肉を鍛える運動です。

横向きで寝て、足を真上に挙げる

写真のように横向きで寝て、足を真上に挙げます。

その時身体が後ろに倒れたり、足が前に出すぎないようにして行います。

5~10秒ほど保持するのを10回繰り返します。

※個人個人で症状は異なってくるので医師や理学療法士の指示の元、その人に合った運動を行うことが大切です。

まとめ

●変形性股関節症は加齢や先天性股関節脱臼などが原因で起こる。

●症状が悪化すると骨切り術や人工関節置換術などの手術を行うこともある。

●進行予防のためには股関節周囲の柔軟性・筋力の改善が重要である。

桜井佑葵(理学療法士)●文

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桜井佑葵

桜井佑葵

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。

現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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