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鵞足炎とは?症状・治療・ストレッチ・テーピングの全知識

 2017/07/17 ケガと予防法
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スポーツをしている人に多い膝の内側から膝下にかけての痛み。もしかすると鵞足炎(がそくえん)と呼ばれる症状かもしれません。

今回は
・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生
の2名が、鵞足炎の症状・治療・予防法ついて解説していきます。

鵞足炎の症状

鵞足炎は「がそくえん」と読みます。

膝の内側から膝下にかけての痛みがおきるケガです。

熱っぽさや腫脹を伴なうことがあり、膝の曲げ伸ばしなどの動作をする時に痛みが走ります。

膝を完全に伸ばした際や、階段の昇り降り、またスポーツでは走ったり、ジャンプの着地やステップ動作などで痛みが生じます。

鵞足炎になりやすいスポーツ

●マラソン
●サッカー
●バスケットボール
●バレーボール
●野球
●テニス

など

そもそも鵞足(がそく)とは

鵞足炎は鵞足部に炎症をおこすことを言いますが

鵞足というのはあまり聞きなれない言葉ですね。

鵞足という場所は膝の下のスネの骨である脛骨の内側の部分を指します。

ここに縫工筋、薄筋、半腱様筋という筋肉がついており、その筋肉のつき方がガチョウの足に似ている事から鵞足という名前になったと言われています。

鵞足を構成する筋肉

では鵞足を構成している筋肉について説明していきます。

縫工筋

上前腸骨棘という骨盤の前にある骨の出っ張り部分から脛骨の内側部についている筋肉です。

縫工筋の役割と特徴

●あぐらをかくように股関節を外側に曲げたり、膝を曲げる役割

●脛骨を内側にひねる「内旋」という動きの役割

●人間の身体の中で最も長い筋肉です。

●瞬発力やジャンプ系の動作時に働く筋肉です。

日常生活よりもスポーツで痛めることが多い筋肉と言えます。

薄筋

骨盤の下方にある恥骨から脛骨の内側についている筋肉です。

薄筋の役割と特徴

●膝を曲げる役割

●股関節を内側に動かす内転という動きの役割

●脛骨を内側にひねる『内旋』という動きの役割。

スポーツで、滑ったりして膝が伸びたまま股割りのように伸ばされると、傷めやすい筋肉です。

半腱様筋

お尻あたりにある坐骨という骨から脛骨の内側についている筋肉です。
太もも後面の筋肉のことをハムストリングスといいますが、ハムストリングスの内側にある筋肉です。

半腱様筋の役割と特徴

●膝を曲げる役割

●足を後ろに伸ばす股関節の『伸展』という動きの役割

●脛骨を内側にひねる『内旋』という動きの役割。

半膜様筋

先ほどの半腱様筋よりも内側にあります。坐骨から脛骨の内側についています。

また半膜様筋は内側の靭帯や半月板にもつながっています。

半膜様筋の役割

●膝を曲げる役割

●足を後ろに伸ばす股関節の『伸展』という動きの役割

※今までは鵞足はこの半膜様筋以外の3つの筋肉から構成されているといわれていましたが、最近ではこの半膜様筋も鵞足の構成に関与しているのではないかといわれています。

鵞足はヒザを安定させてくれる

膝が内側に入る時に支えてくれる

図のようにサッカーやバスケットボールなどのステップ動作にて膝が内側に入る動きの時に鵞足が支えてくれます。

鵞足は膝を安定させる働きがあります。

増田先生
よく運動後に「生まれたての小鹿のように膝がプルプル・ガクガクする」と、この筋肉が関係しています。

なぜ鵞足炎が起きるのか?

膝の曲げ伸ばしをすると鵞足が前後に移動します。

鵞足の下には関節の滑りを良くしたり、クッションの役割がある鵞足滑液包と呼ばれる関節の袋があります。

出典:https://rehatora.net

縫工筋、薄筋、半腱様筋、半膜様筋のという4つの筋肉が硬くなったり、緊張が高い状態になるとより摩擦が強くなりやすくなります。

出典:https://rehatora.net

そうすると鵞足滑液包にも摩擦が生じ、そのストレスが繰り返される事で炎症を起こします。これが鵞足炎が起きるメカニズムです。

鵞足炎の原因

●過度な練習で走り過ぎや膝を曲げることが多いと、鵞足部への摩擦が多くなり鵞足炎の原因となります。これらは『オーバーユース』と言います。

●硬い路面を走っている。

●クッション性の悪い靴を履いている。

●トレーニングで階段昇降をやりすぎ。

などが原因で鵞足炎が起こります。

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鵞足炎になりやすい人の特徴

X脚

図のように膝が内側にくっついて、足首が離れているような足をX脚といいます。

X脚では鵞足部によりストレスがかかりやすくなります。

回内足

回内足

図のように後ろからみて踵の骨が内側に倒れている状態を回内足と呼びます。

回内足となると膝にも影響を及ぼし、膝が内側に入りやすくなってしまいます。

ニーイン・トゥアウト

ニーイン・トゥアウト

スクワット動作やジャンプの着地の際に膝が内側に入り、つま先が外を向きやすい場合はX脚、回内足と同じように鵞足へのストレスを強めやすくなります。

鵞足炎かどうか判別テストをしよう

縫工筋の場合

出典:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション

①痛い方の足を上にして寝て下の足を手で抱えます。

②上の足を後ろに引いて下に降ろします。

③その状態から膝を伸ばす事で縫工筋に伸張刺激が加わります。膝の内側に痛みが生じれば縫工筋が原因の鵞足炎の可能性が高いです。

薄筋の場合

出典:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション

①ベッドに寝て痛い方の足を目一杯外に開いてベッドの下に降ろします。

②その状態から膝を伸ばすと薄筋に伸張刺激が加わります。膝の内側に痛みが生じれば薄筋が原因の鵞足炎の可能性が高いです。

半腱様筋の場合

①仰向けに寝て、写真のように膝が内側に入るように曲げます。

②その状態から膝を伸ばす事によって半腱様筋に伸張刺激が加わります。膝の内側に痛みが生じれば半腱様筋が原因の鵞足炎の可能性が高いです。

鵞足炎の診断

鵞足炎は基本的にはレントゲンでは分かりません。MRIで確認する事が可能ですが、ほとんどは先ほどの筋肉の判別テストで診断する事が多いです。

鵞足炎の治療

①安静にして炎症を抑える

鵞足炎はオーバーユースが主な原因となるため痛みによって運動に支障をきたしている場合は安静にして患部へのストレスをかけない事が重要です。

稀ですが痛みがあまりにも強い場合は痛み止めの注射やステロイド注射を行う場合もあります。

②温熱療法

強い痛みが引いてきたら患部を温める温熱療法を行い、血液循環、回復を促進させます。

鵞足炎の予防とリハビリはストレッチとテーピングで

鵞足炎は鵞足部の摩擦のストレスが繰り返しかかる事で発症します。
そのため縫工筋、薄筋、半腱様筋のストレッチにて柔軟性を良くする事が大切です。

鵞足炎のストレッチ 縫工筋

横からの写真

正面からの写真

立ち膝をついて伸ばす方の足を後ろに引きます。
そこから足を外に手で押して膝から下の部位を外に開きます。太ももの前の部分が伸びていることを感じながら30秒以上ゆっくりとストレッチします。

鵞足炎のストレッチ 薄筋

伸ばしたい方の足を写真のように外に開きます。曲げている方に体重をかけていき、
太ももの内側が伸びていることを感じながら30秒以上ゆっくりストレッチします。

鵞足炎のストレッチ 半腱様筋

伸ばしたい方の足を写真のように伸ばしてつま先を手でつかみます。
太ももの裏が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

鵞足炎の予防・筋トレ

先ほど膝が内側に入るニーイントゥーアウトが鵞足へのストレスを強めるとお伝えしましたが、膝が内側に入らないためには股関節の筋肉が重要となります。

特に骨盤の横についている中臀筋や外旋筋が弱ると膝が内側に入りやすいため、そのような場合はトレーニングが重要です。

中臀筋トレーニング


横向に寝て鍛えたい方の足を上にして横向きに寝ます。


その状態から足を真上へ挙げ中殿筋を収縮させます。

股関節外旋筋トレーニング

鍛えたい方の足を上にして横向きに寝ます。踵と踵をつけて膝を曲げます。

かかとと、かかとはくっつけたまま膝の間を離すように足を開いて臀部の筋肉を収縮させます。

鵞足炎のテーピング

テープは伸縮性のあるキネシオテープ、キネシオロジーテープを使用します。

鵞足の筋肉の負担を少なくするテーピング

膝のお皿の下方、内側から太ももの裏を通って足の付け根までテープを貼ります。
テープに皺が寄らない程度に軽く引っ張りながらテープを貼ります。テープの最初と最後はあまり引っ張らないようにして張ります。

2本目は最初のテープよりやや上方にずらして貼ります。
同様にシワが寄らない程度に軽く引っ張りながら張ります。

3本目のテープは2本目よりやや上にずらして太ももの前面を通り、太ももの外側に向かって張ります。これで完成です。

脛骨のねじれを補正するテーピング

膝を曲げた状態で、膝のお皿の下から内側に向かってシワが寄らない程度に引っ張りながら斜めにテープを貼ります。

膝の裏を通って膝のお皿の上が終点です。

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まとめ

●鵞足炎は膝の内側につく縫工筋、薄筋、半腱様筋が引き伸ばされるストレスで発症する

●膝が内側に入りやすいニーイントゥーアウトの姿勢で起こりやすい

●予防のためには股関節の筋力訓練、鵞足部のストレッチが重要

増田陽子(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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