サッカーW杯2018年に見たフェアプレー・ポイント
Fair Play Point
2018FIFAワールドカップ(WC)ロシア大会15日目(6月28日)。日本・ポーランド戦。2つのサプライズがあった。
西野ジャパン。WC初戦、第2戦で良い結果を出した先発メンバーから先発6人を入れ替えて、ラウンドオブ16を決定づけなければならない試合を戦った。
すべての日本代表メンバーの実力に大きな差異はないし、休ませなければならない選手もいただろう。
一方、WCの試合という場への慣れ、連係はどうするのかと。
大胆な変更は、心配とサプライズだった。
2つ目のサプライズは、今回WCで初めて導入された「フェアプレー・ポイント」。
日本は警告数が少なく、得失点等が同じであったセネガルを下し、Hグループ2位。
南アフリカ大会以来3度目のベスト16を確保した。
第1次ラウンドの順位は、①勝点 ②得失点差 ③総得点 ④直接対決の結果。
そして、5つ目の条件として、「フェアプレー・ポイント」で決定される。
過去の大会を見ても、よっぽどのことがない限り③総得点までに決定され、④直接対決の結果までには至らない。
しかし、Hグループの全試合が終わり、コロンビアがセネガルを1-0で下して勝利、勝点6とし1位。日本とセネガルは勝点4、得失点差、総得点、直接対決も引き分けで並んだ。
そして、⑤フェアプレー・ポイントによる順位決定がなされた。
日本の警告は4つに対して、セネガルは6つ(退場があった場合の点数は、警告=マイナス1点、2度目の警告で退場=マイナス3点、1発退場=マイナス4点、警告後の一発退場=マイナス5点となっている)。
フェアプレー・ポイントで日本は2位通過。嬉しい!!
第2戦までも、日本とセネガルの①勝点~④直接対決の結果は同じだったが、日本が1位と報道されている。
ビデオアシスタントレフェリー
今回のWCの目玉のひとつがビデオアシスタントレフェリーだ。
様々に用いられ、様々に報道されている。
セネガルは、悔しがっているに違いない。
日本・ポーランド戦の裏で行われていたコロンビア・セネガル戦(第3戦目は、公平を期すため、必ず同時間でのキックオフである)の18分。
セネガルはマネがペナルティーエリア内でコロンビアのサンチェスと交錯。
レフェリーは、今年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝を吹いたマジッチ(セルビア)。
一旦PKを判定したのだが、VARからの要請でピッチ脇のモニターで確認。サンチェスが先にボールを触っていたとの判断で、PKの判定を取り消した。
82分、長谷部誠選手が武藤嘉紀選手に代わって、ピッチに入る。西野監督の指示を持って入ったのだろう、
日本の戦術はボールキープ(ボール回し)と変化した。会場からは、ブーイング。
警告は、少ない方が良いに決まっている。
フェアプレー・ポイントの導入は、素晴らしい。
もちろん、最後の何分間、ボールをただ回すことはサッカーのプレーの観点からは興味が失われる。
「それはフェアではないだろう」という批判もあるだろう。しかし、試合の勝利、グループリーグを勝ち抜くというチームにとって全体利益や、裏で行われている試合との駆け引きの面白さを考えると十分に受け入れられる。
試合の最後数分にコーナーでボールをキープするのとどこが違うのか。
そもそも、警告や退場と言ったサッカーに受け入れられないものを排除するという観点とは明らかにかけ離れているものだ。
目の前の相手との駆け引きと、裏で行われている試合との駆け引き。これも、“はらはらドキドキ”で、これもサッカーの醍醐味に違いない。
ポーランドは、FIFAランキング8位チームとして“勝利の面目”を確保した。そして、日本は、第1ラウンド通過という“実利”を確保した。
アディショナルタイムは、3分間。ポーランドも失点のリスクをヘッジしたかった。ブーイングは激しさを増したが、ブーイングからは日本サポーターの応援の心も十分に聞こえていた。
次の試合は、7月2日(日本では7月3日)。G組1位通過のベルギーと対戦する。日本サッカー、次のティアへの昇華の正念場だ。
松崎康弘●文
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