無月経・骨粗鬆症を防げ!女子アスリートの栄養の摂り方
女子スポーツは大変盛んとなりました。オリンピックや女子サッカー・女子プロ野球などで活躍するアスリートは増加しています。
しかし男性アスリートとは違う女性特有のトラブルも大変多いです。
今回は女子アスリートの抱える問題点と、解決策を探っていきます。
Contents
女子アスリートの身体は繊細
スポーツで活躍する女性は、独身のみならず、結婚しても、母親になっても競技を続ける人も出てきましたね。自分の意思で長く現役を続けられることは、とても良い事ですね。
長くスポーツ選手であり続けるためには、女性は男性よりも栄養に気を付けなければいけません。なぜならば、女性は体を酷使し続けると、さまざまな体の不調が現れるからです。女性の体と心はそれだけ繊細なのです。
スポーツで活躍しつつ体を守るためには、しっかり食べるという基本がとても大事です。女性スポーツ選手によくある栄養障害と食事について説明します。
女子スポーツ選手に特徴的な栄養障害
男性にはない女性ならではの栄養障害があります。選手本人はもちろんのこと、コーチや監督も女性を指導するならば覚えておきたい栄養障害です。
運動性無月経
痩せた状態で激しいトレーニングを続けると、視床下部にある脳下垂体の機能を抑制し、ホルモンバランスが崩れます。そして、月経が止まってしまうということが起こるのです。これを、「運動性無月経」といいます。BMI(身長と体重から算出する肥満の値)は18~19まで低下すると起こるといわれています。
無月経期間が長いと、月経が再開されるまでに時間がかかります。さらに、妊娠出産がしずらくなるなどの問題も起きていきます。スポーツで良い結果を出すのも重要ですが、自分の人生プランをよく考える必要があります。なにより、痩せないようにしっかり食べることが最も重要です。
神経性食欲不振症
美しさを競うスポーツでも起こりますが、長距離選手などでも起こります。さらに、完璧主義や、周りからのプレッシャーで、食べられなくなり、発症する病気です。無月経を友梨、体型へのゆがんだ認識や、食行動の異常(殆ど食べない、かくれて食べるなど)が見られます。
神経性食欲不振症が重症化すると、スポーツを続けていくことが出来なくなるばかりではなく、命の危険すらあります。神経性食欲不振症の傾向がみられた場合には、早めに専門医に受診させるなどの働きかけが大事です。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨が脆くなって折れやすくなる病気です。運動をしていると、骨は丈夫になると思っている人が多いです。確かに、適度な運動は骨粗鬆症のリスクを下げます。しかし、激しい運動をしている女性スポーツ選手は骨粗鬆症になりやすいのです。
骨粗鬆症には、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが関わっています。エストロゲンは閉経後に分泌が低下するので、骨粗鬆症は閉経後の女性に多いのです。激しいトレーニングで生理が止まった女性スポーツ選手は、閉経後の女性と同じような状態となります。したがってエストロゲンの分泌も減り、骨粗鬆症になりやすいのです。
体脂肪を維持する事が重要
女性スポーツ選手の場合、体重の維持も大事ですが、体脂肪を維持することも大事です。なぜならば、体脂肪率が20%を下回ると、月経が止まることが多くなってくるからです。月経が止まれば、エストロゲンが減り、骨粗鬆症になり、骨折しやすくなり、そうなるとスポーツをすることすら出来なくなります。
一般女性で25~30%の体脂肪率なので、20~23%程度の体脂肪率におさめておくのが良いですね。しかし、スポーツ選手にとって体脂肪20%は重すぎると言われることがほとんどです。体脂肪20%を切ったから直ぐにダメだと思わずに、自分のパフォーマンスと、体調の一番良いバランスを探っていくことが大事です。
体脂肪を下げる時にも、使ったエネルギーの分だけ糖質を摂り、筋肉を減らさないようにタンパク質を摂り、油も摂らないと吸収されない栄養素もあるので油も摂らなければなりません。
食品名 | 一食の量 | 糖質の量 |
---|---|---|
白米 | 茶碗一杯(150g) | 55.1g |
玄米 | 茶碗一杯(150g) | 53.9g |
食パン | 6枚切り1枚(60g) | 26.6g |
うどん | めん(250g) | 58.5g |
そば | めん(170g) | 47.3g |
じゃがいも | (約1個)110g | 16.1g |
サツマイモ | (約1個)200g | 52.5.g |
バナナ | 1本(220g) | 28.2g |
ただ単純に「食べない(食べても野菜だけなど)」という選択は絶対にいけません。選手本人は、「勝つためならば!」と食べないことを選択してしまうかもしれません。親や監督やコーチが栄養の必要性をしっかり理解し、選手に指導する必要があります。方法が判らない時などは、栄養士のアドバイスを受けるようにして下さい。
甘い物を止めて食事を摂る
審美スポーツ(新体操など)はギリギリの体重管理を行う事がありますが、その他のスポーツの場合は「もう少し体重が軽ければ、もっとスムーズに動けるのに」と思う程度なこもと多いです。
激しい練習をしているスポーツ選手は、食べても太ることはあまりなく、食べる事を期にしたことがない人も多いですね。さらに、女性であれば甘い物が大好きな人も多いでしょう。周りの女性がダイエットと言って我慢している姿を見ても、あまり気にしないで食べているかもしれません。
女性スポーツ選手が減量する時には、甘い物を制限することが最も適しています。甘い物を止め、しっかりバランスの整った食事を摂ることだけで、体重が下がったというデータもあります。食事をしっかり食べることで、タンパク質(肉、魚、卵、豆腐、乳製品)も摂るようになり、体重が落ちるだけでなく、筋力もつきます。
激しい練習をしていても、それを上回るエネルギーが菓子やジュースには含まれており、簡単に摂れてしまうことを覚えておきましょう。
オシャレに盛り付ける
どんなに美しい女性でも、スポーツをしている時はなりふりかまわない姿ですね。その姿はさらにとても美しく、見ている人に感動を与えます。しかし普段の姿は、女性としての全く違った姿かもしれません。最も普段の姿と言える「食事」も、スポーツをしている時のようにガツガツ食べてるとは限りません。
女性が食事に求めることは、味もさることながら、盛り付け、味、目新しさなど+αを求めます。練習に疲れて帰ってきた時に、綺麗に盛り付けられた食事があったら、たとえ食事制限中でも美味しく食べられますね。
しっかり食べたい白米も、どんぶりにドン!と盛られるよりは、おにぎりにして中身の具を変えたら食べられそうです。おにぎり専門店のように籠に盛り付けたりもオシャレですね。ラップに包んでおくなら、ラップに書けるペンなどでメッセージがあったら嬉しいです。
男性からすれば、「そんなこと…」かもしれませんが、女性にとっては、厳しい練習やプレッシャーなどで折れそうな心を保つ大事な要素なのです。考えて食べることは、練習と同じように競技に必要な重要なことです。女性スポーツ選手ならではの、優しい食事サポートが必要です。
まとめ
女性スポーツ選手は、運動性無月経、神経性食欲不振症、骨粗鬆症などの栄養障害がみられることがあります。体重だけではなく体脂肪にも気を付けながら食事管理をする必要があります。
体重を落とす時には「食べない」という痩せ方は危険ですので、してはいけません。女性ならではの食行動として、甘い物を多く食べることが多くあり、これらを制限して、バランスの良い食事をしっかり摂ることが重要です。さらに、盛り付けなども工夫し、繊細な女性の心を支える食事サポートをしましょう。
三沢奈緒子(管理栄養士)●文
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