4つの習慣で速くなる!マラソンに必要な筋肉を最大限にする食事法
ランナーの皆さんの目標はやっぱり、フルマラソンの完走ですよね。練習は走るだけではなく筋肉トレーニングも行いましょう。
しっかりした筋肉があってこそ42.195キロを走破できるというものです。今回は筋力アップに必要な栄養について特集していきます。
Contents
マラソンに筋トレは必須!でも栄養はどう摂る?
市民ランナーに、筋力アップする必要はあるのか!?という根本的な問題ですが、もちろん筋力アップは必要です。特に怪我が多い人には必要です。
そもそも、マラソンを初めて走る人は、マラソンを走り切る筋力を付けることから始まります。
筋力アップにはトレーニングも大事ですが、食事を考えて摂らないと効果的に筋肉はつきません。社会人はお金もあるので、良さそうな高級なサプリメントを買って飲んでいる人もいるかもしれません。
サプリメントばかりに頼ったりしていると、摂り過ぎの弊害もあります。筋力トレーニングに合わせて、食事のトレーニングもしていきましょう。
筋力アップにはタンパク質を摂ろう
マラソンを走り切る筋力は、運動はもちろんですが、筋肉の材料となるタンパク質が必要です。タンパク質は多くの食品に含まれていますが、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれています。
日々の生活でも、筋肉は壊され(分解)、作り直されています(合成)。
運動をすると、その分解と合成はより活発に起こります。その時、分解して得られた材料で全て合成できればいいのですが、残念ながら材料不足になってしまいます。その為に、新たにタンパク質を摂る必要があるのです。
1日で摂るたんぱく質量は、マラソン愛好家なら体重あたり1.2~1.4g程度です。
体重60kgの人ならば、72g~84g程度です。このタンパク質量を普段摂る食材で考え、1日3食に振り分けると…
朝食:食パン4枚切り1枚(タンパク質9.3g)
卵2個(タンパク質12.3g)
昼食:コンビニ鮭おにぎり2個(タンパク質9.2g)
鶏のから揚げ5個(タンパク質21.1g)
運動後:牛乳1杯200ml(タンパク質6.6g)
夕食:ご飯1杯200g(タンパク質5.0g)
マグロの刺身5切れ(タンパク質15.8g)
この組み合わせでタンパク質量は79.3gとなります。他に野菜を食べますから、それに含まれるタンパク質も多少ありますので、タンパク質量は十分です。
現代の日本人は、タンパク質の摂取量は比較的多いです。筋肉になるタンパク質量が足りていないということはあまりありません。
反対に、タンパク質は摂り過ぎると脂肪分も多く摂ることになったり、腎臓に負担がかかります。サプリメントでプロテインなどを使用する場合は、摂り過ぎに注意が必要です。
食品名 | 1食あたりの量 | タンパク質の含有量 |
---|---|---|
卵 | 1個50g | 6.2g |
牛肉(もも赤身) | 100g | 21.9g |
鶏胸肉(皮なし) | 100g | 22.3g |
豚ロース(赤身) | 100g | 22.7g |
鮭 | 1切80g | 17.8g |
木綿豆腐 | 100g | 6.6g |
牛乳 | 1杯200ml | 6.6g |
タンパク質とプロテインとアミノ酸と筋肉の違い
ここで少々科学的な話になりますが、現在はさまざまなスポーツサプリメントが売られているので、間違えないように賢く摂るために必要な知識です。
体で使われているアミノ酸は20種類あり、アミノ酸が長く連なったものを総称してタンパク質と呼びます。
タンパク質は、アミノ酸の並び方によって、筋肉になったり皮膚になったり臓器になったりします。プロテインはタンパク質の英語読みです。
簡単に言えば、「タンパク質=プロテイン=アミノ酸=筋肉」という事です。つまり、プロテインとアミノ酸のサプリメントを一緒に摂るということは、同じものを摂っているようなものですね。
現代人はタンパク質の不足はほぼありませんし、筋力トレをして必要量がやや増えたとしても十分足りています。サプリメントで摂る必要はほぼありません。
ただしサプリメントは、食事より消化吸収されやすいなどのメリットはあります。
体重60kgの人で、示したタンパク質量を摂ってない人は、一部のタンパク質をサプリメントで摂るのも良いかもしれません。
筋肉が作られるのは運動後と睡眠前
筋肉が作られるゴールデンタイムというものが存在します。それが「睡眠前」と「運動後1時間」です。それは、成長ホルモンが多く分泌されているからです。
「寝る子は育つ」とよく昔から言うように、成長ホルモンは夜に分泌され、筋肉が作られます。なので、寝る前に筋肉の材料であるタンパク質をしっかり摂る必要があるのです。
そして、運動後にも成長ホルモンが増えます。筋肉の分解と合成が盛んに行われますので、ここでもタンパク質が必要になるのです。
BCAAを摂ろう
先ほどお話しした通り、アミノ酸は20種類あります。その内9種類が体の中では作られないので、食べて摂るしかないアミノ酸で、「必須アミノ酸」といいます。
必須アミノ酸9種類の内、3種類「ロイシン」「イソロイシン」「バリン」の3つが、BCAAと呼ばれるものです。
必須アミノ酸 | 効果 |
---|---|
バリン | 筋肉をつくる・疲労を抑える |
ロイシン | 筋肉をつくる・疲労を抑える |
イソロイシン | 筋肉をつくる・疲労を抑える |
トリプトファン | 精神を安定させる |
リシン | 生体の成長や修復に関与 |
メチオニン | うつ症状を改善する |
フェニルアラニン | 不安感や緊張感を軽減 |
トレオニン | 肝機能を高める・成長を促す |
ヒスチジン | 成長を促進・脳神経を保護 |
このBCAAは、筋肉を合成するスタート時に使われます。なので、筋力アップを目指す時には、このBCAAを摂り、確実に筋力の合成を開始させます。
BCAAの多い食べ物は、牛乳、マグロ、ナッツ類です。アルギニンはさまざまな食べ物に含まれており、バランスの良い食事をしていれば、不足することはまずありません。
●ロイシン 39mg × 体重〇kg
●イソロイシン 20mg × 体重〇kg
●バリン 26mg × 体重〇kg
体重60kg成人の場合ですと、ロイシン2340mg、イソロイシン1200mg、バリン1560mgが、身体を維持するために少なくとも維持する量です。
筋力アップを目指す場合はもう少し多く摂る事になります。
筋トレなどの運動後に牛乳1杯(200ml)を飲む事はとてもおススメです。
タンパク質とBCAAを一緒に摂れ、運動後1時間の間に摂りやすい食品こそが「牛乳」なのです。
食品名 | BCAA | バリン | ロイシン | イソロイシン |
---|---|---|---|---|
まぐろ赤身生 刺身約8切れ | 4800mg | 1400 | 2100 | 1300 |
かつお | 4300 | 1300 | 1100 | 1900 |
あじ 中1 匹 | 3760 | 1100 | 960 | 1700 |
サンマ生 中1 匹 | 3650 | 1100 | 1600 | 950 |
鶏肉(胸肉) | 4300 | 1200 | 1900 | 1200 |
鶏肉(もも肉) | 3290 | 910 | 1500 | 880 |
牛肉(サーロイン) | 2360 | 650 | 1100 | 610 |
卵 1 個(50g) | 2610 | 830 | 1100 | 680 |
凍り豆腐 1 枚(16g) | 1600 | 448 | 720 | 432 |
納豆 1パック(50g) | 1305 | 415 | 550 | 340 |
木綿豆腐 1/4 丁 | 1210 | 330 | 560 | 320 |
牛乳 コップ1 杯(200ml) | 1360 | 400 | 620 | 340 |
チーズ 小1個(20g) | 1020 | 320 | 460 | 240 |
アルギニンを摂ろう
筋力アップには成長ホルモンが必要です。アルギニンはアミノ酸の1つで、成長ホルモンの分泌を邪魔するソマトスタチンというホルモンの分泌を抑えてくれます。
このアルギニンの効果は、筋肉アップ2つのゴールデンタイムの内、睡眠中の成長ホルモンについて効果的なので、睡眠前に摂りましょう。
ただし、寝る直前に食事を摂るというのも弊害がありますのでサプリメントで補うのも良いでしょう。
アルギニンを摂る量は、日本人に対しては示されていませんが、アメリカでは1日2~8g程度とされています。
アルギニンを多く含む食品は、鶏胸肉、豚ロース、マグロ、えびなどです。アルギニンはゼラチン質の部分に多く、豚バラ肉などにも多いのですが、脂身が多過ぎて、筋力アップには向かないのでここではおススメしません。
食品名 | 1食当たりの量 | アルギニン含有量 |
---|---|---|
鶏ムネ(若鶏皮なし) | 100g | 1500mg |
豚ロース(赤身) | 100g | 1500mg |
マグロ(びんちょうマグロ刺身) | 5キレ(60g) | 840mg |
エビ(バナメイエビ) | 50g | 900mg |
タンパク質の1日摂取例でも、マグロの刺身を夕飯にしました。マグロは、タンパク質も多く、BCAA、アルギニンも多い、筋力アップの鍵となる食材です。
成長ホルモンを分泌させよう
成長ホルモンは身体にとって重要な役割を持っています。
•疲労感の解消
•やる気の増加
•集中力の増加
•筋肉量の維持(増加)
•脂肪分解の促進
•コラーゲン繊維形成
•糖新生の促進
•骨の強化
•免疫システムの刺激
この成長ホルモンは成長期を過ぎたら出なくなるものではありません。筋肉の合成だけではなく、骨を作ったり、肌の新陳代謝を良くしたり、疲労回復など、さまざまに働いています。
成長ホルモンは、もちろん年齢が若い時ほど多く分泌されており、年齢と共に分泌が低下します。
また、ストレスがかかるとソマトスタチンの分泌が多くなって、成長ホルモンの分泌が邪魔されます。
また、アルコールを飲むと肝臓は成長ホルモンを作るより先にアルコールの分解を始めてしまうので、成長ホルモンの分泌が遅くなってしまいます。
つまり、筋力アップをしようとする時には、アルコール、ストレス、睡眠不足は大敵となるわけです。
女性は「どこかで聞いたような…」と思いませんか?そう、お肌の大敵と呼ばれるものは、筋力アップの大敵なのです。
まとめ
マラソンを走り切り、怪我を防止するために、筋力アップは必要です。睡眠時と運動後1時間後には成長ホルモンが多く分泌されて、筋肉が作られます。
その時間にタンパク質で、特にBCAAとアルギニンが豊富な牛乳、マグロなどを摂ります。また、ストレスを溜めず、睡眠をしっかりとり、アルコールは禁止します。
練習すれば筋力がつくのは確かですが、社会人にもなれば、若い時ほど筋力が付きにくく、練習する多くの時間もありません。効率よく筋力アップして、次のマラソン大会まで体を作っていきましょう。
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三沢奈緒子(管理栄養士)●文
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