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足首の捻挫の応急処置・治療法・リハビリ方法教えます

 2017/04/02 ケガと予防法
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アスリートの人たちにとってケガは隣り合わせ。

特に足首の捻挫はやりがちですね。

今回は

・医師の豊田早苗先生
・理学療法士の桜井佑葵先生

の2名が、足関節の捻挫の治し方・応急処置・リハビリについて解説します。

この記事を書いた人


豊田早苗(医師)とよだクリニック医長
鳥取大学卒業・総合診療医学会・認知症予防学会に所属。
とよだクリニック医長。総合診療医として診療科を問わず患者さんの病気・症状に向きあい治療を行なっている。




桜井佑葵(理学療法士)
整形外科勤務。10年間、毎日ケガに苦しむ患者さんと向き合いリハビリを行っている。

足首の捻挫。治し方とリハビリの方法を教えます。

スポーツをしていると、つい足をくじくことがありますね。

とてもありがちなケガですが、たかが足首の捻挫と軽くみていると後々に色々な箇所への障害につがなっていきますので確実に治していくようにしましょう。

捻挫とは?

足首の捻挫

  • 捻挫は『靭帯の障害』のことをいいます。
  • 靭帯は、関節の可動域を超えないように保護して守っているものです。
  • 捻挫とは関節に外からの力が加わって、本来の可動域を超えてしまう事で起きる靭帯の障害です。
  • 正確には靭帯損傷と呼びます。
豊田先生
整形外科学会では、関節に外力が加わっておこるケガのうち、骨折や脱臼を除いたものは「捻挫」と定義されています。

捻挫の重症度

捻挫は重症度によって3つに分けることが出来ます。

捻挫の重症度
Ⅰ度

●靭帯組織の微細な損傷で内出血を伴います。

●疼痛は軽度です。

●機能障害は軽度です。

●腫脹は軽度です。

●関節がグラグラするような不安定性はみられません。

Ⅱ度

●靭帯組織の部分断裂をおこしている状態です。

●疼痛があります。

●腫脹があります。

●内出血があります。

●機能障害もあり、不安定性もみられます。

Ⅲ度

●靭帯組織の完全断裂です。
●疼痛があります。

●腫脹があります。

●内出血があります。

●さらに足首の不安定性が明らかにみられます。

●場合によっては手術も必要となる場合もあります。

内反捻挫と外反捻挫の違い

足関節は脛骨、腓骨、距骨という骨で構成されています。正確には距腿関節といいます。

動きとしてはつま先が上に上がる背屈、つま先が下にさがる底屈、内側に捻る内反、外側に捻る外反があります。

内側に捻ってしまうのを内反捻挫といいます。

豊田先生
足の甲が外側に向く状態に捻った時に起こる捻挫です。ジャンプして着地する際に起こりやすいです。

内反捻挫

外側に捻ってしまうのを外反捻挫といいます。

豊田先生
内反捻挫の逆。足の甲が内側に向く状態に捻った時に起こる捻挫です。頻度は少ないですが、ケガしてしまうと、なかなか治りにくい捻挫です。

外反捻挫

圧倒的に内反捻挫の頻度の方が多いです。

足関節の内反捻挫では前距腓靭帯の損傷が最も頻度が多く、次いで踵腓靭帯、後距腓靭帯となります。

外反捻挫では外側の三角靭帯の損傷を起こします。

ひどい時は脱臼や骨折を伴っている場合もあります。特に小中学生の成長期の骨は軟骨成分が多く、柔らかい組織なので腓骨の剥離骨折を伴う事もあるので整形外科をちゃんと受診をする事が大切です。

足首の捻挫の治療法

捻挫した直後から2〜3日はRICE処置をしましょう。

RICE処置とは

Rest(安静): 患部を極力動かさない。

Ice(冷却): 患部を冷やして血管を収縮させて腫れや熱感を最小限に留める

Compression(圧迫): 患部を適度に圧迫して腫れ、炎症を抑える

Elevation(挙上): 心臓よりも高い位置に患部を置き腫れ、炎症を抑える

受傷後のRICE処置を行うかでその後の回復が大きく変わってきます。まずは腫れや炎症を最小限に抑えることが大切で、そのためのRICE処置となります。

豊田先生
<アイシングする際の注意点>

捻挫したときのアイシングの方法として、氷やコールドスプレーを使用して冷やす人がいますが、これは冷やしすぎで、かえってケガの回復を遅らせてしまいます。

正しい方法は、氷と水をビニール袋などに入れて冷やします。氷だけはダメです。かならず水も一緒に入れて、氷が溶けていく温度の水で冷やします。

注意!
この時期は患部を温めたり、マッサージなどをしてしまうと悪化するので要注意です。

ある程度治まってきたら温熱療法

腫れや炎症症状が治まってきたら患部を温める温熱療法をします。

温熱療法の効果

①血流が良くなる

血管が拡張し、患部の血流量が増加し老廃物、発痛物質の除去を促進します

②新陳代謝が良くなる

組織の代謝を促進し、回復を促します。

③リラクゼーション効果

交感神経が抑えられて、副交換神経が優位となる事で痛みを感じにくくなり、リラクゼーション効果が得られます。

④筋肉・腱が柔らかくなる

筋肉や腱などの組織の柔軟性が高まります。

整形外科や接骨院などでは超音波やマイクロ波、ホットパックなどの温熱療法がよく使用されます。温めることで治癒を促進します。

というのが一般的な足関節捻挫の治療の流れです。

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すぐにスポーツに復帰はNG!

よく見受けられるのは患部の痛みがある程度引いてきたら、治ったと思い込みそのまま競技に復帰してしまう事です。

実はここに大きな落とし穴があり、また新たな怪我を引き起こす事にもなりかねません。

ここからは理学療法士の目線から足関節捻挫の後遺症について解説していきます。

足首の捻挫は後遺症に注意

捻挫をすると炎症により、患部に循環障害が起こります。そうすると靭帯、筋肉、関節包、皮膚という組織に癒着(本来分離しているべき組織がくっついてしまう事)が起こります。

癒着すると筋肉の滑走不全が起こり、関節の動きが悪くなり可動域低下や筋力低下を起こします。

また靭帯の強度が低下するため関節の不安定性も起こします。

よく捻挫はクセになると言われますが、この硬さや弱さを残したまま競技復帰する事が原因と考えられます。

足首の捻挫の後遺症

●可動域が小さくなる

●筋力低下

●関節が不安定になる

足首の捻挫が第2のケガを引きおこす!

足は唯一地面と接する部分です。足の位置や動きが変わる事で全身に大きな影響を及ぼします。

例をあげると、車は4つのタイヤが地面と接していてまっすぐ安定していますよね。ところが一箇所でもパンクしてしたらどうでしょう?車体は傾きますよね?

人間の身体も同じように土台となる足の形状が変わるだけで、身体に傾きが生じます。

ただ、車体と違うのは人間の身体は傾きが生じると傾かないように筋肉が働いたり、関節の位置を変えたりして姿勢を保とうとします。

しかし、そのまっすぐを保とうとしている筋肉や関節に今度は今までにないストレスがかかってしまいます。そこが新たな怪我を引き起こす事となってしまうのです。

足関節捻挫をした後は可動域の制限や関節の不安定性があるため、踵の傾きや足の土踏まず(アーチ)の機能障害がみられることがあります。

こうなる前にしっかり治そう

放っておくと半月板損傷になってしまうケースも!

見落とされやすいですが、特に踵の骨の傾きは非常に大切です。

踵骨と距骨で出来ている関節を距骨下関節と呼びます。

後ろからみて踵の骨が内側に倒れている状態を距骨下関節回内、外側に倒れて状態を距骨下関節回外と呼びます。

足関節捻挫後の後遺症としてこの距骨下関節の動きに障害を起こすと全身への影響を及ぼします。

なぜなら土台の距骨下関節の傾きによって膝や股関節、肩甲骨へ運動が波及するからです。

回内位なると、膝や股関節が内側方向への負荷がかかります。

また膝は外反という方向にストレスがかかりやすく、靭帯損傷や半月板損傷などのリスクが高まります。

注意!
捻挫をしっかり治さないと「靭帯損傷」や「半月板損傷」になる可能性があります。

足のしくみを知って捻挫を防止しよう

足にはアーチと呼ばれる人間が立って動作する上で欠かせない部分があります。一般によく知られているのは土踏まずの部分ですが、実は足には3つのアーチが存在します。

●内側縦アーチ
いわゆる土踏まずの部分です。衝撃吸収や地面を蹴る動作に非常に重要な役割を果たします。踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨で構成されます。

●外側縦アーチ
足の外側に位置するアーチです。内側縦アーチに比べると低いですが、足部のバランスに関与しています。
踵骨、立方骨、第4、5中足骨で構成されます。

●横アーチ

足の指の付け根あたりを内側から外側にかけて位置するアーチです。緩衝作用と体重支持に働きます。

第1〜5中足骨頭で構成されるアーチです。

このアーチのおかげで歩く、立つ、走る、片足でバランスをとるなどの動作が円滑に行えているのです。

足関節の捻挫の後遺症によりこのアーチが破綻してしまうと、足部が不安定になり他の部位への負担を強めてしまうのです。

アーチを形成し、保持しているのは筋肉です。特に重要となるのは前脛骨筋、後脛骨筋、短腓骨筋、長腓骨筋、足趾内在筋と呼ばれる筋肉になります。

これらは互いにバランスよく働くことで動作に重要な3つのアーチの機能を支えています。

足関節捻挫後ではこれらの筋肉の筋力低下を起こすことで、アーチの機能不全を招いてしまいます。

捻挫後の後遺症を改善するためのリハビリとして以下の筋力トレーニングを紹介します。

足首の捻挫のリハビリ

足首の捻挫の予防にはアーチの筋肉を鍛える必要があります。

足首捻挫のリハビリ①前脛骨筋のトレーニング

 指を握った状態でつま先を上に持ち上げます。すねの前の筋肉が働いている事を意識します。

足首捻挫のリハビリ②後脛骨筋のトレーニング

 つま先を下に向けるように伸ばして、足を内側に捻ります。ふくらはぎの筋肉が働いている事を意識します。

足首捻挫のリハビリ③短腓骨筋のトレーニング

 つま先下に向けるように伸ばして、小指側を持ち上げるように足を外側に捻ります。すねの外側の筋肉が働いている事を意識します。

足首捻挫のリハビリ④長腓骨筋のトレーニング

 つま先下に向けるように伸ばして、小指側を持ち上げるように足を外側に捻ります。すねの外側の筋肉が働いている事を意識します。

またカーフレイズ(つま先立ち)も効果的に後脛骨筋・腓骨筋を鍛えられます。

足首捻挫のリハビリ⑤足趾屈内在筋のトレーニング

足の指を握ったり、開いたりする事で足趾内在筋を鍛えることが出来ます。

足首捻挫のリハビリ⑥自宅で簡単!足首の捻挫のリハビリ

●足でじゃんけん

●タオルを足で引っ張る

●つま先を上にする

●足の足を広げる

こんな人は注意

●足関節の可動域が少ない人

●足の指の可動域が少ない人

●立った姿勢で後ろから見て踵が傾いている人

●土踏まずがない偏平足の人

●片足でのつま先を立ちを左右ともに20回連続で出来ない人

あてはまる方は治す方法を医師と相談をしましょう。

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まとめ

●足首の捻挫は足関節の靭帯損傷の事をいい、圧倒的に内側に捻る内反捻挫の頻度が高い

●足首の挫後の後遺症は他の部位の怪我の引き金となりうる

●足首の捻挫後の後遺症として距骨下関節、アーチの機能が低下が大きな問題となる

捻挫は痛みが引いたら治ったわけではないので、しっかりとその後の状態を確認してリハビリする事が大切です。

豊田早苗(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

豊田早苗

豊田早苗

医師

●経歴
2000年 鳥取大学医学部卒業
2001年 医師免許取得
2001年~2004年 島根県で内科医、総合診療医として勤務
2004年 勤務しながら、認知症も含めた精神科医療を学ぶ
2005年 とよだクリニック開業(精神科・心療内科・神経内科・内科)

●参加学会

総合診療医学会
認知症予防学会

●著書→コチラ 

私は、普段、診療科を問わず、様々な病気や症状に悩んでおられれ方の相談対応にあたっています。
運動は、生活習慣病の予防やストレス発散に、とても効果的で、患者さんに日常生活に運動を取り入れるよう勧めることが多々あります。ですが、急に運動を始めるとケガしやすいため、ケガの予防、さらには、ケガした際の応急処置や対応についても指導するようにしています。
ここには数多くのケガに関する記事が掲載されています。
これらの記事が皆さんがケガについての正しい知識や対処法について学ぶ機会となり、運動を楽しく続ける参考になれば良いなあと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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