BCAAの飲み方は?飲むタイミングは?プロテインとの違いを徹底比較
アスリートに必要な筋肉。
その筋肉づくりで最近注目されているのがBCAA
今回は管理栄養士が、BCAAの特徴。プロテインとの違いを教えます。
Contents
アスリート注目のBCAAの飲み方
「BCAAはスポーツするうえでは欠かせない!」と聞いたこともありますね。では、そのBCAAとは一体何なのでしょうか?そして、どうしてスポーツ選手に必要なのでしょうか?
BCAAをひも解いて行くと、だんだん「それって必要なの!?」と思うようになってきますし、代わりになるものもあるんじゃない?と、どんどん疑問が広がっていき、結局のところどうしたらいいのか判らなくなってしまいます。
BCAAとは何なのか、摂るべきかどうか、タイミングそれらの疑問にお答えします。
BCAAとは?
BCAAの読み方はそのまま「ビー・シー・エー・エー」です。日本語では「分岐鎖アミノ酸」です。
アミノ酸とは、タンパク質を構成する成分で、アミノ酸が鎖のように繋がったものがタンパク質です。人間の体を構成するアミノ酸は20種類あり、その名前を並べると・・・
セリン
スレオニン(トレオニン)
チロシン
グリシン
アラニン
バリン
ロイシン
イソロイシン
フェニルアラニン
アスパラギン酸
アスパラギン
グルタミン酸
グルタミン
メチオニン
システイン
ヒスチジン
リジン
プロリン
トリプトファン
アルギニンン
どこかで聞いたことのある成分名もあるのではないでしょうか?「あれはアミノ酸だったのか!」と思うものもありますね。
BCAAというアミノ酸はありません。BCAAは「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3つのアミノ酸をまとめて指す言葉です。
この20種のアミノ酸の内、BCAAの3つと、リジン メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン 、トレオニン 、トリプトファン 、ヒスチジンは体で合成できないアミノ酸なので「必須アミノ酸」と言われます。
●ヒスチジン 10mg
●イソロイシン 20mg
●ロイシン 39mg
●リジン 30mg
●メチオニン+システイン 15mg
●フェニルアラニン+チロシン 25mg
●トレオニン 15mg
●トリプトファン 4mg
●バリン 26mg
体重65kgの人の場合、BCAAのリジンは1950mg、ロイシン2535mg、イソロイシン1300mg必要となります。BCAAは必要量が多いのが判りますね。人間の体にあるタンパク質の多くは筋肉にありますので、筋肉にBCAAはとても多く必要なのです。
BCAAの飲み方・筋トレとの関係
筋力トレーニングをした直後は、筋力が作られるゴールデンタイムです。その時に筋肉の素となるタンパク質を摂ると、筋肉が効率よく作られることは研究としても経験としても昔から知られてました。20種類あるアミノ酸の内、筋肉を作る工程で最も必要になるのがBCAAです。
食事から摂ったアミノ酸は、筋肉として(多くは骨格筋)貯められています。そして一部が遊離アミノ酸として血液中を一定量流れているのです。筋肉が新しく作られる時にはBCAAが一番多く使われ、BCAAが血液中に足りなければ、一度筋肉を壊して使われるので、筋肉は作り変えられる形となり、あまり増えないことになります。
サプリメントとしてBCAAを摂り、血液中にBCAAを増やしておけば、現在ある筋肉を壊すことなく新たな筋肉を作ることができます。
BCAAを飲むタイミングはプロテインとは違う
筋力トレーニング前後に摂取するサプリメントは、プロテインとBCAAのどちらを摂れば良いのしょうか?両方摂った方が良いのでしょうか?
プロテインもBCAAも、結局のところは「アミノ酸」です。それぞれの特徴を比較してみましょう。
プロテインサプリメント
・20種のアミノ酸がバランス良く入っている
・吸収がゆっくり
・安価(BCAAに比べて)
BCAA
・BCAA3種に特化
・筋力の作り変えではなく、増やしたい場合に向く
・高価(プロテインサプリメントに比べて)
BCAAを飲むタイミングは筋肉トレーニング前に
BCAAとプロテインの大きな違いは、摂取するタイミングです。プロテインサプリメントは、トレーニング直後に摂取するのが基本です。BCAAは筋力トレーニングでの筋肉の分解を防ぐために、トレーニング前に摂ります。筋力トレーニング中の水分補給として、BCAAが入ったドリンクを飲んでも良いですね。
プロテインサプリメントとBCAAの両方摂るのはおススメしません。筋肉にならなかったアミノ酸は、一部は体に脂肪として蓄えられ、その他は体外に出ていきます。
さらに、BCAAはどの位摂ると筋肉がより多く作られるのか、明確な研究結果が出ていません。アミノ酸が体外に出ていく形にするために肝臓が働き、尿として出される時に腎臓が働きます。アミノ酸を摂り過ぎると、肝臓や腎臓に負担がかかることとなりますので、摂ればいいというものではありません。
EAAってなに?
「BCAAなんて古い!摂るべきはEAAだよ!」なんていうサプリメント大好きさんがいるかもしれませんね。EAAは「必須アミノ酸」です。前述した9種の必須アミノ酸が入ったサプリメントになります。
バランス良い筋肉を作るには、必須アミノ酸がすべて必要なのですが、もともと血液中には遊離アミノ酸もあるので、必須アミノ酸全てサプリメントで摂ったからと言って、より多くの質の良い筋肉が作られる訳ではありません。
プロテイン、BCAA、EAA、全ては好み次第ということです。
食品でBCAAを摂るには「牛乳」が一番!
BCAAを摂りたいけれど、サプリメントは高いし、美味しくないし…と悩む場合は、食品で摂る方法もあります。
アミノ酸のバランスが良く、トレーニングで消費した糖質も摂れるものは「牛乳」です。
牛乳に含まれるアミノ酸をグラフに見てみましょう。
牛乳のアミノ酸量(100g中) | |
---|---|
イソロイシン | 170mg |
ロイシン | 320mg |
リジン | 270mg |
メチオニン | 80mg |
シスチン | 26mg |
フェニルアラニン | 160mg |
チロシン | 150mg |
スレオニン | 140mg |
トリプトファン | 45mg |
バリン | 200mg |
ヒスチジン | 92mg |
アルギニン | 110mg |
アラニン | 100mg |
アスパラギン酸 | 250mg |
グルタミン酸 | 690mg |
グリシン | 61mg |
プロリン | 310mg |
セリン | 170mg |
牛乳がバランス良くアミノ酸が入っている食品で、タンパク質性食品(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品)の中でも液体なので運動後に摂りやすいですね。さらに、コンビニでも簡単に手に入るのでおススメです。
普通牛乳でも問題ありませんが、牛乳に含まれる脂肪は、筋肉の合成が盛んになる筋力トレーニング後のゴールデンタイムには必要ないので、「低脂肪牛乳」を選べばさらに良いですね。(低脂肪でもアミノ酸量にはさほど変わりはありません)
まだサプリメントが一般的ではなかった頃、トレーニング後に牛乳を飲むことは普通に行われてきました。スポーツショップに行けばたくさんのサプリメントが並んでおり、どれも魅力的に映るかもしれませんが、BCAAを含む必須アミノ酸は通常の食事をしていれば不足する事はありません。
筋力トレーニング後に、忘れずに摂取することの方が大事です。折角のゴールデンタイムを逃さないようにして下さいね。
三沢奈緒子(管理栄養士)●文
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