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筋トレは悪!は都市伝説!!選手・指導者の意識を変えろ 宮本直哉

 2017/04/06 筋肉トレーニング
 

筋肉伝道師として日本全国の高校・大学の運動部で筋トレを教える宮本直哉氏。
現場にいて、いつも感じていることがある。
少年には「筋トレは厳禁」という大人がとても多い事だ。
この問題について宮本氏の理論・思いを語ってもらった。

筋トレへの意識改革が最優先課題

全国のジュニアチーム、中学、高校、大学で、長年に渡り筋力トレーニングの指導をしている“自称・筋肉伝道師”宮本直哉氏。

北は岩手から南は山口まで時間を惜しまず、日々活動を続け、ここ最近では、以前にも増して指導校が全国大会出場を果たす等、結果が出てきている。

つまり、宮本氏の筋トレ理論が証明されつつあるのだ。

しかし、このような成果が表れるまでには、多くの困難や壁に苛まれ悩みにも直面した。

それが前回のコラムでもふれた「筋トレ厳禁」の都市伝説だ。

まことしやかにささやかれるこの根拠のない噂、でっちあげを根本から払拭したいという思いが宮本氏を動かしたという。

「私のセミナーは、ほとんどのチームが月に1回、多くても3回程度です。その限られた時間の中で、筋力をつけることで、スピートやパワーがアップする仕組みや成果を直に伝えます。熱心に理論を語り、それを実践し、体感し納得することで皆やる気をみなぎらせます。

しかし、次の指導時には、残念ながら前回の指導内容が徹底されていないどころか、何もやっていないことすらあります。

それは、筋トレと競技は別と言う考えの基、私がいる時だけやれば充分という考えからきているのかもしれません」

当然のことだが、重要なのは日々の積み重ね。塵も積もれば筋肉になるのだ。

その現状に宮本氏は

“(筋トレを)やらされているのではいけない!”
“子どもたちを犠牲にしたくない!”

と強く思ったという

「『効果が出ない? 筋トレの効果とはこの程度? 大したことない?』と選手や指導者に思われてしまうのでは……という焦りもありました。

もちろん継続しなければ目に見える効果が出ないのは当然のことです。しかし、このままでは、何も伝わらないし、変わらない。そして指導している意味がないという思いもありましたね。」

「理論を教えるということだけに終始すれば、気は楽なのですが、依頼をお受けしたした以上は、絶対に手を抜くことはしたくなかった。

私の使命は“筋トレの素晴らしさ”を多くの方へ伝えることであり、指導した教え子たちがそれを体感し、継承してくれることです。また、それが私なりのボディービル、パワーリフティングへの恩返しでもありましたから」

ここで宮本氏は一つの着眼点を変えたという。

選手だけではなく指導者の意識改革が必須である

「私が直接指導している選手だけではなく、指導者の方へ正しい知識を伝えなければ何も変わらないのではないかと考えました」

宮本氏は、結果を出すためには指導者の意識改革が必要不可欠であると結論づけたという。

「当然のことながら1回のセミナーで指導できる時間は限られています。人数の多少に関わらず使える時間はどこも同じ。チームによっては大人数を同時に指導する場合もあります。その場合、ひとりひとりに細かく指導することは困難です。全員が短時間の説明でしっかりと理解できるわけではありません」

「普段からしっかり、正しいレーニングを実行するためには指導者にお任せするしかありません。しかし、指導者の方々の多くは、普段の練習に筋トレを取り組もうとはまず考えない。筋トレは自主練習で個人任せ、帯同者もつけず、選手が自由にやるという風潮があります。このような状況で、選手の意識は高まるどころか、筋トレはやりたい者がやればいい。結果、筋トレルームは談笑の場、憩いの場と化しています。」

「それは、私が指導させてもらっていることで、チームは練習に筋トレを取り入れているのだと満足されているのかもしれません。私が伺うだけで選手の筋力がアップするわけはなく、指導者の方々の意識改革が必要不可欠で、練習に積極的に筋トレを導入するということを徹底してもらわなければ何も変わらないと考えたのです」

練習メニューに正しい筋トレを組み込む重要性を解く

指導者に筋力トレーニングを正しく理解してもらうことで、意識が変わり、練習メニューのひとつとして確立され、結果につながる。

宮本氏は個別にプログラムを提案し、指導者へ筋力トレーニングの必要性、重要性を伝えることに徹した。

理論も座学で細かく教える宮本氏

「当初、話は聴いてもらえても、『環境がない、時間が作れない』と回答されることが多かったです。
反面、筋トレを取り入れることでチーム成績は上げたいという結果は求められる……。筋トレの時間は今まで通りだが、結果は必要という難題に正直頭をかかえました。大げさに聞えるかもしれませんが、筋トレの必要性を理論的に説明してもなかなか理解を得られないジレンマとの戦いでした。」

「野球であれば、ピッチング、バッティング、捕球、サッカーであればドリブル、トラップ、シュートなどの練習メニューを組み込むのと同じように筋トレの時間を入れてくださいと。私は常々“筋トレも野球じゃ!!筋トレもサッカーじゃ!!”と選手には厳しく言っております(笑)。」

「指導者の方々には、私がいるいないではなく、日々の練習メニューに筋トレを取り入れてもらいたい。選手には率先して筋トレをしてもらいたい。それが当たり前の環境を作ってもらいたいと考えています」

宮本氏の指導時、筋トレに懸命に取り組む選手たちも、時間が経てば興味が薄れてしまう。

三日坊主をなくすためにも、プログラムの提案は欠かせないと考えたという。

年間を通じての努力が結果となって表れる

突発的に筋力トレーニングを行っても意味がない。

“継続は力なり、筋トレも継続が大事”

自らの経験で、導き出した理論はここにつながっていると宮本氏はいう。

「辛く苦しい練習こそが精神力を養うと考える指導者がいらっしゃいますが、私の考えは少し違います。子どもたちにとって、辛い練習はいかに消化するかという思いが強い。これは私自身の経験からです。その結果、精神力・能力アップ共に思うような成果は得られません。練習は、いかに効率よく且つ「正しく」行うかが重要です。」

フォームが間違っていないか指導

「筋力トレも同様、計画を立て、継続的に正しく行うことで初めて結果につながるのです。オフシーズンや雨の日のイベントのように筋トレをしても正直意味がありません。それをしない期間を作ることで元の木阿弥。特に成長期にある高校生は、この傾向が顕著です。日ごろから歯磨きをするように筋トレもする。短時間でもよいのです。短時間で最大の効果を得るため、重たいバーベルを上げる。そして筋肉をオールアウト(疲労困憊)させることで、最大の効果を得ることが可能になります。」

「現状は、多くのチームが足腰強化の為の「走り込み」を行っていると聞いています。しかしながら足腰を強化するにはそれだけでは不十分だと考えます。走り込みで、筋肉をオールアウトさせようとすると、相当な時間を要し、非効率的です。残念ながら、多く走れば走るほど、本来の目的から逸脱してしまうのです。要は、走り込みは筋肉より心肺機能や精神的なオールアウトが先に来てしまうのです。」

「自身の専門競技の練習のひとつとして効率よく筋トレに取り組む。それは特別なことではなく日常であるという意識を指導者の方々に持って頂きたいですね。」
選手はもちろんのこと、指導者の意識改革も必要不可欠です。」

まだまだ伸び代を持つ成長期の子どもたちを指導する者同士、この考えで指導することが必要だと宮本氏は考えているのだ。

松野友克●文

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ライター紹介 ライター一覧

松野友克

松野友克

1976年、福島県南相馬市生まれ。
小学生のときは少年野球、中学・高校ではバレーボールに熱中していた。高校時代にスポーツ雑誌の仕事に携わりたいと上京を決意。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、複数の編集プロダクションに勤務したのちフリーランスのライター・編集者として独立した。
多ジャンルの雑誌、ムック本・書籍を制作する中でプロ野球、女子7人制など多くのスポーツ取材を行う。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

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