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離断性骨軟骨炎【肘と膝】の治療・手術・リハビリ・サポーター・全知識

 2018/01/22 ケガと予防法
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スポーツをしていて肘が痛くなったことはありませんか?

また膝を曲げるときに痛みが走ったりロッキングが起きたりしませんか?

もしかすると離断性骨軟骨炎かもしれません。

放っておくとスポーツはおろか日常生活にも支障をきたします。

今回は

・医師の増田陽子先生
・理学療法士の桜井佑葵先生

の2名が離断性骨軟骨炎の治し方・リハビリの方法について解説をしていきます。

離断性骨軟骨炎とは

離断性骨軟骨炎とは簡単に説明をすると骨にある軟骨が剥がれ落ちてしまうケガです。

その名の通り、骨が離断してしまい炎症を起こして痛みが起きます。

離断性骨軟骨炎が起きやすい場所は次の通りです。

  • 肘の関節
  • 膝の関節
  • 足の関節
  • 稀に大腿骨の付け根

骨の発育途中のスポーツをしている小中学生に起こりやすいです。

またその剥がれた部分の骨は壊死※1を起こし、剥がれた骨片が関節内に浮遊しいわゆる関節ネズミ※2となります。

※1壊死とは?

●生体の組織の一部が死んでしまう事です。

●または死んだ細胞の痕跡のことを言います。

●骨壊死は、ケガや病気などが原因で骨に血液供給が不十分となり、骨の細胞が死にます。

●そして骨が衰えていき、周りの軟骨が劣化することによって痛みが出ます。

※2関節ネズミとは?
●ケガなどによって剥がれてしまった軟骨や骨が関節の中で浮遊する遊離体となります。

●運動によって関節が動かされた際にその剥がれた遊離体が、関節内で引っかかったりする事で痛みが出ます。

●また関節の可動域が小さくなってしまいます。

増田先生
ねずみとは遊離体の事を指し、遊離体が神経に当たるとねずみに噛まれたような激しい痛みが出ることから名付けられました(実際には噛まれた事などありませんが(^_^;))

肘の離断性骨軟骨炎

野球をしている10歳前後の子になりやすく、野球肘の一つとして発症します。

その多くはピッチャーに多くみられ、投球動作の繰り返しのストレスによるオーバーユースによって発症します。

野球肘は痛める場所によって

  • 内側型
  • 外側型
  • 裏側

に分けられます。

その中で、離断性骨軟骨炎が起こるのは外側型の野球肘です。

野球肘の外側型とは

野球でのピッチングフォームは4つの動きに分けることが出来ます。

投球フォームとは

①ワインドアップ・・・振りかぶる
②コッキング期・・・手が離れる~足を下ろす~腕を後ろに引いた状態まで
③アクセレレーション期・・・ボールを後ろに引いてからボールが手から離すまで
④フォロースルー・・・ボールが手から離れた後に腕を振り切る

この瞬間、肘の外側が痛む

このコッキング期からアクセレレーション期にかけて、肘を後方に引いた時に骨と骨が衝突して痛めるのが外側型です。

骨と骨がぶつかり痛む

発症のメカニズムと特徴

①メカニズム

●肘を後方に引く動作によって骨と骨がぶつかって衝突するストレスが生じます。

●この繰り返しによって軟骨が損傷を受けます。

●骨が壊死を起こす。または剥がれてしまい『関節ネズミ』となってしまいます。

②特徴

●肘の外側に痛みが出ます。

●特に小中学生の成長期の頃に発症した場合は将来的な後遺症をきたす事があるので、スポーツを中止して治療に専念しましょう。

●内側型の野球肘よりも頻度は少ないです。

●発見が遅れた場合は予後が悪く、治療は大変ですので、早期発見、早期対処が必要です。

肘の離断性骨軟骨炎とは

出典:https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/baseball_elbow/

肘は上腕骨(じょうわんこつ)と橈骨(とうこつ)尺骨(しゃくこつ)という骨で構成されています。

投球をする時に上腕骨と橈骨が衝突する事によって、上腕骨の上腕骨小頭という部分が損傷をうけます。

膝の離断性骨軟骨炎とは

こんな膝の動きをすると注意です。

サッカーやバスケットボールなどのスポーツにて多く見られます。

ジャンプやターンなど、膝に捻るストレスや圧縮されるストレスがかかる事によって軟骨に損傷を受けます。

症状は次の通りです。

  • 膝を曲げたり・伸ばしたときの痛み
  • 体重がかかった時の痛み
  • 膝がまっすぐ伸ばせない(ロッキング)
増田先生
ロッキングとは、肘がある一定の角度までしか激痛により曲げられなくなることをいいます。英語のロック=身動きさせなくするから来ています。

膝は膝蓋骨(しつがいこつ)、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)という関節で構成されています。

膝の離断性骨軟骨炎のほとんどは大腿骨に発症し、半月板損傷と合併する事もよくあります。

また、まれに膝蓋骨に発症する事もあります。

関連:半月板損傷の治し方

離断性骨軟骨炎の重症度

損傷度は次のような3つの時期に分類されます。

離断性骨軟骨炎の重症度

●透亮期

軟骨の関節面の限局性透亮像を示すもの。
※初期の段階で軟骨が壊死を起こし始めた状態です。

●分離期

病巣と周囲骨組織の間に透明帯を認めるもの。
※軟骨にヒビが入り始めた状態です。

●遊離期

軟骨と骨が完全に剥脱し関節内に遊離体となって存在しているもの。
※軟骨が剥がれ落ちてしまい、関節内で動いている状態です。

離断性骨軟骨炎の診断

診断は整形外科などでレントゲンを撮る事でわかります。

より明確な診断を受けたい場合は、MRIやCTなども有効です。

離断性骨軟骨炎の治療

整形外科を受診し、肘の離断性骨軟骨炎と診断された場合はその『重症度の時期』によって治療方針が異なります。

透亮期や分離期の初期の場合

  • スポーツは全面禁止として治療に専念することで完全に治る事もあります。
  • 膝の場合は松葉杖を使用し、体重をかけないようにする事もあります。
  • 3ヶ月~6ヶ月、場合によっては1年以上の長期にわたりスポーツを禁止する事もあります。
  • 3~6ヶ月を経過しても改善が見られない場合は、手術を考慮します。

分離期、遊離期の場合

  • 手術をして治療します。
  • そうする事で将来的な後遺症を抑えたり、スポーツを再開することを目指します。

手術の種類

●骨穿孔術(ドリリング)

剥離した軟骨片を貫いて、ドリルで下の骨までいくつかの穴を空けて骨の傷をあえて作ります。

そうする事によって、骨の出血を促し、組織の回復を活性化して骨癒合を促進する方法です。

●骨釘移植

自分の骨で作った骨の釘や骨に変わる人工のピンなどで固定する方法です

●モザイクプラスティー

悪くなった軟骨片や下の骨を削り取って、他の関節の骨から、軟骨付きの骨を移植してモザイク状に移植する方法です。

手術から復帰までの期間

●手術後2~3週間・・・ギプス固定をします。

●おおよそ4~6ヶ月・・・運動開始となります。

●6ヶ月以降・・・スポーツを始めます。

※状態によって個人差があり復帰時期については幅があります。

離断性骨軟骨炎術後の再発予防のリハビリ

手術後は肘の可動域訓練や筋力トレーニングを中心に行っていきますが、再発しないように肘に負担をかけないような投球フォームを習得する事が重要です。

あわせて読みたい

ピッチャー必見!肘に負担をかけない投球フォーム

細かなフォームについてはトレーナーや理学療法士に個別に指導を受ける事をお勧めしますが、肘への負担を軽減させるのに必要な要素を紹介します。

  • コッキング期に肘が下がらないように肩をゼロポジション※の位置にする
  • 前方ステップ側の股関節の動きを柔軟にする

これらの2つの要素について解説していきます。

ゼロポジション

肩甲骨には肩甲棘と呼ばれる部位があります。

この肩甲棘と上腕骨が一直線になる位置をゼロポジションと呼びます。

見事なゼロポジションの田中投手

なぜゼロポジションが良いのか

肩関節の外旋

コッキング期のように、腕を後方にひねる動作を肩関節の外旋と呼びます。

回旋筋腱板

ゼロポジションでは、肩を支えている回旋筋腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)と呼ばれる4つのインナーマッスルのバランスが最も良くなり、肩の外旋がスムーズに動き、安定した肩の動きをすることが出来ます。

プロは基本に忠実だ

ゼロポジションではない位置での外旋の動きでは、インナーマッスルのバランスが崩れて肩への負担が大きいです。

その代償として肘へもストレスを強めてしまいます。

ゼロポジションで肩を効率よく動かして肘へのストレスを減らすことが大切です。

このゼロポジションが出来るようにするためには肩甲骨や背骨の動きが重要となります。
これらのトレーニング方法を紹介します。

肩甲骨を支える僧帽筋の筋力トレーニング

四つ這いで、鍛える方の手を頭の上に回します。

そのまま肘を上に突き上げ、肩甲骨を内側に寄せていきます

背骨のストレッチ

四つ這いで身体全体を丸める。

反らすように交互に動かす。
        

股関節の動きを柔軟にする

投球時のアクセレレーション期には脚を前方にステップし、体をひねります。その際に股関節が内側に入って捻じれる動きが生じます。

この股関節の動きがスムーズにいかない事によって、体の力がスムーズに伝達されずに、肘への負担が強まりやすくなります。

この股関節の内転・内旋という動きを柔軟にする事が重要です。

股関節のストレッチ

伸ばす方の足を前にして写真のように交差します。肘で前の膝を抑えて、体を伸ばす方の足と反対に捻ります。

臀部が伸びている状態で30秒以上ストレッチします。

離断性骨軟骨炎を防ぐためには

離断性骨軟骨炎になる原因として大きいのはオーバーユースによる負担です。特に骨の成長が著しいジュニア期の選手は、投球数や試合数を制限したり、練習を休む日を必ず設けるなどの対応が必要です。

中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン

1試合での登板の制限

・1日7イニング以内とし、連続する2日間で10イニング以内とする
・1日に複数試合に登板した投手及び連続する2日間で合計5イニングを超えた投手は翌日に投手または捕手として試合に出場する事は出来ないものとする。

練習の中での全力投球の制限

1日70球以内、週350球以内とする。また週1日以上、全力による投球練習をしない日を設ける事。

中学生選手の障害予防のための指導者の義務

1、複数の投手と捕手を育成すること

2、選手の踏襲時の肩や肘の痛み(自覚症状)と動きに(フォーム)に注意を払うこと

3、選手の故障歴を把握し、肘や肩に痛み(自覚症状)がある選手には適切な治療を「受けさせること。またウォームアップとクールダウンに対する選手自身の意識を高めること。

4、選手の体力作りに努めること

5、運動障害に対する指導者自身の知識を高めること

引用:日本中学硬式野球協議会

負担軽減のためのサポーター

肘への負担を軽減するにはアスリート用、スポーツ用のサポーターが有効です。

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まとめ

●離断性骨軟骨炎とは骨が壊死を起こしたり、軟骨が剥がれ落ちてしまう病態である。

●治療にはスポーツの禁止が必要で、重症度によっては手術が必要である

●予防や再発予防にはオーバーユースやフォームの改善が重要である

増田陽子(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文

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ライター紹介 ライター一覧

増田陽子

増田陽子

救急医


●資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

●経歴
2009年 St. Mathew University School of Medicine卒業
20010年 米国医師免許取得
20011年 カリブ海医師免許・日本医師免許取得
2012年 Larkin Hospitalで研修医
2015年 救急医として勤務しながら、カリブ海の島にて老人医療を行なう
現在・育児にも奮闘中

ビーチと海が大好きでカリブ海にポジションを見つけて住むようになりました。
カリブ海では、日本の高度先進医療のような設備が殆ど無く、レントゲンとCTだけで患者さんを診断します。
その分医師たちのスキルアップが求められ、日々勉強中です。
救急医療に従事していますと、少しの怪我でもその対処法によっては予後が悪くなったり、逆に適切な治療を施したため後遺症や傷口も目立たず、元気に暮らしていらっしゃる方たちも多く見てきました。
このサイトでは少しでも多くの方たちに簡単で適切な処置方法などを伝えていけたらいいなと思っています。


●桜井佑葵(理学療法士)

理学療法士として10年目、これまで総合病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなどで多くの疾患のリハビリを経験。現在、病院で働きながらジュニア期のサッカーチームの怪我予防の指導やトレーナー業務も兼務中。

自身の理学療法士としての経験、スポーツ経験を生かして読者に有益な情報を与えられるように執筆させていただきます。

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