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膝の内側側副靱帯(MCL)損傷の症状・治療・テーピング・リハビリ全知識

 2017/11/20 ケガと予防法
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膝の靭帯のケガの中で、もっとも多いのが内側側副靱帯損傷です。

今回は

・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生

の2名が、多くのスポーツでみられる内側側副靱帯のリハビリについて解説していきます。

膝の内側側副靱帯(MCL)とは?

出典:http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/15mcl.html

膝の内側側副靱帯とはその名の通り、膝の内側に存在する靭帯です。 大腿骨から脛骨についています。

靭帯の役割

●関節が許容範囲を超えて動き過ぎないように支えてくれます。

膝の内側側副靱帯は主に膝が内側に『くの字』にかかるストレスを守る働きがあります。

この内側に『くの字』に膝が曲がる事を外反と呼びます。

膝の内側側副靱帯は深層と浅層、後斜靭帯と3層構造となっていて、深層の繊維は半月板と連結しています。そのため半月板損傷と合併してしまうこともあります。

英語ではMedial collateral ligamentと言われ、その頭文字をとってMCLと言われています。
日本語では読みづらいのでMCL損傷いう言葉で表現するお医者さんも多いと思います。

膝の内側側副靱帯(MCL)損傷になりやすいスポーツ

●サッカー

●ラグビー

●アメリカンフットボール

●テニス

●スキー

●スノーボード

●バスケットボール

●体操

など多くのスポーツでみられます。

ジャンプでの着地時にバランスを崩したり、相手との接触などボディコンタクトだったり、転倒した際などに、膝に外反ストレスがかかる事で受傷します。

また交通事故でもよく見られます。

膝内側側副靱帯(MCL)損傷の症状

膝内側側副靱帯(MCL)損傷の症状

●圧痛

●腫れ

●熱感

●体重がかかった時、骨が直接こすれて起こる痛み「荷重時」の痛み

●膝がグラグラするような不安定になる

主に内側側副靱帯が付着している大腿骨側に痛みが出やすいです。

増田先生
とにかく打撲をしてから痛くて歩けないために来院される方が多いです。

膝の内側側副靱帯(MCL)損傷の分類

靭帯の損傷具合によって重症度が分けられます。

Ⅰ度

小範囲の繊維の損傷で、患部の圧痛はみられますが、膝の不安定性はあまりみられません。

Ⅱ度

軽度から中等度の膝の靭帯損傷で不安定性がみられます。

Ⅲ度

靭帯が完全に断裂した状態で、不安定性が強くみられます。

同時に3箇所をケガする事も!

内側側副靱帯損傷の中でももっとも重症度が高いのが、アンハッピートライアド(不幸の3兆候)と言われる病態です。

内側側副靱帯損傷、前十字靭帯損傷、内側半月板損傷の3つを同時に起こしてしまうことを言います。

前十字靭帯損傷も半月板損傷もそれ単体でもかなり重症度が高い怪我ですが、これらが同時に起こるのでまさに不幸の3兆候なのです。

膝が内側に曲がり、内側にひねった状態で体重が過度にかかる事でケガをします。

膝の内側側副靱帯(MCL)損傷の診断

診断は整形外科にて受けます。
レントゲンでは骨折有無を検査しますが靭帯の損傷はわからないため、精密な検査を受けるにはMRIが有効です。

膝の内側側副靱帯(MCL)損傷の治療法

まずケガをして2〜3日はRICE処置を行います。

RICE処置とは

Rest(安静): 患部を極力動かさない。

Ice(冷却): 患部を冷やして血管を収縮させて腫れや熱感を最小限に留める

増田先生
患部を冷やす際には、15分冷やしたらやめ、また痛みが出だしたら15分冷やすというようにしましょう。

Compression(圧迫): 患部を適度に圧迫して腫れ、炎症を抑える

Elevation(挙上): 心臓よりも高い位置に患部を置き腫れ、炎症を抑える

腫れや強い痛みが引いてきたら保存療法か手術療法に進みます。

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保存療法

膝の内側側副靱帯損傷の多くは保存療法で治していきます。保存療法とは手術などの外科的処置を行わない治療法です。

内側側副靱帯は前十字靭帯と比べて血流供給が豊富であるため治癒しやすいです。

増田先生
血流が豊富であれば、それぞれ負傷したリガメントや筋肉の細胞レベルにまで栄養が行き渡りやすく、それらの修復が早くなるため、治癒が早くなります。
ずっと冷やすのは却ってダメージを与えてしまいます。

ギプスや強固なサポーターなどで固定します。

固定の期間
Ⅰ度の場合は1〜2週間の固定

Ⅱ度の場合は4〜5週間の固定

手術療法

Ⅲ度の重症の時では手術を行う場合もあります。

その場合は切れた内側側副靱帯を縫合する靭帯縫合術、自分の腱を移植する靭帯再建術などが行われます。

スポーツ復帰の目安

スポーツが出来るまでの期間
Ⅰ度 1〜2ヶ月

Ⅱ度 2〜3ヶ月

Ⅲ度 6ヶ月以上

膝の内側側副靱帯をしやすい特徴

膝の内側側副靱帯は膝が内側に入る外反という動きと、膝から下が内側にひねる内旋という動きを許容範囲を超えないように抑えています。

つま先が外側を向き、膝が内側に入るいわゆるニーイントゥーアウトという姿勢が外反と内旋のストレスがかかりやすくなります。

出典:https://ameblo.jp/naoharada0829/entry-12261143019.html

足首の捻挫の後に注意!

ニーイントゥーアウトは足首の捻挫後に足首の硬さが生じていたり、筋力が弱ったりしているとなりやすくなります。捻挫後はしっかりとリハビリをして治す事が大切です。

また股関節を支えるお尻の周りの筋肉が弱っていても膝が内側に入りやすくなります。

膝内側側副靱帯損傷後のリハビリ

重症度によってリハビリの開始時期や内容は異なってきます。

重症度Ⅰの場合はおおよそ復帰まで1〜2ヶ月

重症度Ⅱの場合は2〜3ヶ月

重症度Ⅲの場合は6ヶ月以上とされています。

重症度Ⅱの場合のリハビリ期間

重症度Ⅱのリハビリの期間

ケガ後〜1週間

●ギプス着用で松葉杖を使って歩行します。

1週間後〜4週間後

●ギプスを取り外して装具やサポーターで固定

●痛みに応じて松葉杖なし

●痛みのない範囲で関節可動域の訓練

●患部以外の筋力トレーニング

4週間以降

●必要に応じて装具やサポーターの着用

●可動域訓練や筋力トレーニングを積極的に始めていく

●痛みに応じてスクワット動作やランニングなどのトレーニングを開始

6週間後以降

●ダッシュやターン、ステップなどの実践動作トレーニングの開始

●膝の状態に応じて競技の部分的な復帰

重症度Ⅲの場合のリハビリ期間

※内側側副靭帯の単独損傷は保存で治療する事が多いため、前十字靭帯損傷を伴った場合を記載していきます。

重症度Ⅲのリハビリ期間

手術後〜3週間

●おおよそ2週間で全荷重に移行していく

●体重をかけないなかでの筋力トレーニング

3週~6週目

●軽いスクワットや片足立ちなどの荷重位での筋力トレーニング開始

●積極的な可動域の訓練

6週~24週目

●ターンやステップなどの実践動作トレーニングの開始

●改善度に合わせて、ダッシュやターンなどのトレーニングの開始

手術後6ヶ月~10ヶ月程度

●完全復帰

膝の内側側副靱帯損傷のリハビリ

筋肉の強化をして、サポーターとテーピングで固定してリハビリを行っていきましょう。

ハムストリングスの強化

つま先が外側を向き、膝が内側に入るニーイントゥーアウトが靭帯損傷になりやすいです。

出典:https://ameblo.jp/naoharada0829/entry-12261143019.html

その動きを制動するのがハムストリングスの特に内側についている半腱様筋、半膜様筋という筋肉です。

この筋肉を鍛える事で、ニーインを制動し、内側側副靱帯にかかるストレスを軽減させる事ができます。

筋力トレーニング方法

うつ伏せに寝て、つま先が内側に向くようにして膝を曲げていきます。

慣れてきたらセラバンドの強さを強めたりして負荷を上げていきます。

中臀筋の強化

ニーインは股関節が内側に入る内転、内旋という動きでもなりやすいです。

この動きを制動するのが股関節についている中臀筋という筋力です。

中臀筋を鍛えていきましょう。

筋力トレーニング方法

鍛える方を上にして横向きに寝て、足を真上に挙げます。
お尻の横の筋肉が疲労して来たら中殿筋が使えている証拠です。

膝内側側副靭帯損傷のテーピング

簡単に自分でも貼れるテーピングを紹介します。
内側側副靭帯損傷が改善して、スポーツ復帰する際に巻くテーピングです。

使用するのは固定用の非伸縮テープと自着性テープを使用します。

自着用テープとは伸縮性がありテープ同士がくっつくテープです。

※写真は見やすさ上タイツの上から張っていますが実際は直接肌にはります。

膝の上と下にアンカーテープを巻きます。


膝を斜めに通るようにテープを貼ります



②のテープと対角線になるようにテープを貼ります。



斜めのテープの真ん中を通るようにテープを貼ります。



②③④のテープを二重にもう一回貼ります。



アンカーテープを貼りテープが剥がれないようにします。



自着性テープを下から巻いて固定して完成です。膝のお皿が出るようにして自着テープは巻きましょう。

サポーターの選び方

ケガが治ってスポーツ復帰する際はサポーターを巻く事で患部への負担を減らす事ができます。また心理的な不安の解消にも効果的かとおもいます。

サポーターは履くタイプと巻き付けるタイプとがありますが、膝の靭帯損傷後は履くのと巻くの両方を兼ね備えたものが望ましいでしょう。

しっかりと固定できるので膝の内側側副靱帯や前十字靭帯に負担のかかるねじれの動きを制動する事ができます。

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まとめ

●膝の内側側副靭帯は内側に強制的な力が加わった際に受傷しやすい

●重症な場合は前十字靭帯損傷、半月板損傷を伴う場合がある

●内側側副靭帯は治癒しやすく、単独損傷の場合は保存療法で治癒する事が多い

増田陽子(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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