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スカッシュ日本ランキング3位!『もっとスカッシュの知名度を上げたい』杉本梨沙選手

 2018/08/25 スカッシュ
 

勝つ姿を周りの人が喜んでいる様子がうれしかった

4面の壁で囲まれたコートで、互いにボールを打ち合っていくスカッシュ。

世界185ヵ国約2000万人の競技人口を誇っている。この数字は、2019年に日本でワールドカップが開催されるラグビーを上回る。

しかし、日本での知名度を見ると、ラグビーよりスカッシュのほうが低いと言わざるを得ない。

競技ができるコートが少なく、メディアで取り上げられることも少ないことから、日本での知名度はなかなか上がらないのが現状だ。

そんな状況の中でも、世界のトップを目指して、スカッシュに打ち込んでいる女性アスリートがいる。

現在、日本ランキング3位(2018年8月現在)の杉本梨沙選手だ。

両親がスカッシュを始めたことがきっかけで、ラケットを握ったという杉本選手。

「大人の人と混じって、ボールを追いかけてラケットを振るのが楽しかった」と、スカッシュの魅力にとりつかれた理由を話してくれた。

そんな彼女は、メキメキと頭角を現していき、中学生になると一般大会でも優勝するまでに成長した。

「一般の大会の多くは、全日本選手権などのように基準がありません。そのため年齢に関係なくエントリーすれば誰でも出場ができました。大人に混じっての試合になりますが、もともと負けず嫌いな性格でしたから、勝ちたいという気持ちは大きかったです」

スカッシュ選手として成績を残している娘を見てか、両親はある決断をする。

薬剤師、行政書士、僧侶と幅広い仕事をこなす父親が事務所を建てるために土地を購入。

そこに、事務所だけでなくスカッシュコートも併設したというのだ。

「両親が、広さもちょうどよかったので作ろうかという話をしていたのは、薄っすらと覚えています。滋賀県唯一のスカッシュコートで、今では大阪や京都などからレッスンに来る人も多くいるそうです」

そんな環境の中でスカッシュに情熱を捧げるようになった杉本選手だが、苦労も多かったという。

「競技人口が少ないため、練習相手がいなかったので、名古屋や神戸などに遠征したことも多かったです。地元の学校には、もちろんスカッシュ部もありませんでしたから、高校時代はバドミントン部に入っていました。スカッシュとバドミントンの動きは似ていて、瞬発力やボレーの技術はスカッシュにもとても役立ったと思っています」

 厳しい練習環境でも成績を残し、世界ジュニア選手権の日本代表にも選ばれるようになった。

ここまで努力を続けられた裏には、「私の試合を見て、面白かったと言ってもらえることがうれしかった」と、両親をはじめ、応援してくれる周囲の人たちの存在が大きかったという。

メンタルコーチの言葉がプレーを変える

順天堂大学に進学したときから、「全日本学生選手権は絶対に4連覇だな」と、周囲の期待は高まっていた。

しかし、このような期待は彼女にとってプレッシャーでしかなかったという。「これまでの実績をみれば周りの人がそう思ってしまうのは当然かもしれません。

でも、世界大会を経験し、勝負の世界に100%はないことがわかっていました。だから、確実に勝てるという思いはなかったんです」

結果的に、全日本学生選手権で4連覇を達成。

周囲の期待に応える活躍を見せたが、2015年にひとつの壁にぶち当たってしまう。

この年の全日本選手権の準々決勝、自分のプレーができずに敗れてしまった。

「このころから、ハードヒッターなのに速いボールを打って攻めるというプレースタイルを見失っていた感じがありました。どうして自分の長所が生かせないのだろうと、悩みがつきませんでした……」

もうこれ以上成長できないのかもしれない。

そこまで思い悩んだ彼女を救ったのは、メンタルコーチ・鈴木颯人氏のブログだった。

「私の中でモヤモヤがピークに達していたとき、アジア選手権の団体戦メンバーに選ばれてたんです。

こんな状態で試合ができるのかと思っていたとき、偶然、インターネットで鈴木さんのブログを見ました。

そこに書いてある言葉を見て、自分が焦っているだけなんだとわかったんです」

小さい頃から実績を残し、周りから期待されていた杉本選手。

そんな彼女は知らず知らずのうちに、もっと強くならなきゃと、自分を追い込んでしまっていた。

「鈴木さんのブログを見て、自分は早熟な選手でもなければ、まだまだ伸びしろはあるんだと気づけたのは大きかったですね」

これまでの迷いが消え、プレーのパフォーマンスが上がってきた杉本選手は、アジア選手権の団体戦で見事に勝利することができた。

スカッシュの知名度を上げるためにも世界のトップ選手に

数年前、マスコミでスカッシュが大きく取り上げられたことが2度あった。

1度目は、2013年。ルールなどの問題があり、レスリングがオリンピック種目から除外されるかもしれないと騒がれたときだ。

そのとき、レスリングの代わりにスカッシュが選ばれるのではないかと言われていた。

杉本選手も「可能性は0ではない」と期待を膨らませたが、スカッシュは選ばれず大きなショックを受けた。

そして2度目が2015年。2020年の東京オリンピックでの追加種目中にスカッシュが候補入り。

2次次選考でも8競技の中に残り、今回こそはという機運が高まっていた。

「あのときは、絶対に入ると思っていました。選ばれれば絶対に知名度も上がると……」

当時、杉本選手もスカッシュの代表選手としてメディアに多く露出。

そんな状況もあり手応えを感じていた。

しかし、無常にも最終5競技の中に、スカッシュの名前はなかった。

「ダメだったと聞いたときは、ショックで言葉がでませんでした」

自分のプレー以外のところでも、悔しさを経験してしまった杉本選手。

しかし彼女のスカッシュへの情熱が消えることはなかった。

「自分がもっと上達して、世界で活躍すれば、メディアにも多く取り上げてもらえるので」

スカッシュの知名度を上げるためにも、自身の成長が不可欠と気持ちを引き締めている。

杉本選手は現在、順天堂大学大学院に籍を置きながら、世界のツアーなどに積極的に参加。技術を磨きながら、世界のトップを目指している。

松野友克●文

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ライター紹介 ライター一覧

松野友克

松野友克

1976年、福島県南相馬市生まれ。
小学生のときは少年野球、中学・高校ではバレーボールに熱中していた。高校時代にスポーツ雑誌の仕事に携わりたいと上京を決意。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、複数の編集プロダクションに勤務したのちフリーランスのライター・編集者として独立した。
多ジャンルの雑誌、ムック本・書籍を制作する中でプロ野球、女子7人制など多くのスポーツ取材を行う。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

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