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ロコモティブシンドロームとは!症状をチェックして運動で予防をしよう

 2018/04/29 健康
 

高齢化社会をむかえた日本。
昔とちがいお年寄りも元気に活動するのが当たり前の時代になりました。

ですが歩いたり、立ち上がったりすることが出来なくなる人も出てきています。
それは、もしかするとロコモティブシンドロームかもしれません。

高齢者に多く見られ、最近話題となっているロコモティブシンドロームの原因と予防方法ついて解説していきます。

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)とは、運動器※に障害が起こり、歩いたり、立ち上がったりする能力に支障がある事をいいます。

2007年に日本整形外科学会が、今後、懸念されている高齢化社会への問題を見据えてこのロコモを提唱しました。

※運動器とは?

人間の身体を維持するために様々な機能が活動しているのを知ってますか?

代表的なものが

  • 呼吸器
  • 循環器
  • 消化器
  • 運動器

の4つです。

運動器とは

①呼吸器
●主に気管や肺のことです。

●体の外から酸素を取り入れて、体内から二酸化炭素を出す役割をしています。

②循環器
●主に心臓や血管のことです。

●血液によって酸素や栄養、老廃物を身体の各部位に運ぶ役割をしています。

③消化器
●主に胃や腸のことです

●食べ物を消化、吸収する役割をしています。

④運動器
●主に骨、関節、筋肉、腱、靭帯、神経です。

●身体を動かす役割をしています。

●歩いたり、立ったりする時に欠かせない部分になります。

ロコモティブシンドロームの症状

ロコモティブシンドロームになると歩いたり、立ったりといった移動することに支障をきたします。

  • 長い距離を歩くことが困難
  • 椅子から立ち上がる事が困難
  • バランスが悪くなり転倒しやすくなる
  • 日常生活に介護が必要になる
  • 寝たきりになるリスクが高まる
  • 動く事が苦になる
  • 認知症のリスクが高まる

などといった事が起きてしまいます。

ロコモティブシンドロームの原因・3大疾患

次の疾患を患うと、ロコモティブシンドロームになる可能性が高いとされています。

  • 骨粗鬆症
  • 変形性膝関節症
  • 脊柱管狭窄症

一つずつ見ていきましょう。

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症のメカニズム

●健康な骨は、常に新陳代謝が起こっています。

●骨を壊す働き(骨吸収)と骨を作る働き(骨形成)が常に行われています。

●この繰り返しにより新しい骨へ生まれ変わっています。

●これを骨のリモデリング(骨改変)といいます。

●骨粗鬆症とはこの骨吸収と骨再生のバランスが崩れてしまい、骨の密度が低下してしまう病態です。

骨粗鬆症になると、ちょっとした転倒や外力によって骨折をしやすくなります。

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症の原因は次の通りです。

  • 加齢によるホルモンバランスの変化
  • 栄養バランスの乱れ
  • 運動不足
  • ステロイドなどの副作用

特に女性の場合は閉経後に女性ホルモンの分泌が低下する事によって骨粗鬆症になりやすくなります。

変形性膝関節症

膝の軟骨がすり減ってしまい、膝の骨の変形してしまう病態をいいます。

原因は『加齢』や『膝への繰り返される負担』です。

変形性膝関節症の症状

①初期

歩き始め・階段の昇り降り・長時間歩いた後に、痛みが生じます。

②進行すると

関節が腫れたり、曲げ伸ばしが困難になり生活に支障をきたします。

脊柱管狭窄症

背骨の後方にある脊柱管という神経の通り道が狭くなってしまう病態です。

症状としては長時間歩くとお尻から足に痛みや痺れが生じ、休むと軽快するという関係性跛行がみられます。前かがみになると脊柱管が広がるため症状が楽になります。

ロコモティブシンドロームの診断チェック

ロコチェック

1つでも当てはまればロコモティブシンドロームである可能性が高いといわれます。

  • 片脚立ちで靴下が履けない
  • 家の中でつまづいたり滑ったりする
  • 階段を登るのに手すりが必要である
  • 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない

(日本整形外科学会公認ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトより)

立ち上がりテスト

出典:https://locomo-joa.jp/check/test/two-step.html

このテストでは足の筋力を測定します。

片足、または両足で決まった高さから立ち上がれるかどうかで程度を判断します。

方法

40cmの台に両手を組んで座ります。

左右どちらかの脚を上げた状態で、姿勢を足を肩幅に広げ、反動をつけずに立ち上がります。そのまま3秒間姿勢を保ちます。

①ができなかった場合、今度は20cmの台で両脚を床につけた状態で立ち上がりをします。

結果判定

ができた場合→ロコモティブシンドロームではない

ができた場合→ロコモ度1 (移動機能の低下が始まっています)

ができない場合→ロコモ度2 (移動機能の低下が進行しています)

2ステップテスト

出典:https://locomo-joa.jp/check/test/two-step.html

このテストでは歩幅を測定します。

また足の筋力・バランス能力・柔軟性などの歩行能力を総合的に評価します。

方法

スタートラインを引き、両足のつま先を揃えます。

できる限り大股で2歩歩き、両足を揃えます。(バランスを崩した場合は失敗となります)

2歩分の歩幅を測定します。

2回行って良かった方の記録を採用します。

次の計算式で2ステップ値を算出します。

※2ステップ値とは

2歩幅(cm) 身長(cm)=2ステップ値

結果判定

2ステップ値が1.4以上→ロコモティブシンドロームにではない

2ステップ値が1.3未満→ロコモ度1 (移動機能の低下が始まっています)

2ステップ値が1.1未満→ロコモ度2 (移動機能の低下が進行しています)

ロコモ25

普段の生活で困難なことや痛みについての25項目の質問に答えていくテストです。

質問

  • 頚・肩・腕・手のどこかに痛み(しびれも含む)はありますか?
  • 背中・腰・お尻のどこかに痛みはありますか?
  • 下肢(足のつけ根・太もも・膝・ふくらはぎ・すね・足首・足)のどこかに痛み(しびれも含む)はありますか?
  • ふだんの生活でからだを動かすのは、どの程度つらいと感じますか?
  • ベッドや寝床から起きたり横になったりするのは、どの程度困難ですか?
  • 腰掛から立ち上がるのはどの程度困難ですか?
  • 家の中を歩くのは、どの程度困難ですか?
  • シャツを着たり脱いだりするのは、どの程度困難ですか?
  • ズボンやパンツを着たり脱いだりするのは、どの程度困難ですか?
  • トイレで用足しをするのは、どの程度困難ですか?
  • お風呂で身体を洗うのは、どの程度困難ですか?
  • 階段の昇り降りは、どの程度困難ですか?
  • 急ぎ足で歩くのは、どの程度困難ですか?
  • 外に出かけるとき、身だしなみを整えるのは、どの程度困難ですか?
  • 休まずにどれくらい歩き続けることができますか?
  • 隣・近所に外出するのは、どの程度困難ですか?
  • 2Kg程度の買い物をして持ち帰ることは、どの程度困難ですか?
  • 電車やバスを利用して外出するのは、どの程度困難ですか?
  • 家の軽い仕事(食事の準備や後始末・簡単なあとかたづけ)は、どの程度困難ですか?
  • ふとんの上げ下ろし、掃除機の使用などの家のやや重い仕事は、どの程度困難ですか?
  • スポーツや踊り(ジョギング、水泳、ゲートボール、ダンスなど)は、どの程度困難ですか?
  • 親しい人や友人とのおつき合いを控えてますか?
  • 地域での活動やイベント、行事への参加を控えてますか?
  • 家の中で転ぶのでがないかと不安ですか?
  • 先行き歩けなくなるのではないかと不安ですか?

ロコモ25の点数が7点以上→ロコモ度1 (移動機能の始まっています。)

ロコモ25の点数が16点以上→ロコモ度2 (移動機能の低下が進行しています)

印刷はこちらからどうぞ

若い人も要注意!

骨や筋肉の量のピークは20〜30代といわれています。

適度な運動や生活習慣で、骨や筋肉に刺激を与える事で強く丈夫に維持されます。

しかし運動不足が続き、骨や筋肉に刺激がないと徐々に弱ってしまい将来ロコモティブシンドロームになってしまうリスクが高まります。

ロコモティブシンドロームの予防

ロコモティブシンドロームの原因として運動不足が挙げられます。そのため普段の生活から運動をする習慣をつけることが重要です。

簡単にできる事として

  • 通勤時に余計に歩くようにする
  • エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使用する
  • 体操をする
  • ストレッチをする
  • ジムや運動施設を利用する

など日常生活の中に運動をする要素を取り入れると良いでしょう。

ロコモティブシンドローム予防のための運動

ロコトレと呼ばれている予防のトレーニングを紹介してきます。
簡単に出来る運動ですのでやってみましょう。

スクワット

※ポイント
肩幅より少し足を広げて立ち、つま先は30°程度外に向きます。

膝がつま先から出ないように、また膝がつま先と同じ方向に向くようにしてお尻を後ろに引きながら膝を曲げていきます。

※動作の最中は息を止めないようにします。

片足立ち

転倒しないように何かにつかまりながら行いましょう。

なるべく姿勢を真っ直ぐにして、支えている脚の真上に頭が来るようにします。

バランスの取れた食事で予防しよう

ロコモティブシンドロームの予防のためには糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取する事が大切です。

糖質と脂質はエネルギーを生み出す物で、これらが不足していると体を動かすことが出来ません。

タンパク質は筋肉など体を作る元になるため、不足すると運動器をはじめとする体全体が衰えやすくなります。

ビタミンやミネラルは栄養素の消化や吸収、代謝を助けるためする働きがあります。

ロコモティブシンドロームを予防して健康に生活するためにはこれらの5大栄養素をバランスよく摂取する事が重要となります。

まとめ

●ロコモティブシンドロームとは運動器の障害により移動能力に支障をきたした状態である

●ロコモ度は立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25によって判断可能

●予防のためには日々の運動が重要である

桜井佑葵(理学療法士)●文

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スポーツの杜編集部

スポーツの杜編集部

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