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トレーニング環境の整備こそが急務 宮本直哉

 2017/09/17 筋肉トレーニング
 

指導先の全国大会出場が増えている

全国を飛び回り、中学生、高校生、大学生などに筋力トレーニングの重要性、正しい方法などを教えている宮本直哉氏。彼の指導を受けた結果、選手の能力がアップし、全国大会出場を果たしたり、都道府県の大会で上位成績を残したりと結果を出す中学や高校も増えている。

昨年2016年第95回全国高校サッカー選手権大会にはサポート先の岩手県遠野高校、佐野日大高校サッカー部の2チームが出場。遠野高校はベスト16、そして今年サポート歴24年目を向かえる佐野日大高校サッカー部は全国ベスト4の快挙を果たす。これには宮本氏も「筋肉サイコー!!」と叫びたいほど喜んだという。
また、今年2017年岩手県高等学校総合体育大会で遠野高校が優勝し全国総合体育大会出場。初戦で、激戦区東京の実践学園(東京代表)に2-0で勝利した。

そして野球では、千葉県の東海大市原望洋高校。宮本氏の指導を受け始めてから2度甲子園に出場。2017年の夏県予選でもベスト4に勝ち上がるなど、好成績が続いている。
また、高校野球で大激戦区と言われる一つの東東京大会で、今年9年ぶりに決勝進出を果たした東海大高輪台高校も宮本氏の指導を仰いでいる。

また高校生だけではない。岩手県の遠野中学校も2017年7月の第38回東北中学校サッカー大会で準優勝となり、全国大会出場を決めたのだ。

「結果が出るのは私としても本当にうれしいことです。東海大市原望洋は、10年近く指導していますが、監督さんの理解もあり、このような結果に結びついているのだと思います。監督をはじめ、指導者が勉強熱心で、本やインターネットなどでトレーニングの知識を増やし、当社の指導方針をしっかり理解して頂いています。私が直接指導する機会は限られていますが、それ以外の練習でもグループ分けをし、効率よく筋トレができる環境を作っているそうです。筋トレは日々の継続が大事。私がいるときだけ必死にやっても、続けなければ、効果は出ません」

選手、指導者が筋トレの意味をしっかり理解し、継続することが大切だ宮本氏は振り返ってくれた。

自宅で腕立てとシシースクワット!停滞を防ぐ

このように宮本氏の教えや考え方が間違いではないことは、結果として表れている。
しかし宮本氏は、まだまだトレーニング環境が整っている学校は少ないという。

「私立だとトレーニング器具が揃っている学校も多いですが、公立はまだとても少ないです。器具がなくても、ベーシックなプッシュアップ(腕立て伏せ)とか、シットアップ(腹筋運動)などがありますが、バーベルやダンベル、マシン器具を使ったトレーニングに比べると筋肉への負荷抵抗が弱すぎます。負荷抵抗が弱いからトレーニング効果が期待できないのではなく、負荷抵抗が弱いので多くの回数が熟すことが出来ます。」

「筋肥大効果を得るためには、必ず筋肉をオールアウト(疲労困憊、反復限界)まで追い込む必要があります。自重系トレーニングは負荷抵抗が弱い分オールアウトさせるには時間と労力が物凄く必要になります。腕立て伏せや、自重でのスクワット、シットアップトレーニングは負荷抵抗の強いバーベルやダンベル、マシントレーニング等と比較しますと返ってハードなトレーニングになります。そうなりますと、目的意識の低い初心者にとりましては継続することが困難になります。その結果として効果を得ることが出来ないことになります。」

「自重系のトレーニングは工夫次第で負荷抵抗を挙げることも可能です。パートナーに負荷抵抗をかけてもらいながら行うこともできますが、それにはトレーニングの経験や知識が必要です。」

 効果的な筋力アップを測るには、トレーニング環境の整備は不可欠だ。

「私が指導している選手から「家で何かやれることはありますか」とよく質問をされます。トレーニング環境が整っていても、練習後は施設を使いにくいのが現状です。ただ、バーベルやその他の器具を使ったトレーニングが初心者レベルの人の場合は効果的であることは否めません。それでも、やらないよりはいいので、腕立て伏せ、シシースクワットをやるように伝えています」

競技を続けるアスリートとして、筋トレを日々の生活に取り組んでいく。この意識が成果を上げるひとつの要素になるのだ。

歯磨き、洗顔、入浴の如しに筋トレを~
塵も積もれば肉となる

高い集中力を保ち、短時間でトレーニングを終わらせる

「バーベルを使う筋トレは、負荷をかけやすいので、短時間で集中して行えます。
逆に軽い負荷で効果を伸ばそうとすると、限界値までに時間がかかってしまいます。瞬発力に欠かせない速筋は軽い負荷では、なかなか稼働しません。効果アップには速筋線維を集中して動かせるようなトレーニングが必要です。そのためバーベルで重い負荷をかけることが最も効率のよいトレーニングになります」

 
宮本氏は、短時間でトレーニングするからこそ、高い集中力が求められると教えてくれた。

「もちろん器具を使った筋力トレーニングは、簡単に行えるものではありません。スクワット、ベンチプレス、デッドリフトは、サポートする人がいないとケガをする恐れがあるからです。おしゃべりをしたり、ふざけながらなどは論外です。無論集中することが基本です。指導先ではそのようなことは見逃しません。即刻やり直しです。集中力を高めなければ意味がありません。」

「野球の場合、バッターボックスに立つ、投球する前等はすごく集中力を発揮しますよね。サッカーではPKやコーナーキックでボールを蹴る時、より集中力が高まるはずです。それらと同様、筋トレも集中して励むよう指導しています。ベンチプレスの際は“絶対にこれを上げる”という強い意識が必要なのです。」

ときには厳しく注意することもあるという宮本氏。それはすべて教えている子どもたちを思うからこそ。さらに、筋力トレーニングが競技力の向上に役立つことを証明したいという情熱も加わっているのだ。

「私の指導に理解を示してくれているサポート先の新潟県長岡向陵高校サッカー部は、昼休みの30分間を筋トレの時間にしております。サッカー部員は昼休み前に早弁を済ませウエイトルームに直行。ウエイトルームは毎日サッカー部でにぎわいを見せているらしいんです。今では御チームのよき伝統となっております。」

「チーム個々の意識が高く、メニューは自分たちで考え、練習試合前はこれ、大会がまだ先の時期はこれと、しっかりと工夫されています。その成果は、先日行われた(2017年8月17~20日)全国フットサルユース大会で準優勝に繋がったと思います。指導先すべてで、このような意識が生まれ、結果に結びつけば喜ばしいことなのですが・・・。環境的な問題も考慮するとまだまだ、私が伝えなければならないことが山積しています。」

筋肉をこよなく愛する宮本氏。やらなければいけないこと、伝えたいことはたくさんあると笑顔を見せる。

松野友克●文

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ライター紹介 ライター一覧

松野友克

松野友克

1976年、福島県南相馬市生まれ。
小学生のときは少年野球、中学・高校ではバレーボールに熱中していた。高校時代にスポーツ雑誌の仕事に携わりたいと上京を決意。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、複数の編集プロダクションに勤務したのちフリーランスのライター・編集者として独立した。
多ジャンルの雑誌、ムック本・書籍を制作する中でプロ野球、女子7人制など多くのスポーツ取材を行う。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

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