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バスケは野球、サッカーに続く第3のリーグとなるか。アリーナスポーツとエンタメの融合

 2017/10/29 バスケットボール
 

プロ野球チームの数。これは、ほとんどの人が知っているであろう、セ・パ両リーグで12チームだ。では、サッカーJリーグは。J1が18クラブ、J2が22クラブ、J3は14クラブにFC東京とガンバ大阪、セレッソ大阪のU23チームが所属し、計54クラブとU23チームで構成されている。

この2つは、日本を代表するプロスポーツリーグとして、絶大な知名度と年間入場者数を誇っている。プロ野球、セ・リーグを見ると2017年度の入場者数は1,402万4,019人。長いプロ野球の歴史で初めて1,400万の大台を突破した。ゴールデンの地上波中継がほぼ無くなったものの、試合数の増加や交流戦、クライマックスシリーズといった試みは確実に入場者を増やしている。

Jリーグはどうか。J1の2016年度入場者数は549万8,222人だった。また、J2は320万9,051人、J3は70万9,640人。年間1,000万人近くをスタジアムに集めるリーグになっている。

当然、チーム数や試合数、競技場の収容キャパなどに差異はあるが、この2大プロスポーツに続く第3のリーグになる可能性を秘めているのが、バスケットボール「Bリーグ」である。

Bリーグ元年は226万人超。アリーナスポーツの可能性

2016年9月に開幕したBリーグ。B1、B2ともに18チーム、計36チームが所属している。東地区、中地区、西地区に分かれ、各地区6チームで60試合のレギュラーシーズンを戦い、プレーオフやB1・B2入替戦、チャンピオンシップに臨むのだ。初年度である2016-2017シーズンは226万2,409人が足を運んだ。

バスケットはアリーナスポーツである。B1チームのホームアリーナの収容人数は、1万に満たない場所がほとんど。しかし、ここに魅力がある。コンパクトなゲーム会場は入場者にとって、野球やサッカー以上の臨場感を味わうことができるのだ。

約4万6,000人を収容する東京ドームは、選手の声など滅多に聞くことができない。しかし、Bリーグのほとんどは、試合中の選手の雄叫びや体同士がぶつかる音を聞くことができ、飛び散る汗やスピード感溢れるドリブルを間近で観ることが可能だ。この「選手と観客の距離の近さ」はプロスポーツの球技において、バスケットが持つ優位性である。

野球もドーム球場が増えたが、天候に左右されないのもアリーナスポーツならでは。観戦環境は圧倒的に安定している。また、室内は音響や光の演出に優れており、例えば日本武道館で行われるアイドルコンサートさながらのエンターテイメントを生み出せるはずだ。

赤いチームの人気ジンクス。カープ、レッズに続く“ジェッツ”

リーグを代表する人気チームの誕生も、アリーナスポーツに求められる。プロ野球であれば長らく巨人、阪神がリードしてきた。パ・リーグでいえばソフトバンクも2000年以降、安定して年間200万人から300万人を集客している。しかし近年、目を見張るのは広島東洋カープだ。2007年から10年で入場者数は約2倍に膨れ上がった。

Jリーグなら、浦和レッズが押すに押されぬ人気チーム。J1各チームの1試合平均の入場者数が概ね1万人から多くて2万5,000人という中で、レッズは約3万7,000人で推移している。わずか17試合で年間60万人以上を集めるJリーグチームは他にない。

Bリーグにもそんなチームがある。千葉県船橋市を本拠地とする「千葉ジェッツふなばし」だ。2011年に誕生した千葉ジェッツは、Bリーグ元年にB1東地区に振り分けられると、天皇杯のタイトルを手にした。チームカラーは奇しくもカープやレッズと同じ赤だ。

ホームアリーナでの試合の平均入場者数は約4,500人で、Bリーグトップ。さらに2016-2017シーズンBリーグ全試合の中で1位となる、1試合入場者数7,327人も記録した。

「モンスト」と「ジェッツ」コラボ。アリーナの非日常空間を創造

開幕元年からリーグの認知拡大に貢献したジェッツは「Bリーグは今、野球とサッカーに次ぐメジャープロスポーツのポジションに立つべく、努力の段階」とし、「競技人口の多さやファッションなどで商品化しやすい部分もあり、大きく成長できる要素を持っている。2年目となる2017-2018シーズンは勝負の年」と位置付けている。

そこでジェッツの起こしたアクションが、世界累計利用者4,000万人を超えるスマホアプリ「モンスターストライク」を手がけるXFLAG™(株式会社ミクシィ)とのパートナーシップ契約だ。トップスポンサーとなったXFLAG™のロゴが、2017年9月からジェッツのユニフォームの背に刻まれることになった。

地元企業ではない大手IT企業とのコラボはBリーグにおいて例がなく、まさにアリーナスポーツとエンタメの融合が形になる土壌ができたわけだ。

XFLAG™はジェッツとのパートナーシップ契約について「当社が掲げるスローガンは“ケタハズレな冒険を”。非日常空間創造の思想が合致した。また、モンストユーザーとジェッツのブースター(観客)が互いに持つ熱量にも親和性を感じる」と話し、双方のファンの熱量を高めるための施策を展開する。

ジェッツとしては資金と集客コンテンツが大幅に強化され、新たなブースター獲得も期待できる。一方、XFLAG™も企業価値を高めるとともに新規ユーザーの開拓と既存ユーザーのロイヤルティ向上が見込める。また、新たなエンタメの創出に挑戦できるのも大きい。

10月のホーム開幕戦から早速動きを見せている。会場の演出として、選手のプレイやゴールシーンをゲームのマスコットキャラクターと連動させるデジタルサイネージが設置された。リアルなスポーツシーンとゲームの世界観が融合し、新感覚の観戦を楽しめる。入場者のモンストユーザーにとっては、バスケの試合結果によってゲーム内のアイテムがプレゼントされる企画に関心を示すだろう。

また、限定観客席も用意しコラボグッズをプレゼントすることで、直接的な集客にも一役買っている。XFLAG™は「今後もジェッツのみならず、Bリーグ全体を盛り上げるためのプランを検討中」だという。

コラボはまだ始まったばかりに過ぎない。しかし、この施策だけでも若干の変化は見られるだろう。普段、バスケットを観ることのなかった入場者が増え、スマホを片手にジェッツを応援する。それがやがてスタンダードになるかもしれない。とにかく、アリーナスポーツという分野に一石を投じたのは確かである。

佐藤翔一●文 写真
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ライター紹介 ライター一覧

佐藤翔一

佐藤翔一

1985年生まれ。東京経済大学コミュニケーション学部卒業後、地域ミニコミ紙の編集記者、広告代理店を経てフリーライターへ。
元高校球児。高校時代は50m6秒フラットの俊足を武器に、中国地方一のセーフティバンター(自称)として活躍しそうになった。
現在はフットサルで右足首靭帯を損傷し、なんとかごまかしながら山登りやスノーボード、サバイバルゲームなどに没頭しつつ、野球をはじめとするスポーツを幅広く取材・撮影・執筆。3大好きなアスリートは野球の嶋基宏、サッカーの大久保嘉人、K1のレイ・セフォー。

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