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50歳まで現役でプレーできる!プロ野球選手の食事メニューと量とは

 2016/12/12 栄養・食事
 

プロ野球選手、またはプロを目指している方はたくさんいると思います。プレーの技術向上のための練習は必須ですが、同様に重要なのが食事です。
今回は、長く現役でいられるための食事の量や具体的なメニューなど栄養のとり方について特集します。

プロ野球で長く現役でいるためには食事管理は必須

野球は現役が長いスポーツです。しかし、長く続けていくには、体づくりが必要です。体づくりは、練習だけでできるものではなく、食事が必要不可欠です。

子供の頃は何をどう食べても大丈夫だったかもしれませんが、(本来は子供の頃から食事に注意する必要があります)成人はもっと考えて食べなければ、長く現役を続けていくことはできません。

野球というスポーツの特徴を加味した、栄養の摂り方をご説明します。電卓とメモを用意して読み進めて下さいね。

自分の必要栄養量・必要タンパク量・必要糖質量・必要脂質量を知ろう

まずは自分の身体の状態から、何をどれくらい食べればいいのか?を知りましょう。

Aくん
僕は長く野球をしたい!!食事法を教えて!!

プロ野球選手に必要な1日のエネルギー量

自分の必要なエネルギー量をご存知ですか?必要なエネルギー量の求め方は様々な方法があります。野球というスポーツを加味した計算の仕方は、以下の通りです。

必要エネルギー量=28.5(kcal/LBM)×LBM(kg)×PAL

LBMとは脂肪以外の組織の重さのことです。つまり筋肉や骨、内臓 などの総量のことをいいます。
※体重70kg体脂肪率が10%の「Aさん」の場合、LBMは体脂肪を除いた量なので90%となり、63kgとなります。

Aくん
僕の場合は体重70キロで体脂肪10%だからLBMは63kgなんだ!!

今は体脂肪率を計れる体重計がありますので是非1度脂肪率をチェックすることをおススメします。

オムロン 体重・体組成計 カラダスキャン PC・スマホ対応 ホワイト HBF-252F-W
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PALとは日常生活の活動の強度を表したもので、1日のエネルギー消費量が基礎代謝量の何倍になるかを示した値です。『身体活動レベル』とも言います。

プロ野球選手の場合のPALはシーズン中では2.00、オフトレーニング期では1.75です。

Aくん
野球選手は運動しているからPALの数値が高いんだね!!

それでは実際にシーズン中の野球選手(体重70kg、体脂肪率10%)の必要栄養量を計算してみましょう。

1日に必要なエネルギー量
28.5(kcal/LBM)×63LBM(kg)×2.00PAL=3591kcal

Aさんに必要な1日のエネルギー量は3591kcalとなります。
是非ご自分の必要栄養量を計算してみて下さい。

プロ野球選手に必要な1日のタンパク量

2番目に、必要なタンパク量です。これは、体重1kg当り1.7~1.8gがアスリートの推奨量です。(一般人は体重当り0.7g)

筋力アップなどをしていない時期であるならば、タンパク量を増加させる必要はありません。

先ほどのAさんの場合は、70kg×1.8g=126gとなります。よって、1日の必要タンパク量は126gとなります。

プロ野球選手に必要な1日の糖質量

3番目に必要糖質量です。野球選手の場合、糖質の必要量は体重1kg当り6~7gです。

Aさんの場合では、70kg×7g=490gとなります。1日の必要糖質量は490gです。

プロ野球選手に必要な1日の脂質量

4番目に必要脂質量です。脂質量は必要エネルギー量の25~30%です。

Aさんの場合は3591kcalが必要エネルギー量のですので、その25~30%は897~1077kcalです。
脂質は1g当たり9kcalですから、脂質の量は111g~127gとなります。

体のエネルギーとなるのは、主にタンパク質、脂質、糖質の3つです。タンパク質と糖質は1gに4kcal、脂質は1gに9kcal含まれています。

Aくん
タンパク質と糖質は1gに4kcal、脂質は1gに9kcalのエネルギーがあるんだ!!

Aさんの場合を見てみましょう。

Aさんの1日に必要なエネルギー量 3591kcal

タンパク質 126g×4kcal=504kcal
糖質 490g×4kcal=1960kcal
脂質 30% 1077kcal

504+1960+1077=3541kcal

ほぼ必要エネルギー量と同じになりましたね。食べるべきタンパク質、糖質、脂質がそれぞれ「●g~●g」と幅があるので、どの数字で計算したら良いのか判らない場合は、何度もこの式に当てはめて、合計が必要エネルギー量に近い値を探しましょう。

Aくん
3つの栄養素を組み合わせて1日のカロリーを計算するんだね!!

メニュー例

エネルギー3591kcal、タンパク質126g、糖質490g、脂質30%の食事例を見てみましょう。

朝食
食パン6枚切り2枚(バター&ジャム)
目玉焼き
ホウレンソウの炒めもの
グレープフルーツジュース

食品名使用gエネルギータンパク質脂質糖質
食パン(6枚切り2枚)126g333kcal11.7g5.5g58.8g
バター5g37kcal0.0g4.1g0.0g
ジャム
21g54kcal0.1g0.0g13.3g
卵(M1個)50g75kcal6.2g5.2g0.2g
ほうれん草(半束)100g20kcal2.2g0.4g3.1g
バター(炒め用)10g74.5kcal0.1g8.1g0.0g
コーン30g29kcal1.1g0.5g5.6g
醤油(大さじ1/2)9g6kcal0.7g0g0.9g
グレープフルーツジュース200g84kcal1.3g0.2g21.6g
牛乳200g134kcal6.6g7.6g9.6g
合計847.14kcal29.9g31.51113.1g

昼食
ご飯
豚の生姜焼き
冷や奴
もやしとニラの炒め物
豚汁

食品名使用gエネルギータンパク質脂質糖質
ご飯(1合)150534kcal9.2g1.4g115.7g
豚ロース脂身なし100202kcal21.1g11.9g0.3g
キャベツ(千切り)5012kcal0.7g0.1g2.6g
トマト(半分)5010kcal0.4g0.1g2.4g
醤油1511kcal1.2g0.0g1.5g
砂糖1038kcal0.0g0.0g9.9g
生姜1.52kcal0.0g0.0g0.3g
サラダ油983kcal0.0g9.0g0.0g
木綿豆腐(1/4丁)10072kcal6.6g4.2g1.6g
青ねぎ103kcal0.2g0.0g0.7g
醤油1511cal1.2g0.0g1.5g
もやし10015kcal2.0g0.0g2.7g
ニラ306kcal0.5g0.1g1.2g
めんつゆ(濃縮)1010kcal0.5g0.0g2.0g
546kcal0.0g5.0g0.0g
だいこん305kcal0.2g0.0g1.2g
人参207kcal0.1g0.0g1.8g
里芋3017kcal0.5g0.0g3.9g
豚バラ肉1558kcal2.1g5.2g0.0g
青ねぎ52kcal0.1g0.0g0.4g
味噌1019kcal1.3g0.6g2.1g
出汁00kcal0.0g0.0g0.0g
合計1162kcal47.5g37.6g151.8g

夕食
ご飯
マグロの刺身
鶏のから揚げ
なすの味噌炒め
かぼちゃの煮物
みかん

食品名使用gエネルギータンパク質脂質糖質
ご飯150g534kcal9.2g1.4g115.7g
まぐろ(5切れ)60g75kcal15.8g0.8g0.1g
醤油10g7kcal0.8g0.0g1.0g
わさび3g8kcal0.1g0.3g1.2g
鶏もも皮なし(3個)90g104kcal16.9g3.5g0.0g
醤油(から揚げ)5g4kcal0.4g0.0g0.5g
生姜9g3kcal0.1g0.0g0.6g
5g5kcal0.05g0.0g0.3g
片栗粉10g33kcal0.0g0.0g8.2g
油(から揚げ)15g138kcal0.0g15.0g0.0g
なす100g22kcal1.1g0.1g5.1g
ピーマン50g11kcal0.5g0.1g2.6g
味噌10g19kcal1.3g0.6g2.1g
砂糖(ナスの炒め)5g19kcal0.0g0.0g5.0g
油(ナスの炒め)30g276kcal0.0g30.0g0.0g
かぼちゃ100g91kcal1.9g0.3g20.6g
醤油(かぼちゃの煮物)5g4kcal0.4g0.0g0.5g
砂糖(かぼちゃの煮物)5g19kcal0.0g0.0g5.0g
みかん(2個)100g74kcal1.2g0.2g19.2g
1443kcal49.1g52.3g190.2g
 エネルギータンパク質脂質糖質
朝食847kcal29.9g31.5g113.1g
昼食1162kcal47.6g37.6g151.8g
夕食1443kcal49.1g52.3g190.2g
合計3452kcal126.5g121.3g455.2g
目標量3591kcal126g127g490g

この量は、多いと思いますか?人それぞれですが、思ったよりご飯の量が多くて、おかずが少ないかなと感じる人が多いですね。

ご飯の量が1食1合ですから、かなりの量があります。1回に1合食べられない人は、食べられない分はおやつにおにぎりなどで摂るといいですね。

思ったより体重が増えない、筋力がつかないなどの悩みは、そもそも摂取量が足りていないことが多いのです。

日々の食事への応用

栄養士が毎日計算して食事を選んでくれればいいのですが、そうはいきません。毎回きっちり目標のエネルギーに合わせることは、栄養士でもなかなか難しいものです。日々の食事への応用方法をお教えします。

主食の量は一定にする

目標摂取エネルギーの半分は主食(ご飯・パン・めん)から摂取します。全ての食事で主食の量を一定にするのがポイントです。

今回、朝は食パン2枚、昼夕はご飯1合と判りやすいように設定しました。ご飯の量は、カレーライスでも丼物でも一定にします。

ご飯1合は米では150gですが、ご飯になると330gです。これは、吉野家の特盛りのご飯量と同じです。

主菜は1.5倍に

主菜とは、その食事のメインのおかずです。主に肉、魚、卵、豆腐で、タンパク質の多い食品になります。

これは、一般的に1人前といわれる量の1.5倍にします。今回の例では、昼食では生姜焼きは1人前の量ですが、そこに冷や奴を付けて増やしています。

また、夕食では鶏のから揚げは1人前で、刺身を付けて増やしています。2品にする必要はなく、1品を1.5倍にしても構いませんので、目安にして下さい。

野菜のおかずは2品

糖質やタンパク質を摂っても、それらを体できちんと動かすにはビタミン・ミネラルが必要です。

ビタミン・ミネラルは野菜や果物から摂ります。野菜のおかずは朝食で1品、昼夕では2品摂るようにします。

また、果物は摂れない場合は100%のフルーツジュースなどで補うのも1つの方法です。

個人に合わせて微調整

目標量は、あくまでもデータに基づいた推測でしかありません。人の体はデータ通りに動いてくれないものです。

練習量も違いますし、年齢、痩せやすい体質、太りやすい体質など色々あります。この計算方法で目標の摂取量を確認した後、体重や体調の変化で摂取量を変えていきます。

※参考 食事の写真を撮るだけでカロリーが分かるアプリ
https://www.qualia.tokyo/

まとめ

現役を長く続けていくには、何か1つを食べたらいいというわけではありません。きちんとした食生活を身に付け、自身をコントロールすることが重要なのです。

最初は難しいかもしれませんが、一度電卓を叩いて自分の栄養量を計算してみて下さい。

栄養表示を見る習慣をつけたり、食事の記録をつけたり、栄養量を計算してくれるアプリもありますので、それらを使いながら長く現役を続けていけるようにしましょう。

三沢奈緒子(管理栄養士)●文

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