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膝の痛み!ホッファ病(膝蓋脂肪体炎)の治療法とリハビリ【完全版】

 2018/04/14 ケガと予防法
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膝の痛みの原因の1つとして、あまり聞きなれないホッファ(hoffa)病という障害があります。

膝の前面、お皿の下あたりに生じる膝の痛み。

膝関節にある膝蓋下脂肪体という組織が炎症を起こすことで発症するため、膝蓋下脂肪体炎とも呼ばれます。

名前もマイナーなため見落とされやすく、ジャンパー膝と間違えるケースもあります。

今回は

・医師の豊田早苗先生
・理学療法士の桜井佑葵先生

の2名がホッファ病の治療とリハビリの方法について解説していきます。

この記事を書いた人


豊田早苗(医師)とよだクリニック医長
鳥取大学卒業・総合診療医学会・認知症予防学会に所属。
とよだクリニック医長。総合診療医として診療科を問わず患者さんの病気・症状に向きあい治療を行なっている。




桜井佑葵(理学療法士)
整形外科勤務。10年間、毎日ケガに苦しむ患者さんと向き合いリハビリを行っている。

ホッファ病とは

ホッファ病とは膝蓋下脂肪体という組織が炎症を起こして痛みを引き起こす障害です。

特に

  • 膝の手術の後
  • 膝のケガでの炎症の後
に起こりやすいです。

膝蓋下脂肪体の動きがスムーズにいかない事で、膝関節に脂肪体が挟み込まれ、痛みを生じます。

膝蓋下脂肪体とは

出典:http://www.i-l-fitness-jp.com/comment/sa/shi-infrapatellar-fat-pad.html

図のように膝を横から見てみます。

膝蓋下脂肪体とは

●膝のお皿(膝蓋骨)とお皿の下にある靱帯(膝蓋靱帯)の奥にあります。

●脂肪の組織です。

●膝を構成している、太ももの骨(大腿骨)、スネの骨(脛骨)、膝蓋骨の隙間を埋めるように存在しています。

●膝蓋下脂肪体は膝の曲げ伸ばしの際に、その形を変えながら動きます。

●膝が曲がる時には後ろに移動します。

●それと同時に膝蓋骨の後ろ方のスペースにも入り込んできます。

●そうする事で膝蓋骨と大腿骨のクッションになります。

膝が曲がった状態から伸ばすと膝蓋下脂肪体は前の方へ移動します。

膝の動き・まとめ

●膝が伸びた状態では、膝蓋骨によって引き上げられます。

●曲げた状態では関節内に押し込められるような形となります。

●膝蓋下脂肪体は神経や血管が豊富です。

●ですので痛みを感じやすい場所です。

膝蓋下脂肪体の役割

膝蓋下脂肪体の役割は大きく分けて次のとおりです。

  • 衝撃などの外力をやわらげるクッションの役目
  • 摩擦や刺激から膝関節を守る防御の機能
  • 関節の動きを良くする潤滑作用
  • 関節軟骨面の清掃
  • 血流供給のポンプ

つまり膝を守る・スムーズに動かすのにとても重要です。

膝蓋下脂肪体の炎症の原因

膝蓋下脂肪体の炎症の原因は次のとおりです

  • 歩きすぎやスポーツなどの運動による過負荷
  • 体重の増加
  • 打撲などの外傷
  • 反張膝(膝が過度に伸びている状態)
  • 他の膝の障害による二次的な要因(半月板損傷、変形性膝関節症、膝の手術など)
発症のメカニズム

●膝蓋下脂肪体は、膝の外傷で細かな傷や小出血を起こします。

●また繰り返される刺激によって細かな傷や小出血を起こします。

●そうする事で炎症が起き、脂肪体には血管や神経が増殖し始めます。

●すると脂肪体を構成している脂肪組織が異常に増殖されて(線維化)、柔軟性が失われます。

●柔軟性が失われることで、膝の曲げ伸ばしの際にスムーズに形を変えることが困難となります。

●すると関節に挟み込まれたりして痛みを生じるのです。

ホッファ病の診断

ホッファ病はレントゲンでは膝蓋下脂肪体は写らないため、エコー(超音波)検査やMRIなどが診断に有効です。

また以下の判別テストを実施する事で、ホッファ病かどうかを判断します。

ホッファ病かどうか?のテスト

膝を曲げて膝のお皿の下、膝蓋靱帯の横の部分を左右から圧迫をします。

※この赤丸の部分です。

圧迫をしたまま膝を伸ばしていくと、伸ばしきる最後の方で痛みが生じます。
これで痛みが生じた場合はホッファ病である可能性が高いです。

膝蓋下脂肪体は膝を伸ばした状態で前方に押し出されるので、曲げた時よりも伸ばした状態の方が痛みを生じやすいのが特徴です。

ホッファ病の治療方法

ホッファ病の治療方針は大きく分けて、保存療法と手術療法の2つに分けられます。

保存療法

手術などの外科的な処置は行わない治療法です。

●安静

ホッファ病の治療法として、まずは安静にする事が大切です。

床に膝をついたり、スポーツなどの激しい動作をやめて症状が悪化する事を防ぎます。

●冷却(アイシング)

急性期で患部の炎症が強く、熱を持っている場合はアイスノンや氷嚢などで冷やす事も有効です。

冷却をする事で炎症を抑え、痛みを軽減させます。

20分程度アイシングをして、1~2時間程度間隔をあけてまたアイシングを行うというのを繰り返します。

●温熱療法

整形外科などで患部を温める温熱療法を行うこともあります。 膝の腫れがなく、熱を持っていなければ一般的に温熱療法がおこなわれます。

※温熱療法の効果

熱刺激により血管がひろがり、血流が増加し循環が良くなります。

効果は次のとおりです。

  • 代謝促進
  • 血管拡張
  • 循環改善
  • 痛みの緩和
  • 硬くなった脂肪組織の伸張性の増大

温熱療法の種類は

  • ホットパック
  • 超音波
  • マイクロ波

などがあります。

温熱療法は、ご家庭でも行うことが可能です。

ご家庭で行う場合の方法と注意点は、以下の通りです。参考にしてください。

自宅で行なう温熱療法の手順

①熱いお湯にタオルを浸し、硬く絞って温タオルを作ります。

②出来上がった温タオルを膝のお皿部分から膝下にかけて置きます。

③タオルが冷めてきたら終了です。

自分のペースで1日に何度か繰り返し行うと効果的です。

注意点

  • 痛みがひどい場合
  • 熱を持っている場合
  • 腫れがある場合

では温めることで逆に痛みがひどくなったり、症状が悪化したりしますので、そのような場合は行うのを止めましょう。

熱すぎる湯タオルは、やけどの原因になります。触って心地よい熱さの温タオルで行うようにしましょう。

●注射

痛みが強い場合は患部にステロイド注射をする事もあります。

ステロイド注射とは

●ステロイドとは体内で生成される副腎皮質ホルモンの1つです。

●これに似た成分や作用になるように人工的に合成した薬剤が、ステロイド注射に使用されます。

●ステロイド注射は抗炎症作用、鎮痛作用に優れています。

●つまり、炎症を抑えて痛みを緩和する効果が期待できます。

●しかしステロイド注射は効果は高いですが、頻回に使用すると副作用を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

●医師の判断の元、回数や頻度を調整する必要があります。

手術療法

あまり行われる事は少ないですが、痛みが長期間続いていたり、強い痛みが生じている場合は関節鏡下手術にて膝蓋下脂肪体を部分摘出することもあります。

関節鏡をつかって手術する

※関節鏡手術とは?

関節鏡とは胃カメラのように細い管の先端にカメラレンズ、ライトがついたものでこれで関節の中を見ながら手術する方法です。
患部に小さな穴をあけて、そこから手術器具を挿入して手術を行います。

通常の手術のように大きく切開することがないため、手術後の痛みも少なく、皮膚や筋肉などの組織への影響も少ないため、早期回復が期待できる手術です。

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ホッファ病のリハビリ

ホッファ病のリハビリとして重要なポイントは膝蓋下脂肪体の柔軟性を改善する事です。

膝蓋下脂肪体は外力によるストレスや手術の後遺症などにより、炎症を起こします。その後、繊維化といって膝蓋下脂肪体の柔軟性が失われる状態になります。

膝の曲げ伸ばしの際に、膝蓋下脂肪体は関節の中を伸び縮みするような形で柔軟に動きます。その時の動きを再び取り戻すことがリハビリになります。

方法1・膝蓋骨の可動性の向上

膝蓋骨の動きは膝蓋下脂肪体にとって非常に重要です。

写真のように膝蓋骨を把持して、上下方向、左右方向に動かします。

※痛みを伴いやすいので、強い痛みが生じないようにして動かす事が重要です。

方法2・膝蓋下脂肪体のマッサージ

膝蓋骨の真下には膝蓋靭帯があります。
膝蓋靱帯の深部に膝蓋下脂肪体はあるため、写真のように膝蓋靱帯の横から指で圧迫する事で膝蓋下脂肪体を触れる事ができます。

圧迫しながら左右に動かす事で可動性を広げていきます。

ホッファ病テーピング

ホッファ病のテーピング方法を紹介します。
膝の曲げ伸ばしの際に膝蓋骨の動きを助けてあげるテーピング方法です。

テーピングは伸縮性のキネシオロジーテープを使用します。

①テープを20cm程度に切り、真ん中を破ってはがします。

写真のように膝を軽く曲げた状態で、膝蓋骨の下に引っ掛けるようにして貼り、テープを左右に引っ張り膝蓋骨を上方へ持ち上げます。

②引っ張り上げた後、最後に貼る部分はあまり引っ張る力を加えずに貼りつけて完成です。

※曲げ伸ばしの際の膝蓋骨の動きをサポートする事で、膝蓋下脂肪体へのストレスを軽減させる効果があります。

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まとめ

●ホッファ(hoffa)病とは膝蓋下脂肪体炎の事であり、膝蓋骨(膝のお皿)の下に痛みを生じる病態である。

●膝への打撲などの外力や運動による繰り返しのストレス、手術後の後遺症などで発症しやすい

●膝蓋下脂肪体、膝蓋骨の柔軟性改善をする事が重要である。

豊田早苗(医師・とよだクリニック院長)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

※豊田先生が書いた本は→コチラ

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ライター紹介 ライター一覧

豊田早苗

豊田早苗

医師

●経歴
2000年 鳥取大学医学部卒業
2001年 医師免許取得
2001年~2004年 島根県で内科医、総合診療医として勤務
2004年 勤務しながら、認知症も含めた精神科医療を学ぶ
2005年 とよだクリニック開業(精神科・心療内科・神経内科・内科)

●参加学会

総合診療医学会
認知症予防学会

●著書→コチラ 

私は、普段、診療科を問わず、様々な病気や症状に悩んでおられれ方の相談対応にあたっています。
運動は、生活習慣病の予防やストレス発散に、とても効果的で、患者さんに日常生活に運動を取り入れるよう勧めることが多々あります。ですが、急に運動を始めるとケガしやすいため、ケガの予防、さらには、ケガした際の応急処置や対応についても指導するようにしています。
ここには数多くのケガに関する記事が掲載されています。
これらの記事が皆さんがケガについての正しい知識や対処法について学ぶ機会となり、運動を楽しく続ける参考になれば良いなあと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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