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プロサッカー選手への道とは。フットボールトライアウトアカデミー・宝槻慶仁

 2018/04/25 サッカー
 

日本でプロサッカー選手を次々と輩出しているスクールをご存じだろうか?
東京にあるフットボールトライアウトアカデミー。通称『FTA』だ。

代表を務める宝槻慶仁氏は海外のプロサッカーリーグにコネクションを持ち、育てた有望な選手たちをプロリーグへ送り込んでいる。

前回の記事:20人以上プロサッカー選手を輩出する『プロサッカー選手養成学校FTA』代表 宝槻慶仁

日本のみならず世界を視野にしてプロを目指す選手の夢をかなえている宝槻氏の『プロサッカー選手への道とは』について聞いてみた。

プロサッカー選手への道は決して狭いものではない

ブラジルで経験したカルチャーショック。しかし、サッカーに対する新たな考えが生まれ、視野が広がったことは本当によかったという宝槻慶仁氏。

ブラジルではプレーやサッカーの概念だけでなく、プロになるための道標の多さも実感することになった。

「最初にブラジルに行ったとき、ある田舎町に住む15歳の少年と出会ったんです。たまにサッカーして遊んでいたんですが、あるとき、『今度、オランダのPSVに行くんだ』っていうんです。

日本ならそんな年齢で珍しいってなるかもしれませんが、ブラジルでは当たり前のこと。代理人などのネットワークが整備されているのもあるかもしれませんが、いい環境だなって思いましたね」

日本が島国であることも影響しているかもしれないが、若い年齢の子がスポーツをするために海外へいくということには難しいと思われがちだ。しかし、現在・FC東京に所属している久保建英が、10歳のスペインの名門・バルセロナFCの下部組織に所属してプレーしたという事例もある。

18歳以下選手の外国人選手登録などの問題でトップチームに上がる夢は一時途絶えたが、14歳でFC東京の下部組織に入団し、翌年にはJリーグの試合に出場。史上最年少出場記録を樹立した。

「久保君のような事例が日本でも当たり前になるのが一番だと思う」

日本で王道とされているプロへの道は、あまりにも狭い。しかし、少し視野を広げることでチャンスはいくらでも広がる。プロサッカー選手になりたいと思う人は多い。その人たちの可能性をなくさないために、宝槻氏は現在運営しているFTAの設立を決めたのだ。

選手たちを応援する気持ちは絶対に揺るがない

 宝槻氏の周囲には、日本ではあまり実績を残せなかった選手が、海外に活路を求め実績を積んでからJリーグのチームと契約までこぎつけた選手もいるという。

「アルゼンチンやウルグアイのチームで実績を積んで、代理人がJリーグに売り込んだんです。そしたら清水エスパルスと契約できたんですよ。期間を見れば短いかもしれませんが、契約した事実はすごいことです。」

「日本の高校や大学で頑張っていましたっていう選手と、海外の2部や3部かもしれないけど、プロ契約をして戦っていましたっていう同じ年齢の選手がいたら、クラブの人たちは絶対にプロ経験者に注目しますから。だから日本人の逆輸入っていう考え方っていうのはありなんです。特に国内で目立った実績を残せなかった選手たちにとっては、そのほうが現実的です。そういう道筋を一つでも増やして上げたいっていう気持ちがFTA設立につながっています」

厳しい目で選手を指導する宝槻氏

かつて自分が夢見たプロサッカー選手になりたい人を応援する。
これまでも強い信念に突き動かされてきた宝槻氏は、2012年にFTAを設立する。しかし、当初は苦労の連続だったという。

「大きな宣伝も打てませんでしたし、資金もありませんでしたからね。月3万5000円の月謝だけは運営も厳しかったですよ。コンビニアルバイトの方が稼げるほどでした。練習する場所探しも大変でした」

広めの公園を探したり、あるときは野球のグラウンドの芝生エリアの一部を借りたり……。設立当初は、宝槻氏を含め、メンバーも2人しかおらず、苦労は続いたという。

ようやく形ができてきたアカデミーの実情

 大変なことは多かったが、プロを夢見るサッカー選手たちを応援したいという気持ちは消えることはなかった。どんな苦境でも継続していったことで、今ではメンバー数も増え、海外で活躍するメンバーを合わせたらも30人程度になっている。

「今でも特別な宣伝はしていませんが、アカデミーから海外へ行った選手のSNSなどをみて来ましたという選手も出てきています」

徐々にアカデミーの認知度も上がっている。さらに、海外でプロ選手として契約ができた選手も20人ほどいるという

情熱は選手以上だ

「プロとして契約できれば終わりではなく、契約後のフォローも行っています。プロ契約したとしても、最初から一流選手のような感じではないので、生活面においても大変なことが多い。だから、しっかりとサポートもしていかないといけないんです」

 海外に出ていった選手の中には、サッカー選手としてでなく、現地で新しい仕事を見つけて、生活している人も多い。その人たちとのネットワークを維持することも重要なポイントのひとつ。

 現地からの情報をしっかりと把握し、目指している選手に伝える。設立から6年を迎えようとしている今、その形がはっきりと見えるようになってきたと宝槻氏は胸を張る。

それでも、まだまだ課題は多く残されているという。

松野友克●文・写真

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ライター紹介 ライター一覧

松野友克

松野友克

1976年、福島県南相馬市生まれ。
小学生のときは少年野球、中学・高校ではバレーボールに熱中していた。高校時代にスポーツ雑誌の仕事に携わりたいと上京を決意。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、複数の編集プロダクションに勤務したのちフリーランスのライター・編集者として独立した。
多ジャンルの雑誌、ムック本・書籍を制作する中でプロ野球、女子7人制など多くのスポーツ取材を行う。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

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