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結果にふさわしい人になることを心がける スポーツメンタルコーチ鈴木颯人

 2017/04/17 メンタル
 

スポーツは勝負の世界。
フィジカルと共に強いメンタルは不可欠なものを言えよう。
今回は、年間500回以上、アスリートと1対1でメンタルをコーチングする鈴木颯人氏に話を聞いた。

“外発的動機づけ”と“内発的動機づけ”

スポーツメンタルコーチとして活躍する鈴木颯人氏。彼が主宰する「Re-Departure」のホームページには、“望む結果を出すアスリートを育成する”という文言が使われている。その真意を聞いてみると、面白い話を聞かせてくれた。

「よくモチベーションが上がるっていいますが、そのモチベーションには2種類が存在するんです。ひとつは外発的動機づけで得られたもの。これは、自分がやりたくてやっているわけではないのに、周りに言われて仕方なく気持ちが高まっていくことです。

もう一つが、“内発的動機づけ”。こちらは自分が関心を持っていたり、好奇心があったりすることに対して自分でモチベーションを高められることです。

自身がどちらの傾向でモチベーションを挙げているかを見極めるポイントとしては、乱高下の激しさかそうでないかがわかりやすいと思います。

モチベーションの上がり下がりが激しいということは、周りから言われて仕方なく気持ちを高めている傾向が多いので。アスリートの場合だと、コーチや監督などから、こうしなきゃダメだとか頭ごなしに言われて、こなすだけの練習になることが多い人は、外発的動機づけの傾向が強いことになります。」

心からやりたいと思えば、情熱は消えない

セミナーで講義をする鈴木氏

アスリートに限らす、一般の人でも内発的動機づけのモチベーションを保てるようになれば、精神的な不安定さを解消できるという鈴木氏。やりたいという気持ちはどんなことから湧き出るものなのだろうか。

「人は、興味があることになると行動力が上がると思います。わかりやすい話をすれば、親が子どもに勉強しなさいと言ったとします。

勉強が嫌いな子どもだとしたら、やっているフリはしてもすぐに別のことをやってしまうでしょう。

しかし、その子に得意だったり好きだったりの教科名を出して上げると、やる気はアップするのです。つまり、興味を示さないものを無理やりやるということはありません。それは大人になっても一緒だと思います。

上司に営業成績などを厳しく言われると、“こっちだって頑張ってるんだよ”と反発したくなりますよね。それと同じことだと私は思います。とはいえ、社会の一員であればやりたくないと思ってもやらなければいけないときがあります。

そんなときは、そのことが自分にとってどんな影響を与えるかなどを考え、内発的な動機づけに変えることでやる気を起こさせることができるわけです」

自分がやりたいことなら、継続できる

モチベーションの乱高下が激しいと思う人には、この言葉が一番役に立つのかもしれない。

絶対に他をコントロールしない

モチベーションを保つために、もうひとつ面白い話を鈴木氏は教えてくれた。

「外発的動機づけによって、モチベーションが下がることがあります。それは、雨が降ってしまい、予定が狂ってしまうときなどです。天気は自分たちがコントロールできるものではないのでどうしようのないことなんですが、切羽詰まったりしている状況などでは、“なんで雨んだなよ”とか“今振らなくてもいい”などイライラが募ってしまう。これは、コントロールできないものを無理やりコントロールしようする意識が働いているからです」

メンタルを学ぶセミナー

鈴木氏は、何を無理やりコントロールすることは、対人関係においても起こりうることだという。

「人の考え方も同じなんです。コーチや監督は、選手が思うようにこう行動してくれないと思った瞬間、選手たちをコントロールしなければという意識が働く。また、アスリート側が自分の意見をコーチや監督に言い、それが理解してもらえなかったときなども同様です。つまり、なかなか思うようにならない人がいると、無意識にその人をコントロールしてくなってしまうんです。それがストレスとして自分の中に残ってしまう。だから、他の人をコントロールしようと思わないことも重要になります。コントロールするのは自分自身だけでいいんです」

自分をコントロールし結果にふさわしい人間になる

「僕のところにきたアスリートには必ず目標を立ててもらいます。その際、ある話もしています。それは、40歳を超えてもトップクラスのプレーヤーとしてメジャーリーグで活躍するイチロー選手のこと。イチロー選手が日米通算4000本安打達成したときに、メンタリティとか、内面の強さが手に入ったと思う?って聞くんです。

すると、『そうじゃない』

という答えが返ってきます。なぜなら、同じアスリートとして、目標を達成する人というのはその前から結果にふさわしい人間になっていることが、うっすらとわかっているからです。

結果を出すアスリートというのは、自分をしっかりコントロールしている。自分のやるべき目標をしっかりと見据えられているので、今何をしなければいけないのか、しっかりと考えて行動をしているわけです。

プロ野球選手を目指している人であれば、その結果に向けて何が必要なのかを考える。

プロフェッショナルとしての高い意識だったり、日頃の立ち居振る舞いだったりといろんな要素があるじゃないですか。

プロ意識というのは、大学生であっても、高校生であっても持っていて不思議ではないもの。

例えば、注目されている選手が全国大会に出たとします。その選手を見るために、入場料1000円を払った観客が5000人来たとしましょう。観客すべてが自分を見に来てないにしても、選手自身は500万円の価値があると考えてもいいわけです。

それだけの注目度があるという証拠なのですから。他人が聞いたらバカにされることかもしれませんが、自分をコントロールするという点から見れば、まったく馬鹿げていないし、自分のプレーでお金を稼ぐというプロ意識を養っていることにも繋がるんです」

アスリートをコーチングする鈴木氏自身も、アスリートたちと同じ心構えを持つという。

「アスリートには、その結果にふさわしい人っていうのに常に心がけてもらっています。それは僕自身も同じこと。こうやって、アスリートをサポートするコーチとしてふさわしい人間にならなければいけないと思うわけです」

松野友克●文

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ライター紹介 ライター一覧

松野友克

松野友克

1976年、福島県南相馬市生まれ。
小学生のときは少年野球、中学・高校ではバレーボールに熱中していた。高校時代にスポーツ雑誌の仕事に携わりたいと上京を決意。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、複数の編集プロダクションに勤務したのちフリーランスのライター・編集者として独立した。
多ジャンルの雑誌、ムック本・書籍を制作する中でプロ野球、女子7人制など多くのスポーツ取材を行う。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

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