アスリート必見!鉄分補給の効果でパフォーマンスUP おすすめ食材も
鉄分はミネラルの一種で、人間の体の中で重要な役割を担っている栄養素です。
鉄分は体内で合成されないので、食事から体内に取り入れる必要があります。
鉄分は肉・魚・豆・野菜など様々な食べ物に含まれています。
しかし、鉄分は吸収されにくく、さらに生理中は月経血とともに排出されるため、不足しがちな栄養素の一つです。
そこで、今回は鉄分について詳しく解説しますね。しっかり読んで健やかな身体を保ちましょう。
スポーツ選手にとっての鉄分の重要性
運動選手にとって、鉄分は非常に重要な栄養素です。なぜなら、運動に必要な酸素を体内に運ぶのは鉄分だから。
酸素は、体内でエネルギーを生み出すときや筋肉を収縮させるときに使われます。
酸素が必要なのに鉄分が少ないと酸素を供給できなくなり、持久力の低下につながります。
しかしながら、運動選手は一般の人々よりも体内の鉄分を失いやすいです。
まず汗をたくさんかくので、汗とともに鉄が流れ出てしまいます。
また、ジャンプの着地の際などに足の裏への衝撃で赤血球が壊れやすくなります。
赤血球の破壊が新しく作られる量よりも多くなると、溶血性貧血の一つである運動性溶血性貧血になります。
長距離ランナーなどは繰り返し着地しますから貧血になりやすく注意が必要です。
貧血になるととにかく疲労がはげしくエネルギー不足を感じます。
どこもケガをしていないのにいつもこなせる練習レベルについていけなくなったら、貧血を疑ってもよいでしょう。
さらに、女性アスリートは生理があるため男性より貧血になるリスクが高まります。生理不順や無月経になる選手もいます。
重い貧血になってしまうと造血剤が手放せません。
無月経・骨粗鬆症・利用可能なエネルギー不足の三つは女性アスリートの三大主徴(FAT)といわれ、警告されています。
体操・新体操などの美が審査基準となるスポーツ、陸上競技(長距離種目)・トライアスロンなど持久系スポーツに特に多いです。
このように、運動で消費する以上のエネルギーやミネラルを食事でとらないと、体に大きく負担をかけパフォーマンスが低下してしまいます。
特に鉄分は不足しやすいので積極的に食事でとっていきましょう。
鉄分の必要量
鉄分の摂取量は次のとおりです。ご自身に照らし合わせてみてください。
年齢 | 鉄分の摂取量(基準) | 上限量 |
---|---|---|
成人男性(18~64歳) | 7.0~7.5mg | 50~55mg |
成人女性(月経あり) | 10.5~11.0mg | 40~45mg |
青年期女性(月経あり) | 10.5mg | 40mg |
思春期男子(10~14歳) | 10.0~11.0mg | 35~50mg |
思春期女子(月経あり) | 13.5~14.0mg | 35~45mg |
学童期男子(6~9歳) | 6.5~8.5mg | 30~35mg |
学童期女子 | 6.5~8.0mg | 30~35mg |
幼児期男子(生後6ヶ月~5歳) | 4.0~5.5mg | 25mg |
幼児期女子 | 4.5~5.5mg | 20~25mg |
新生児(0~5ヶ月 | 0.5mg | 0.5mg |
妊婦(付加量)初期 | +2.5mg | |
妊婦(付加量)前期 | +15.0mg | |
授乳婦(付加量) | +2.5mg |
鉄分の体内での役割
①全身に酸素を運ぶ
体内の鉄分の約7割は、赤血球を構成する血色素(ヘモグロビン)の中に存在しています。
出典:慶応義塾大学病院HP
血色素は文字通り血液の赤い色となる色素で、タンパク質の一種です。血色素内で鉄分は酸素と結びつき、血流に乗って体のあらゆる部分へ酸素を運びます。
よって、鉄分の最大の役割は全身に酸素を運ぶことです。
②肺へ炭酸ガスを運ぶ
また、酸素と引き換えに炭酸ガスを受け取って、肺まで運ぶ役割も果たしています。いずれもとても重要な役目ですよね!
③筋肉に酵素を貯蓄
そのほか、ミオグロビンという色素タンパクの中にも存在し、筋肉のなかで酸素を蓄えます。「鉄分不足には赤身の肉/魚がよい」と言われるのは、鉄分を含むミオグロビンが赤身肉の色の素になっているためです。
④肝臓・脾臓・骨髄で鉄不足時に備える
残りの3割程度はフェリチンなどの形で肝臓・脾臓・骨髄で貯蔵されています。血液中の鉄分が足りなくなったときに使用されます。
鉄分はヘモグロビン形成し酸素を運搬する際に最も優先的に使われますが、神経伝達物質をつくるのを助けたり、各種酵素を活性化するときにも役立っています。
鉄分不足の症状とは
体内の鉄分が不足すると、血色素(ヘモグロビン)が体内で生成されなくなります。
体内に酸素を運ぶことができなくなり、体の隅々で酸素が足りなくなります。酸素が足りなくなるとどうなると思いますか?
脳は最もたくさん酸素を使うところの一つなのですが、脳に酸素が足りない場合、立ちくらみやめまいを起こします。集中して物事を考えることもできません。
また、筋肉で酸素が足りないとだるい、疲れやすいと感じるようになります。心臓が酸素を供給するためにたくさん動くため、息切れや動悸などの症状もでてきます。
鉄分不足がすすむと様々な症状がでます。鉄分が一定の基準を下回ると、貧血と診断されます。
貧血の種類
貧血にはいくつか種類があります。
- 鉄欠乏性貧血・・貧血のなかで最も多いです。鉄の不足によっておこる貧血。
- 溶血性貧血・・体内での赤血球の破壊(=溶血)が異常に速くなり、生成が追いつかないことで起こる貧血
- 巨赤芽貧血・・ビタミンB12や葉酸の不足によっておこる貧血
- 再生不良性貧血・・血液をつくる骨髄の機能が弱まり、赤血球・白血球・血小板が減少しておこる貧血
さらに女性は生理不順や無月経を引き起こすこともあります。無月経は毎月の月経が3カ月以上こなくなることです。
貧血セルフチェック法
貧血かな?と思ったら、鏡の前で「あっかんべ」をしてみましょう。
下まぶたの裏の部分に赤みがなく、白っぽくなっているときは要注意です。
また、爪の色が健康的なピンク色/赤みのある色のときは問題なく、白っぽい・縦に筋が入っているときや、爪にいつものようなハリがなく柔らかかったり割れやすくなったりすると貧血の疑いがあります。
セルフチェックは簡易的な方法ですので、正確な状態を知るために病院(内科)で血液検査をうけてくださいね。
かくれ貧血について
かくれ貧血は医学的な病名ではありませんが、通常の健康診断では見つけられない貧血のことを指します。
貧血と同じような症状があるのに、検査値は正常となります。
なぜかというと、通常の検査項目では、血液中の鉄分量を示すヘモグロビンの数値をみて判断しているからです。
しかし、鉄分は血液中のほかに肝臓などでも貯蔵されています。この貯蔵鉄が少ないのがかくれ貧血です。
貯蔵鉄の値はフェリチン値を見ればわかります。通常の健康診断では検査されませんが、内科で検査をすることができます。
鉄分不足とうつ・不眠
近年では鉄分不足とうつ・不眠との関係性も注目されています。
鉄分は神経伝達物質のドーパミンやセロトニンなどを作るときにも使われます。これらの物質が不足すると幸福感の薄れ、うつにつながります。
またセロトニンが不足することで睡眠ホルモンのメラトニンがつくられなくなるため、不眠になりやすくなります。
鉄分不足になると、貧血になってクラクラめまいがするイメージが強いですよね。
しかし、それだけではなくなんだかヤル気がでない、うつっぽい、パニックになりやすい、眠れないなどの症状を引き起こすこともあります。
毎日心身ともに元気に過ごすためにもしっかり鉄分をとりたいですね。
鉄分の多い食べ物
鉄分が体内のどこに蓄えられているか覚えていますか? 先述のとおり、鉄分は肝臓などに蓄えられ、大部分は血液や筋肉のなかに存在します。
これらは人間だけではなく、私たちが食べている牛・豚・鶏なども同じ。
ですので、鉄分を多く含むのは
- 牛のレバーと赤身肉
- 豚のレバーと赤身肉
- 鶏のレバーと赤身肉
- 魚の血あいの部分
いうことになります。
食材別ならドジョウ。ドジョウ鍋や柳川鍋(ドジョウとゴボウを甘辛く煮て溶き卵でとじたもの)が有名ですが、あまり食べませんよね…。
ドジョウによく姿の似ているウナギも鉄分豊富です。うなぎのかば焼きはコンビニやスーパーマーケットのお弁当コーナーにもありますので、お弁当を買うことが多い方は手にとってみてくださいね。
魚ならワカサギです。凍った湖に釣り糸を垂らして釣っている、あの魚です。旬が冬と食べごろが限られていますので、見かけたらぜひ。唐揚げにするとおいしく骨まで丸ごと食べられます。
カツオ、マグロ、イワシも鉄分たっぷりの優等生です。
アサリやシジミといった貝類にも鉄分が多く含まれています。
汁物のほか、アサリはボンゴレ・スパゲッティにも使われていますので、目先を変えたいときにおすすめします。
また、大豆も鉄分豊富で、大豆から作られている凍り豆腐やきなこからも鉄分がとれます。
- ドジョウ
- ウナギ
- ワカサギ
- カツオ
- マグロ
- イワシ
- アサリ
- シジミ
- 大豆
- 凍り豆腐
- きなこ
- 魚の血あいの部分
- 牛のレバーと赤身肉
- 牛のレバーと赤身肉
意外といろいろな食品に鉄分が含まれていますよね。
レバーだけにとらわれることなく、様々な料理を選んで飽きないように工夫しながら鉄分をとっていきましょう。
【注意!】ひじきの鉄分
海産物のなかでは、以前はひじきも鉄分の多い食材としてあげられていました。
ですが、最新の日本食品成分表では、鉄分の量が以前の9分の1になりました。
時代をへて下処理に使われる釜の素材が鉄からステンレスに変わったことが原因です。
野菜ならこれ!
鉄分を多く含む野菜はなんといっても
- ほうれん草
- 小松菜
ですね。
それらを一度にたくさん食べられ、かつ簡単に作れるのはおひたしです。が、毎日食べるとさすがに飽きますよね。
そんなときは、ゴマ和えにすると風味が変わります。実は炒りゴマの鉄分量もあなどれないんですよ。
また、ほうれん草も小松菜も茹でるより油で炒めたほうが鉄分がわずかに多く残ります。ほうれん草や小松菜は、鉄分と一緒にとりたい最重要食材の一つである豚肉と相性がいいです。
豚肉またはベーコン・ハムと一緒にサッと炒めるとおいしく食べられます。
そして、実はほうれん草や小松菜よりも鉄分の多い野菜があります。
それは、つまみ菜です。
つまみ菜とは大根やかぶなどの若い苗を間引いたものです。冬以外はほぼ通年で手に入ります。味にクセがないので食べやすいですよ。おひたしやお味噌汁でどうぞ。
つまみ菜に鉄分が多いのであれば、それが育った大根やかぶにも鉄分があるのでは?と考えたあなた、正解です。大根やかぶの葉っぱにも鉄分がたっぷり。手に入るなら葉っぱつきのものを買ってきて、葉を汁物にいれてみましょう。
また小口切りにしてしょうゆで和えて水気を絞れば、ご飯のおともになりますよ。さらに、葉っぱだけでなく、大根を干してうまみと栄養素をギューッと凝縮させた切干大根にも鉄分が多く含まれます。
意外なところでは、緑色の豆にも鉄分が多いと覚えておくといいでしょう。枝豆、空豆、グリンピースなどです。
お酒の席では野菜が少なくなりがちですが、枝豆はだいたいどこにでもありますのでお酒でおなかが膨らむ前に食べるといいですね。
果物ではプルーンが代表格ですが生のプルーンはあまり手に入りませんよね。そこで、ドライフルーツ類をおすすめします。
干しぶどう、干しいちじくのほか、干したあんず、なつめやしなど。干した果実類ではなんと梅干し(!)が一番鉄分が多いです。
最後に、こんな小さいもので…と思うかもしれないですが、飾りに入っているパセリも鉄分豊富。私も陸上競技の選手だったころに顧問の先生に「貧血予防にパセリも食え」と言われ、家族や友達の分も食べていました。
- ほうれん草
- 小松菜
- つまみ菜
- 枝豆
- 空豆
- グリンピース
- ドライフルーツ
- パセリ
ドライフルーツにしろパセリにしろ一度にたくさん食べることはないでしょうが、体内に鉄分を少しずつ積み重ねるつもりで食べて頂ければと思います。
鉄分の多い飲み物
食事はやはり楽しみたいもの。鉄分摂取に走るばかり毎日レバーにほうれん草につまみ菜では閉口してしまいますね…。そこで、鉄分を多くとりやすい飲み物として、グリーンスムージーを覚えておきましょう。
グリーンスムージー
グリーンスムージーとは、緑色の葉野菜に果物と水を加えてミキサーにかけ、ジュースにしたものです。
鉄分の多い野菜のところで紹介したほうれん草や小松菜などをベースに果物などで味を調整します。東南アジアのホテルで青梗菜とパイナップルのグリーンスムージーを飲みましたが、おいしかったですよ。
なお、パセリも果物と一緒にジュースにするとすっきりおいしく飲めてしまいます! たくさんのレシピが紹介されていますから、ぜひいろいろ作って飲んでみましょう。
エビデンスなし!鉄分が多そうな飲み物
健康ブームにのって、私たちの周りには「○○に効く」というふれこみの飲食物がたくさん出回っています。
アサイージュース、マテ茶、ココア、とうもろこし茶、アーモンドミルクなどが鉄分を豊富に含む飲み物として販売されていますが、ココア以外は日本の食品成分表には記載がなく鉄分含有量の確認がとれませんでした。
ちなみに、ココアはし好飲料類の中では鉄分を多く含むのすが、ココアの主原料であるカカオには鉄の吸収を阻害するカフェインも含まれています。
実際にどの程度の鉄分が体内に吸収されているのかという点では疑問が残ります。
一緒に食べるといい・鉄の吸収を良くする食べ物
ヘム鉄
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の二種類あります。おおまかに、肉や魚など動物性の食品に含まれているのがヘム鉄です。
100g当たり | 含有量(mg) |
---|---|
豚レバー | 13.0 |
鶏レバー | 9.0 |
牛レバー | 4.0 |
豚もも | 0.7 |
豚ヒレ | 1.0 |
鶏胸 | 0.3 |
鶏もも | 0.4 |
牛もも | 1.0 |
牛ヒレ | 2.5 |
かき(殻なし) | 1.9 |
きはだまぐろ | 2.0 |
かつお | 1.9 |
いわし | 1.8 |
いわし(丸干し) | 4.5 |
あじ干物 | 0.8 |
さば | 1.1 |
ししゃも | 1.6 |
しらす干し | 0.6 |
あさり(むき身水煮) | 3.8 |
しじみ(殻なし) | 5.3 |
非ヘム鉄
野菜や豆など植物性食品に含まれているのが非ヘム鉄と覚えておくといいでしょう。
100g当たり | 含有量(mg) |
---|---|
鶏卵 | 6.0 |
豆乳 | 1.2 |
納豆 | 3.2 |
生揚げ | 2.6 |
大豆水煮 | 1.8 |
枝豆 | 2.5 |
そら豆 | 2.3 |
ごま | 9.6 |
切り干し大根 | 9.7 |
干しひじき | 55.0 |
あおのり(素干し) | 74.8 |
小松菜 | 2.8 |
ほうれん草 | 2.0 |
スイートコーン | 0.8 |
干しそば | 2.6 |
ポップコーン | 4.3 |
ヘム鉄は非ヘム鉄にくらべると吸収されやすいです。体に吸収されにくい非ヘム鉄もタンパク質やビタミン類Cと一緒にとると、吸収されやすくなります。
ビタミンB12や葉酸は血(赤血球)をつくるときに必要です。これらの栄養素を含む食品を上手に組み合わせて、効率よく鉄分を体にとりいれ、貧血を予防していきましょう。
タンパク質を多く含む食べ物
肉や魚、卵など動物性の食品の約20%がタンパク質です。豆・豆製品・乳製品にもタンパク質が含まれています。
食品 | 含有量 |
---|---|
牛肉 もも | 19.2g |
豚肉 もも | 20.5g |
鶏肉 もも | 16.6g |
鶏肉 ささみ | 23.0g |
うなぎ(かば焼き) | 23.0g |
かつお | 25.0g |
サケ | 22.5g |
サバ | 20.6g |
サンマ | 18.1g |
きはだまぐろ | 24.3g |
牛乳 | 3.3g |
卵 | 12.3g |
大豆(茹で) | 14.8g |
木綿豆腐 | 6.6g |
高野豆腐(水煮) | 10.7g |
納豆 | 16.5g |
豆乳 | 3.6g |
精白米 | 2.5g |
うどん(茹で) | 2.6g |
食パン | 9.0g |
ビタミンCを多く含む食べ物
「すっぱい!」と感じる果物にはビタミンCが多いです。特にイチゴ、ミカンやオレンジなどの柑橘類に豊富。野菜ではブロッコリー・カリフラワーやパプリカにビタミンCが多く含まれます。あまりイメージにないかもしれませんが、ジャガイモ・サツマイモにも含まれていますよ。
食品名 | 1食あたりの量 | ビタミンCの含有量 |
---|---|---|
ピーマン | 1個 46g | 35.0mg |
ブロッコリー | 30g | 36.0mg |
キウイ | 1個 80g | 55.2mg |
柿 | 半分 75g | 52.5mg |
ビタミンB12を多く含む食べ物
海産物に多く含まれます。とくにシジミ・アサリ・ハマグリ・牡蠣などの貝類はビタミンB12がたっぷりです。魚ではサケがキングオブビタミンB12。イワシ、アユ、ウナギも豊富。海苔にも含まれていますので日々の食卓に添えたいですね。
葉酸を多く含む食べ物
葉酸はビタミンB群の一種です。葉っぱの酸と書くだけあって、ほうれん草、春菊、モロヘイヤなどの葉もの野菜に含まれています。海の葉っぱである海藻も豊富に含んでいます。ワカメ、海苔などがいいですよ。
あまり料理には使いませんが、青汁の材料になっているケールという野菜には葉酸がたくさん含まれます。青汁を飲むのもいいでしょう。
鉄といったらとにかくレバー
鉄分とるならレバー!とイチオシするにはわけがあります。
豚・牛・鶏のレバーには、鉄分だけでなく、赤血球をつくるビタミンB12も葉酸も豊富だからです。
一つの食材に濃い血液のために必要な栄養素がたくさん詰まっています。
しかし、よいとわかっていても苦手な人も多いですよね。
おいしく食べるには、弾力のある新鮮なレバーを求め、面倒でも血抜きをしましょう。
生姜で臭みも消えるしぐれ煮、レバニラ炒めなどの定番のほか、外食では串焼きや焼き肉で、洋食でミンチやペースト状にしてパスタやサンドイッチの具などに。
いろいろバリエーションをもたせて召し上がってくださいね。
ビタミン12や葉酸はあまりなじみがない方も多いのではないでしょうか。
ですが、これらを多く含む食品は不思議と鉄分を多く含む食品と重なります。自然はよくできているなと思うばかりです。
貧血予防のための食べ合わせはコレ!
貧血予防の食べ合わせという意味では、豚肉とほうれん草か小松菜の組み合わせは最高コンビの一つです。
鉄分の吸収を豚肉の動物性たんぱく質が助け、造血を豚肉のビタミンB12、葉物野菜に多い葉酸が助けます。
炒め物のほか、冬にとくにおススメしたいのが豚肉とほうれん草のしゃぶしゃぶ。
ポン酢で食べるか、食後にミカンを添えればビタミンCも一緒にとれてさらにいいですよ。
【注意】鉄の吸収を悪くする食べ物・飲み物
鉄分の吸収を助ける食べ物もあれば、吸収を妨げる食べ物/飲み物もあります。
以下は、鉄分の吸収を妨げる食品の例です。
タンニンを多く含む食べ物・飲み物
タンニンはブドウや柿、お茶の渋みのもとになっている栄養素です。
抗酸化作用など体にとってプラスの働きもたくさんあるのですが、残念ながら鉄分の吸収を悪くしてしまいます。
タンニンを多く含むのは、ブドウ・柿のほか、ワイン、緑茶、紅茶、コーヒーです。
カフェインを多く含む飲み物
カフェインも鉄分の吸収を阻害すると言われています。
コーヒーはカフェインを含む飲み物として有名ですよね。緑茶(とくに玉露)、紅茶にも含まれています。
また栄養ドリンクにも入っていることが多いので、商品の成分表示を見て確認してくださいね。
食品ではカカオに含まれているため、カカオやチョコレート、ココアは要注意です。
シュウ酸を多く含む食べ物
シュウ酸は自然界では植物内によく存在する物質です。
食品ではほうれん草をはじめ葉物の野菜、キャベツ、レタス、サトイモ、タケノコなどに含まれています。
飲み物だとお茶(玉露、抹茶はとくに)、コーヒー、紅茶などに含まれています。
お茶、紅茶、コーヒーは鉄分の吸収を悪くするタンニン、カフェイン、シュウ酸のすべてを含んでいますね。
鉄分を積極的にとりたい方は、これらは食事の前後30分程度は控えましょう。
私も陸上競技の選手だったころはお茶類を完全に断って、水か牛乳を飲んでいました。
【参考】妊娠中の場合の鉄分の摂りかた
妊娠中や授乳期は胎児・乳児にも栄養をわけるためいつも以上に鉄分が必要になります。また妊娠後期になれば出産に備えて体内の血液量が増えていきます。しかし、鉄分量までは増えず、相対的に貧血になりがちです。
妊娠初期および授乳期はいつもより2.5g、妊娠中~後期は10.5gの鉄分を加えることが推奨されています。
すごいですね。妊娠後期はいつもの二倍くらいの鉄分量です。
貧血がひどい場合は医師から鉄剤/造血剤などが処方されますが、なるべくそうなる前に鉄分を多く含む食品を意識して献立にとりいれていきましょう。
1日に必要な鉄分の摂取量を守ろう
一日に必要な鉄分の摂取量は性別・年齢・生理の有無によって異なります。
年齢 | 鉄分の摂取量(基準) | 上限量 |
---|---|---|
成人男性(18~64歳) | 7.0~7.5mg | 50~55mg |
成人女性(月経あり) | 10.5~11.0mg | 40~45mg |
青年期女性(月経あり) | 10.5mg | 40mg |
思春期男子(10~14歳) | 10.0~11.0mg | 35~50mg |
思春期女子(月経あり) | 13.5~14.0mg | 35~45mg |
学童期男子(6~9歳) | 6.5~8.5mg | 30~35mg |
学童期女子 | 6.5~8.0mg | 30~35mg |
幼児期男子(生後6ヶ月~5歳) | 4.0~5.5mg | 25mg |
幼児期女子 | 4.5~5.5mg | 20~25mg |
新生児(0~5ヶ月 | 0.5mg | 0.5mg |
妊婦(付加量)初期 | +2.5mg | |
妊婦(付加量)前期 | +15.0mg | |
授乳婦(付加量) | +2.5mg |
通常の食事で鉄分をとりすぎることはほとんどないですが、サプリメントや造血剤などで鉄分を摂取している人は過剰にならないように気をつけましょう。
また遺伝子疾患により鉄分が過剰になる場合もあります。
鉄分の摂りすぎだと起こること
鉄分をとりすぎた場合、鉄沈着や肝機能障害を招く危険があります。
なお、造血剤やサプリメントなどで鉄分をたくさんとると、便が黒くなります。こちらは病気ではありませんのでご安心くださいね。
まとめ
●全身に酸素を運ぶ役割などをもつ鉄分は、体にとって重要なミネラルです。
●鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血になり、酸素が体内に行き渡らないため、疲れやすい、めまい、息切れなどの症状がでてきます。
●生理のある女性、スポーツ選手や妊婦はことさら鉄分が必要です。
●鉄分の多い食品をとって、十分に鉄を補いましょう。
岡本みどり●文責(管理栄養士)
スポーツの杜編集部●編集
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