50歳まで現役でプレーできる!プロ野球選手の食事メニューと量とは
プロ野球選手、またはプロを目指している方はたくさんいると思います。プレーの技術向上のための練習は必須ですが、同様に重要なのが食事です。
今回は、長く現役でいられるための食事の量や具体的なメニューなど栄養のとり方について特集します。
Contents
プロ野球で長く現役でいるためには食事管理は必須
野球は現役が長いスポーツです。しかし、長く続けていくには、体づくりが必要です。体づくりは、練習だけでできるものではなく、食事が必要不可欠です。
子供の頃は何をどう食べても大丈夫だったかもしれませんが、(本来は子供の頃から食事に注意する必要があります)成人はもっと考えて食べなければ、長く現役を続けていくことはできません。
野球というスポーツの特徴を加味した、栄養の摂り方をご説明します。電卓とメモを用意して読み進めて下さいね。
自分の必要栄養量・必要タンパク量・必要糖質量・必要脂質量を知ろう
まずは自分の身体の状態から、何をどれくらい食べればいいのか?を知りましょう。
プロ野球選手に必要な1日のエネルギー量
自分の必要なエネルギー量をご存知ですか?必要なエネルギー量の求め方は様々な方法があります。野球というスポーツを加味した計算の仕方は、以下の通りです。
LBMとは脂肪以外の組織の重さのことです。つまり筋肉や骨、内臓 などの総量のことをいいます。
※体重70kg体脂肪率が10%の「Aさん」の場合、LBMは体脂肪を除いた量なので90%となり、63kgとなります。
今は体脂肪率を計れる体重計がありますので是非1度脂肪率をチェックすることをおススメします。
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PALとは日常生活の活動の強度を表したもので、1日のエネルギー消費量が基礎代謝量の何倍になるかを示した値です。『身体活動レベル』とも言います。
プロ野球選手の場合のPALはシーズン中では2.00、オフトレーニング期では1.75です。
それでは実際にシーズン中の野球選手(体重70kg、体脂肪率10%)の必要栄養量を計算してみましょう。
28.5(kcal/LBM)×63LBM(kg)×2.00PAL=3591kcal
Aさんに必要な1日のエネルギー量は3591kcalとなります。
是非ご自分の必要栄養量を計算してみて下さい。
プロ野球選手に必要な1日のタンパク量
2番目に、必要なタンパク量です。これは、体重1kg当り1.7~1.8gがアスリートの推奨量です。(一般人は体重当り0.7g)
筋力アップなどをしていない時期であるならば、タンパク量を増加させる必要はありません。
先ほどのAさんの場合は、70kg×1.8g=126gとなります。よって、1日の必要タンパク量は126gとなります。
プロ野球選手に必要な1日の糖質量
3番目に必要糖質量です。野球選手の場合、糖質の必要量は体重1kg当り6~7gです。
Aさんの場合では、70kg×7g=490gとなります。1日の必要糖質量は490gです。
プロ野球選手に必要な1日の脂質量
4番目に必要脂質量です。脂質量は必要エネルギー量の25~30%です。
Aさんの場合は3591kcalが必要エネルギー量のですので、その25~30%は897~1077kcalです。
脂質は1g当たり9kcalですから、脂質の量は111g~127gとなります。
体のエネルギーとなるのは、主にタンパク質、脂質、糖質の3つです。タンパク質と糖質は1gに4kcal、脂質は1gに9kcal含まれています。
Aさんの場合を見てみましょう。
タンパク質 126g×4kcal=504kcal
糖質 490g×4kcal=1960kcal
脂質 30% 1077kcal
504+1960+1077=3541kcal
ほぼ必要エネルギー量と同じになりましたね。食べるべきタンパク質、糖質、脂質がそれぞれ「●g~●g」と幅があるので、どの数字で計算したら良いのか判らない場合は、何度もこの式に当てはめて、合計が必要エネルギー量に近い値を探しましょう。
メニュー例
エネルギー3591kcal、タンパク質126g、糖質490g、脂質30%の食事例を見てみましょう。
朝食
食パン6枚切り2枚(バター&ジャム)
目玉焼き
ホウレンソウの炒めもの
グレープフルーツジュース
食品名 | 使用g | エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 |
---|---|---|---|---|---|
食パン(6枚切り2枚) | 126g | 333kcal | 11.7g | 5.5g | 58.8g |
バター | 5g | 37kcal | 0.0g | 4.1g | 0.0g |
ジャム | 21g | 54kcal | 0.1g | 0.0g | 13.3g |
卵(M1個) | 50g | 75kcal | 6.2g | 5.2g | 0.2g |
ほうれん草(半束) | 100g | 20kcal | 2.2g | 0.4g | 3.1g |
バター(炒め用) | 10g | 74.5kcal | 0.1g | 8.1g | 0.0g |
コーン | 30g | 29kcal | 1.1g | 0.5g | 5.6g |
醤油(大さじ1/2) | 9g | 6kcal | 0.7g | 0g | 0.9g |
グレープフルーツジュース | 200g | 84kcal | 1.3g | 0.2g | 21.6g |
牛乳 | 200g | 134kcal | 6.6g | 7.6g | 9.6g |
合計 | 847.14kcal | 29.9g | 31.51 | 113.1g |
昼食
ご飯
豚の生姜焼き
冷や奴
もやしとニラの炒め物
豚汁
食品名 | 使用g | エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 |
---|---|---|---|---|---|
ご飯(1合) | 150 | 534kcal | 9.2g | 1.4g | 115.7g |
豚ロース脂身なし | 100 | 202kcal | 21.1g | 11.9g | 0.3g |
キャベツ(千切り) | 50 | 12kcal | 0.7g | 0.1g | 2.6g |
トマト(半分) | 50 | 10kcal | 0.4g | 0.1g | 2.4g |
醤油 | 15 | 11kcal | 1.2g | 0.0g | 1.5g |
砂糖 | 10 | 38kcal | 0.0g | 0.0g | 9.9g |
生姜 | 1.5 | 2kcal | 0.0g | 0.0g | 0.3g |
サラダ油 | 9 | 83kcal | 0.0g | 9.0g | 0.0g |
木綿豆腐(1/4丁) | 100 | 72kcal | 6.6g | 4.2g | 1.6g |
青ねぎ | 10 | 3kcal | 0.2g | 0.0g | 0.7g |
醤油 | 15 | 11cal | 1.2g | 0.0g | 1.5g |
もやし | 100 | 15kcal | 2.0g | 0.0g | 2.7g |
ニラ | 30 | 6kcal | 0.5g | 0.1g | 1.2g |
めんつゆ(濃縮) | 10 | 10kcal | 0.5g | 0.0g | 2.0g |
油 | 5 | 46kcal | 0.0g | 5.0g | 0.0g |
だいこん | 30 | 5kcal | 0.2g | 0.0g | 1.2g |
人参 | 20 | 7kcal | 0.1g | 0.0g | 1.8g |
里芋 | 30 | 17kcal | 0.5g | 0.0g | 3.9g |
豚バラ肉 | 15 | 58kcal | 2.1g | 5.2g | 0.0g |
青ねぎ | 5 | 2kcal | 0.1g | 0.0g | 0.4g |
味噌 | 10 | 19kcal | 1.3g | 0.6g | 2.1g |
出汁 | 0 | 0kcal | 0.0g | 0.0g | 0.0g |
合計 | 1162kcal | 47.5g | 37.6g | 151.8g |
夕食
ご飯
マグロの刺身
鶏のから揚げ
なすの味噌炒め
かぼちゃの煮物
みかん
食品名 | 使用g | エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 |
---|---|---|---|---|---|
ご飯 | 150g | 534kcal | 9.2g | 1.4g | 115.7g |
まぐろ(5切れ) | 60g | 75kcal | 15.8g | 0.8g | 0.1g |
醤油 | 10g | 7kcal | 0.8g | 0.0g | 1.0g |
わさび | 3g | 8kcal | 0.1g | 0.3g | 1.2g |
鶏もも皮なし(3個) | 90g | 104kcal | 16.9g | 3.5g | 0.0g |
醤油(から揚げ) | 5g | 4kcal | 0.4g | 0.0g | 0.5g |
生姜 | 9g | 3kcal | 0.1g | 0.0g | 0.6g |
酒 | 5g | 5kcal | 0.05g | 0.0g | 0.3g |
片栗粉 | 10g | 33kcal | 0.0g | 0.0g | 8.2g |
油(から揚げ) | 15g | 138kcal | 0.0g | 15.0g | 0.0g |
なす | 100g | 22kcal | 1.1g | 0.1g | 5.1g |
ピーマン | 50g | 11kcal | 0.5g | 0.1g | 2.6g |
味噌 | 10g | 19kcal | 1.3g | 0.6g | 2.1g |
砂糖(ナスの炒め) | 5g | 19kcal | 0.0g | 0.0g | 5.0g |
油(ナスの炒め) | 30g | 276kcal | 0.0g | 30.0g | 0.0g |
かぼちゃ | 100g | 91kcal | 1.9g | 0.3g | 20.6g |
醤油(かぼちゃの煮物) | 5g | 4kcal | 0.4g | 0.0g | 0.5g |
砂糖(かぼちゃの煮物) | 5g | 19kcal | 0.0g | 0.0g | 5.0g |
みかん(2個) | 100g | 74kcal | 1.2g | 0.2g | 19.2g |
1443kcal | 49.1g | 52.3g | 190.2g |
エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 | |
---|---|---|---|---|
朝食 | 847kcal | 29.9g | 31.5g | 113.1g |
昼食 | 1162kcal | 47.6g | 37.6g | 151.8g |
夕食 | 1443kcal | 49.1g | 52.3g | 190.2g |
合計 | 3452kcal | 126.5g | 121.3g | 455.2g |
目標量 | 3591kcal | 126g | 127g | 490g |
この量は、多いと思いますか?人それぞれですが、思ったよりご飯の量が多くて、おかずが少ないかなと感じる人が多いですね。
ご飯の量が1食1合ですから、かなりの量があります。1回に1合食べられない人は、食べられない分はおやつにおにぎりなどで摂るといいですね。
思ったより体重が増えない、筋力がつかないなどの悩みは、そもそも摂取量が足りていないことが多いのです。
日々の食事への応用
栄養士が毎日計算して食事を選んでくれればいいのですが、そうはいきません。毎回きっちり目標のエネルギーに合わせることは、栄養士でもなかなか難しいものです。日々の食事への応用方法をお教えします。
主食の量は一定にする
目標摂取エネルギーの半分は主食(ご飯・パン・めん)から摂取します。全ての食事で主食の量を一定にするのがポイントです。
今回、朝は食パン2枚、昼夕はご飯1合と判りやすいように設定しました。ご飯の量は、カレーライスでも丼物でも一定にします。
ご飯1合は米では150gですが、ご飯になると330gです。これは、吉野家の特盛りのご飯量と同じです。
主菜は1.5倍に
主菜とは、その食事のメインのおかずです。主に肉、魚、卵、豆腐で、タンパク質の多い食品になります。
これは、一般的に1人前といわれる量の1.5倍にします。今回の例では、昼食では生姜焼きは1人前の量ですが、そこに冷や奴を付けて増やしています。
また、夕食では鶏のから揚げは1人前で、刺身を付けて増やしています。2品にする必要はなく、1品を1.5倍にしても構いませんので、目安にして下さい。
野菜のおかずは2品
糖質やタンパク質を摂っても、それらを体できちんと動かすにはビタミン・ミネラルが必要です。
ビタミン・ミネラルは野菜や果物から摂ります。野菜のおかずは朝食で1品、昼夕では2品摂るようにします。
また、果物は摂れない場合は100%のフルーツジュースなどで補うのも1つの方法です。
個人に合わせて微調整
目標量は、あくまでもデータに基づいた推測でしかありません。人の体はデータ通りに動いてくれないものです。
練習量も違いますし、年齢、痩せやすい体質、太りやすい体質など色々あります。この計算方法で目標の摂取量を確認した後、体重や体調の変化で摂取量を変えていきます。
※参考 食事の写真を撮るだけでカロリーが分かるアプリ
https://www.qualia.tokyo/
まとめ
現役を長く続けていくには、何か1つを食べたらいいというわけではありません。きちんとした食生活を身に付け、自身をコントロールすることが重要なのです。
最初は難しいかもしれませんが、一度電卓を叩いて自分の栄養量を計算してみて下さい。
栄養表示を見る習慣をつけたり、食事の記録をつけたり、栄養量を計算してくれるアプリもありますので、それらを使いながら長く現役を続けていけるようにしましょう。
三沢奈緒子(管理栄養士)●文
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