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「プロ野球の監督評価ポイント」を数値でランキングする

 2017/12/03 プロ野球
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 プロ野球・メジャーリーグには名将といわれる監督がたくさん存在する。
皆、ファンの脳裏に焼きついて離れない立派な成績をあげている。
しかしながら、あの時の采配は凄かった!などと「個人的な意見」で評価されることが多いのも事実だ。

今回、プロ野球の監督評価ランキングを算出できるシステムを作ったのでご覧いただきたい。

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監督の実力を「数値」で測る

打者の打率、投手の防御率などのように、プロ野球の監督の実力を「数値」で表わすことはできないものかと長年にわたって考えてきた。

監督を評価する物差しとして誰もが思い浮かべるのは、おそらく「勝利数」だろう。

日本プロ野球の監督通算勝利数は鶴岡一人の1773勝で、鶴岡は同時に99勝(1955年)の年間最多勝記録も保持し、通算勝率も1000勝以上の監督では唯一、6割を超えている。

「勝利数」だけでは評価できない

 しかし、勝利数を指標に据えるうえで、実は大きな壁立ちふさがる。それはメジャーリーグの通算最多勝監督であるコニー・マック(1862~56)の存在だ。

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 マックは1901年から50年間にわたってPhiladelphia(現Oakland) Athleticsで指揮を執り、アメリカン・リーグのペナントを制すること9回、ワールドシリーズ制覇5回を果たし、1884年から3シーズン選手兼任で監督を務めたPittsburgh Piratesでの数字を含めた53シーズンでの通算勝利数は3731勝に達し、2位のジョン・マグロウ(New York=現San Francisco=Giant)の2763勝に1000勝近い差をつけている。おそらく今後も破られることのない不滅の大記録だろう。

 その一方でマックはこちらもメジャーリーグ史上最多の通算3948敗を記録しており、通算勝率.486で負け越している。

メジャーで通算1000勝以上を記録している監督64人(2017年10月末現在)のうち、負け越しているのはマックを含めて13人を数えるのみ、日本では12人の1000勝以上監督は一人も負け越していない。 

 球団のオーナーを兼任(現在のMLB規約では禁止されている)していたマックは、チームの黄金時代に比例して主力選手のサラリーが高騰すると他球団にトレードするというやり方を二度繰り返し、その結果最後には自身の高齢も相まってAthleticsを身売りする事態に追い込まれている。監督在任中だった1937年にマグロウとともに第2回の野球殿堂入りに選ばれるなど、監督としての業績や手腕は疑うべきところがないものの、通算成績で負け越している監督に最高の評価を与えることには抵抗がある。

 また日米間で公式戦の試合数が違うほか、メジャーリーグ(MLB)、日本プロ野球(NPB)でそれぞれ、年によって公式戦試合数のレギュレーションが変更されていることも、勝利数を指標にしづらい理由のひとつに挙げることができる。

 指標の根幹に何を置くべきか、あれこれ考えた末にたどり着いたのが「勝率」だった。

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勝率でランキングする「監督評価ポイント(Manager W-L percent plus Bonus Points=MWLBP)」


 
NPBで143試合、MLBで162試合を消化する長いペナントレースにおいて、どのチームでも最低限の目標としているのが「勝ち越し」だろう。

短期間のレギュレーション変更期間を除けば、順位は勝率で入れ替わり、全日程を終えた時点で優勝チームを含めたすべての順位が勝率の順番に確定する。

 勝率であれば、試合数の変更や相違に影響を受けずに監督の実力を評価する指標たり得る。そこで勝率を、指標を構成する数値の根幹に置くことにした。

【公式戦ポイント】

①勝率ポイント(NPB、MLB共通)=勝率×100(例=勝率.600×100=60点)

監督にとって最大の目標はリーグ優勝であり、優勝を逃してもそれに少しでも迫る数字を残せば自身の評価や翌シーズン以降の契約にもつながる。
そこで①の数式に次のボーナスを加算する。

②順位ポイント(NPB/MLB〈~1968年〉)リーグ優勝=10点、2位=2点、3位=1点/
 (MLB〈1969年~〉)地区優勝=5点、2位=2点、3位=1点、ワイルドカード1位通過(95年~)=2点、同2位通過(2013年~)=1点

③ゲーム差ポイント=2位とのゲーム差(2位以下は1位とのマイナスゲーム差)×0.1

優勝チームにとって、公式戦で2位以下のチームにどれだけのゲーム差をつけたか、逆にペナントを逃したチームにとっては1位にどれだけのゲーム差をつけられたかも、公式戦での優劣を判断する有力な指標となるだろう。

そこで優勝チームは2位につけた、2位以下のチームは1位につけられたゲーム差に0.1をかけた数字を加算する。

④得失点差ポイント=得失点差×0.01

公認野球規則1.02では試合の目的について 「各チームは相手チームより多く得点し、勝つことを目的とする」と規定している。

当然相手よりも多くの得点を取り、逆に相手を限りなく無失点に近く抑えたチームやそれを率いた監督が優れているとの考えから、各シーズンの得失点差をポイントとして反映させる。

※公式戦ポイントの特例(NPB)
(特例①)1936年秋・巨人と勝ち点同数の大阪タイガース=2点
(特例②)1973~82年のパ・リーグ前後期優勝=2点
(特例③)2004・05年の福岡ダイエー/ソフトバンクホークス(公式戦1位ながらプレイオフで敗退)
※公式戦ポイントの特例(MLB)
(特例①)1981年の前後期優勝=2点
(特例②)1981年の前後期Aクラス=2位・1点、3位・0.5点

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【ポストシーズンポイント】

1969年に東西両地区制が採用されてからのMLBや、1973~82年までと2004・05年のパ・リーグ、2006年以降のNPBにはプレイオフ制度が導入された。このポストシーズンにおける成績も「ポストシーズンポイント」として加算する。

(NPB)
⑤クライマックスシリーズ第1ステージ突破=1点(リーグ優勝チームにも1点を付与する)

⑥クライマックスシリーズ第2ステージ突破=2点

⑦日本シリーズ優勝=5点

※ポストシーズンポイントの特例
(NPB)
(特例①)1937・38年の年度優勝決定戦優勝(大阪タイガース)=5点
(特例②)1973~82、2004・05年のパ・リーグプレイオフ優勝=3点
(MLB)

⑧ワイルドカードゲーム突破(2013~)=0.5点

⑨ディヴィジョンシリーズ勝利(1981、95年~)=1点(1981年のディヴィジョンシリーズ優勝チームは+地区優勝ポイント5点)

⑩リーグチャンピオンシップシリーズ勝利(1969年~)=2点

⑪ワールドシリーズ優勝=5点
 
上記すべての数字を合計して算出した数値を「監督評価ポイント(Manager W-L percent plus Bonus Points=MWLBP)」と名付けることにする。

勝率が基幹となるので「50」が優劣の分岐点になり、100に近くなるほどより優秀な数字を残した監督ということになる。

 上記すべての数字を合計して算出した数値を「監督評価ポイント」と名付けることにする。

勝率が基幹となるので「50」が優劣の分岐点になり、100に近くなるほどより優秀な数字を残した監督ということになる。

メジャーリーグの監督評価ポイント

ヤンキースのミラー・ハギンスの評価ポイント

日本プロ野球の監督評価ポイント

南海ホークスの鶴岡一人の評価ポイント

箭球兜士郎(やきゅう・とうしろう)
プロ野球監督アナリスト/野球記者/野球史研究者●文

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箭球兜士郎

箭球兜士郎

(やきゅう・とうしろう)

プロ野球監督アナリスト/野球記者/野球史研究者。

プロ野球監督を評価する数値として「監督評価ポイント」(Manager W-L percent plus Bonus Points=MWLBP)を考案。今後、「野球監督の歴史」をその起源から随時発表していくとともに、旧態依然とした旧日本軍的「体育会系体質」から脱却できない日本のプロ野球監督を冷徹に評価・発表する活動を展開していく予定。


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