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智弁学園(奈良県) 小坂将商監督 前編  ~38歳にして選抜初優勝~ 

 2016/04/13 高校野球と甲子園
 

2016年春の選抜・紫紺の優勝旗は奈良県代表の智弁学園が手にした。
監督は30代の小坂将商(こさか・まさあき)。
若き指揮官は細かいところにも目を配ることが事が出来る。とても魅力のある監督さんだ。

2016年春の選抜・優勝旗は智弁学園へ

2016年春のセンバツ。
30代の指導者が春の頂点に立った。
智弁というと高嶋仁監督率いる兄弟校の智弁和歌山の
認知度が高いが、野球部の歴史においては
本家本元は奈良の智弁学園。
これまで全国ベスト4が最高だったので
「何とか4の壁を破って頂点に近づきたい」と
大会前に言っていた小坂監督だが、
ふたを開ければあれよあれよの間に決勝戦へ。
そして、高松商(香川)との好試合を制して初優勝。
開幕試合に登場し、一番長く甲子園を楽しんだ
チームでもある。

ちょっと古いキャラクターだけど、
“モンチッチ”を連想させるような風貌で、
優勝インタビューのお立ち台に立った小坂監督。その場で右に、
そして左にと向きをかえ、それぞれ深々と礼をした。
今まで、お立ち台に上がった監督がこのような
ことをした姿をほとんど見たことがなかった(あくまで、私は)。
「なるほど」と思った瞬間だった。

甲子園

実は小坂監督、試合後のインタビューが得意ではない。
その場でパッと話すのはいいんだが、
話すまでに若干の準備時間がある場合は、
「何をどう話そう」と真剣に考えてしまうから苦手なんだそうだ。
確かに今大会も、勝ってもコメントがわりと“硬い”・・・。
物事に対してとても真面目に考える人なんだと感じているが、
智弁がなぜ勝てたかと考えたとき、
頼れるエースに個々の能力の高さはもちろんだが、
指導の中で際立つのは野球の技術以外のことに対する徹底が
大きいのではないかと思っている。

アンテナを張り巡らす小坂監督

バットをまたがないといった、道具に対する考え方。
挨拶は過度にならない程度に一度立ち止まり、決して流さない。
人の話を聞くときは、その人の目を見て。
寮ではスリッパをきちんとそろえるといった、私生活に対する考え方。
このごろは、こうしたことをきちんと行うチームも増えているが
きめ細かさといったら間違いなく群を抜いている。

というのも、小坂監督は気づきの人だ。
自分でも嫌になるくらい、いろいろなことに気づいてしまうという。
はっきり言って「気づかない人」の方が多い世の中になっている気がするが
グラウンドにいても「あいつ、何やってるんだ?」「あそこ、危ないな」
「悩みでもあんのか、あいつ?」などとその場の空気を読みまくる。
それを家庭の中でやったら奥様に嫌がられますよと言ったら
「そのとおり」と大笑いしていたが、
監督がこうだから、必然的に選手たちもいろいろに
アンテナを張り巡らすようになる。
もちろん、最初は何もできない。
手厳しいけど、親が教えられない、いや教えていないから。
でも、少しずつ変わっていく。

視野を広く持ち、些細な事にも目が行き届かせる。
修正すべき点はコツコツと直していく。
そしてチームを1つにまとめ上げ甲子園という檜舞台で頂点へと登りつめていったのだ。

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ライター紹介 ライター一覧

藤井利香

藤井利香

東京都生まれ。日本大学卒。
高校時代は(弱小)ソフトボール部の主将・投手・4番として活躍。大学では、体育会ラグビー部の紅一点マネージャー。関東大学リーグ戦グループ・学生連盟の役員としても活動。
卒業後は商社に勤務するも、スポーツとのかかわりが捨てがたく、ラグビー月刊誌の編集に転職。5年の勤務のあと、フリーライターとして独立。高校野球を皮切りに、プロ野球、ラグビー、バレーボールなどのスポーツ取材を長く行う。現在は、スポーツのほかに人物インタビューを得意とし、また以前から興味のあった福祉関係の取材等も行っている。

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